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葬鐘の国で、わたしは死神に拾われた  作者: わがままな饅頭


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第18話 エルへの約束

 村の墓地に、最後に立ち寄った。


 秋の終わりの光が、墓地にひっそりと注いでいた。


 エルの墓標の前に、わたしは新しい花を供えた。丈夫で、どんな土でも咲くと言われる野の花を。


「約束、守ったよ。全部は終わってないけど、ちゃんと前に進んでる。カインは裁かれていて、証拠は世界に出ていて、次の選定は止まっている」


 風が、墓標のまわりをそっと撫でていった。


「エルのことは、記録に残した。名前も、年齢も、あなたがどんな子だったかも、聞ける限り聞いた。村の人に話を聞いたら、草花が好きな子だったって。井戸に落とされたとき、手に野の花を握っていたって。だから、ここにも花を持ってきた」


 返事はなかったけれど、今回は、幽霊の姿もなかった。


 安心して、逝ったのかもしれない。


「エル、ありがとう。最初の手がかりをくれたのは、あなただった。あなたが最初に証言してくれなかったら、わたし、もっと遠回りしていたと思う」


 隣で、ロウが静かに立っていた。


「ロウも、ありがとうございます」


「何が」


「千年分。全部」


「……私も、やっとできた」


 いつもは素っ気ないロウが、その言葉を言ったとき、声が少しだけやっとできた」


 ロウがそう言ったとき、何百年もかけて重ねてきた時間の重さが、その言葉の裏にあるような気がした。


 いつもは素っ気ないロウが、その言葉を言ったとき、声が少しだけ違った。千年間、ずっと持ち続けてきた何かが、少し軽くなったような声だった。


「カインも、絶対に見つけるから。待っててね、エル」


 わたしは、エルの墓標に手を触れた。冷たい石が、少しだけ温かく感じた。気のせいかもしれない。でも、それでいいと思った。

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