合コンとセン&マル
そこはとても賑やかで、陽キャで溢れていた。合コンの席は長いテーブルの席を何個か取ってるみたいだが、一つの机に6人程度と気まずくなりそうな感じだ。
「ここが会場ですか……」
「流石の人気だな」
席はほとんど満席で、空いてるのは予約してあるところだけだ。
「あそこですね。行きましょうみなさん」
「そうだね」
僕達は合コンのメンバー達の元へ行った。そこで取り締まっている四角い眼鏡をかけたマルとは違う、根からのポンコツ真面目感満載の人が席を案内してくれた。
僕達は4人と、6人席では比率が悪いため、2人ずつで別々の場所に行くことにし、僕とアイル、センとマルに別れて座る。
僕とアイルの席には、1人のクラスメイトの男子と、別のクラスの女子3人。
向こうのセンとマルの方も同じ感じだ。
「初めまして。私はガーラ・カナルよ」
1人が自己紹介をした。その姿は赤い髪を綺麗に伸ばしたいかにも令嬢というような少し気の強いお姫様って感じだ。
それに続き。緑がかった銀髪のショートヘアに少し落ちついた服を着たマイペースそうな見た目の子が言った。
「私はマーセル・ランカ」
続いて、金髪の美しい髪にモノトーンな服を着た少し人見知りの子。
「私はリーゼル・サースです」
そして同じクラスの髪が短いスポーツマンな男が言う。
「俺はハルキ・ターカスだ。よろしく」
そしてアイルが言った。
「私はアイル・グラース。君たちに会えて嬉しいよ。よろしくね」
さすがアイルだ。めちゃくちゃ輝いて見える。そして僕の番が来た。僕は本気で行かせてもらうよ。
「えっとジンです。よろしくお願いしまーす」
フッ。完璧だ。どうだこの僕の自己紹介のやる気のなさは。
「よろしくねみんな」
「よろしくお願いします」
……みんなすごく気まずそうだ。けど、そんなこんなでつまらない会話をしたりゲームを少ししたりと過ごした。
ただ横からずっと鎖の金属音がしてうるさかった上に相手の真似ばかりしていて凄く引かれているセンとマルが気になる。
開始から数分程度しかセンとマルの声は聞こえず、残りの数時間はそのテーブルだけ女子会になっていた。もちろんセンとマルはいないもの判定だ。流石としか言いようがない。
「アイルさんは普段何しているんですか?」
マーセルが質問した。それに淡々とアイルは答える。
「剣の稽古と勉強ですかね」
「流石ですね。私は少しだらけてしまうのでアイルさんはすごいですね」
アイルは人気だ。他のテーブルからの女子の視線まで掻っ攫っている。そして問題は僕にまでその目線がくることだ。何度頭の中で彼女たちを八つ裂きにするイメージをしたことだろうか。
「ジンさんは普段何しているの?」
リーゼルが言った。ここはどう答えるべきか。もちろん本当の事を言ったら修行!修行!修行!しかしてないんだけど。ここは……。
「普段は家で寝るか本を読んでまーす」
ごくごく普通な生徒の回答だ。
「本いいですね。どんな本を読むんですか?」
またしてもリーゼルが言った。もう適当でいいかと思って答えた。
「ダークサスペンス的な本ですかね」
てな感じでなんとか会話をして合コン終了まで耐えたのだった。やっと終わりだ。長かった、けれどもうこれで解放される。
「ジンさん達どうでした。女の子ゲットできましたか」
マルが元気なさそうに聞いてきた。
「ゲットできてないよ。アイルは誘われてはいたけど断ってたね」
「王者の余裕ですかね」
「そっちはまぁ聞かずともわかるね。うん。今度頑張れ」
「ジンさん慰めになっていませんよ。それに僕よりセンの方をどうにかしてください」
マルが指差す方にはセンがいまだに椅子に座って机を眺めている。まるでその場だけ逆光になってるかの如く影がさしていた。
「ありゃもうダメだ。見捨てよう」
「確かにそうですね。あれは時期に息を引き取るでしょう」
その通りだ。センからどんどん色が抜け灰色になっていく。もう彼は……。
「ジンたち。友達を見捨てるなんて酷いじゃないか」
アイルがイケメンオーラを出して言ってきた。
「……冗談ですよ」
マルが答える。
流石に元気がないな。まぁただの置き物として扱われてた見たいだしそうなるのも仕方はない。ただそうさせたのもセンとマルだから自業自得だ。
ただ今回の合コンで悪い意味で目立ってた部門一位だから安心して欲しい。
「さて帰るか」
「帰りましょうか。アイルさんセンを頼みました。僕にもう力は残っていません」
「仕方ないな。おーいセン自分で歩けるよね」
「……ぅぅ」
「なんてー!」
「ぅぅう」
とアイルがセンを引っ叩き。足を掴んで引きずって店を出た。
「おい、おいってば、アイル!」
「なに?」
「いい加減はなせって。もう顔の皮が擦れて血が出てるんだよ」
「それが?」
「悪かったって。今回は許せよ。なぁ、仕方なかったんだって」
「別に私は怒ってないんだ」
「なら離してくれ」
はぁ、とため息をついてアイルは手を離す。
もう外は暗く。オシャレな街並みに小さな灯りが夜道を照らしている。
「もう暗いな」
「これやばくないですか?20時以降は外出禁止ですよ」
「今は……19時40分あと20分しかないじゃないか」
「このままじゃ補導されます!みなさん急いで帰りますよ!」
そういえばそんなめんどくさいルールあったな。前世でもそんなルールあったけど、まぁ普通に無視してたな。
夜道を走っていると、一つの気配を感じた。
敵意はない、ただこちらを伺っている。
「みんな僕ちょっと忘れ物したから取りに行くよ。先に帰ってて」
「間に合わないぞ」
「そうですよ。明日取りに帰ればいいじゃないですか」
「今日は間に合わせないといけないよジン」
「すまない。あれは僕にとって命と同等の価値があるものなんだ。今すぐにでも取りに帰らなきゃ僕はッ」
「……そうか。時に男は己を道を貫き通さなければいけない時がある。お前にとっては『今』なんだな」
「ッ!ジンさんあとは僕達に任せてください」
「私も力になれるかわからないけど頑張ってみるよ」
「みんな……ありがとう僕はこのことを忘れるまで忘れないよッ!」
「それただ記憶の隅に置いておく程度の意味しかないですよッ」
「気にしないでくれッ。またなお前ら」
「ジンさんッ!」
「ジン!」
「2人とも行くぞ!」
と、3人には帰ってもらった。
「さて。……リーナか」
僕がそう言うと、黒のフォーマルスーツのような服に羽織りを着たリーナが路地の暗闇から歩いてきた。リーナ僕の2番目の配下だ。水色のショートヘアに赤眼という神秘的な外見の上スタイルが抜群なエルフと人間のハーフだ。ティマがすぐに拾ってきて驚いたのはよく覚えていると思うこの記憶が本物ならね。
「ヒヅキ様。お久しぶりです」
「今日はどうしたの?」
「報告をしにきました」
「場所を変えようか」
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