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第12話 類は友を呼ぶ〜一部例外〜

 僕は15歳になり、魔術学校に入学した。正式名称は『グリム魔道国際魔術高等学校』と言うらしい。すごく長い名前だが、とてもかっこいい。


 そして、この魔術学校は3年間だけでなく、卒業後はさらに2年『大魔学』という魔術を極めし者の学校に進むことになる。まぁ普通に成績が悪ければ三年間だけになるけどね。その場合は卒業後の職に少し悪い影響もあるとかないとか。


 と、そんな魔術学校に入学してはや2ヶ月。僕は現在なぜかチンピラに絡まれている。


 人数は3人。2年生の先輩達だ。


「よぉ、そこの一年坊主。ちょっとお金貸してくれねぇか」

 

 そう言うのはグラス・ハット。金髪オールバックのこの3人のリーダー格だろう。


「ひっ、すっすっすみませんッ!ぼぼ、僕はお金は持ってなくて」


 とりあえずこう言う相手には自分を低く見せる。そもそもこの学校での僕のキャラはヘタレキャラとして通しているからだけどね。


 なぜかって?そりゃ裏の顔と表の顔はギャップがあった方がいいからさ。


 例えば超優秀な生徒が、裏でも超優秀なんて『当たり前』だ。


 ただどうだ?表ではひ弱な生徒が、裏では『最強』とかかっこいい。


「嘘つけ。さっき店で朝食を買ってるところを見ちまったんだよなぁ」


 ふむ。どうやらただのチンピラではないらしい。そこまで準備をして観察をして行なっているとはもやは尊敬に値する。


「ッ、その時に使い切ってしまって――ッ」


「あぁ?まだ嘘つくのか。さっさとださねぇと痛い目見ることになるぞ」


 男は僕を脅す。ありきたりすぎるが、いざ本物に会ってみるとこうもワクワクするのか。


「ひっそれだけはやめてくださいッ」


「いいから出せ」


 そして僕は財布を取り出し、手を震えさせながら差し出した。


「チッ、本当にねぇじゃねぇか」


 男は僕の財布を道に投げ捨てた。


「行こうぜお前ら」


 そう仲間に声をかけ去っていった。


「やれやれ。財布が汚れてしまったじゃないか」

 

 丁寧についた土を払い、カバンにしまう。ちなみにこれは革製の高級財布だ。僕がなぜ高級財布を持っているのかは、ティマにもらったからだ。


 そうそう、『ノワール』は現在結構成長したらしく、十分な戦力となったとティマは言っていた。


 まだ配下のほとんど知らないんだけどね。知っているのはその組織の中の幹部、『月柱』の12人だけだ。


 すると遠くの方から声が聞こえた。


「ジン!」


 走ってきたのは、1人の男。茶髪の髪をオシャレにセットした冴えない男。こいつの髪の色は前世でも見慣れているから安心を抱く。


 こっちの世界に来てから思うんだけど髪色が自由すぎる。それに金髪が多い。世界の半数は占めてるんじゃないかと言うくらいに。


 ちなみにこいつの名前はセン・スナシだ。名前の通りにセンスが終わっている。髪型はオシャレだけどあっていない。


「絡まれてたけど大丈夫だったかよ」


「大丈夫だよ。ちょっと財布が汚れただけ」


「そうか。何かあったらいつでも言えよ。俺は裏切らないからな」


 嘘である。僕は何度もこの言葉を聞いたが、一瞬で裏切るし、借りた金も返さない奴だ。


「そうかそうかつまり君はそんなやつなんだな」


「何言ってんだ?」


 あの有名な構文をかましたところでもう1人が合流する。


「ジンさんとセンさんおはようございます」


 そう言うのは丸メガネをかけた真面目くんの見た目をした同じくヘタレ。名前はマル・メーガネ。ヘタレにはヘタレが集まるのだ。


「なぁお前らわかってるよな」


「ええ、わかってます」


「あれだろ」


 3人は理解している。あれについて。そうそれは、あの忌まわしき陽キャの集まり。


「合コンだ!」


「本当に行くの?」


「行くに決まってる。行かない選択肢はない。」


「沢山の令嬢達が集まるらしいですよ。美女が何人もいるそうです。それなら僕達にも1人くらいは」


「そうだよな。絶対に彼女を作って見せる。にしてもあいつ遅いな」


 センが待っているのは僕達のグループでも最も優秀な生徒。なぜ僕達と絡んでるかわからないレベルで、合コンもこの生徒がいたから行けるのだ。


「あっ、来ましたよ」


 学校の制服を見事に着こなし、髪は清潔感あふれ飾りすぎていない、いかにも優しそうなイケメン。アイル・グラースが女性の目を惹きつけながらこちらへ向かってくる。


「遅くなってごめん」


「いいですよ」


「まだ登校時間内だ安心して行こうぜ」


「そうだよアイル」


「君たちは優しいね」


「嫌味か?」


 センが顔にシワを寄せガンをアイルに飛ばしている。


「ごめんごめん。そんなつもりはないよ」


「そうだよセン。アイルは素でやるタイプだからさ」


「そうですよ。アイルさんは素でやるタイプですから」


 アイルは怒った様子で言う。


「君たち私をなんだと思ってるんだ」


「イケメン陽キャ?」


「女の餌?」


「女たらし?」


「君たちいい加減にしなよ。今日の合コン取り下げてもいいんだからね」


「ひっ、それだけはアイル様。どうか今日の合コンだけは」


「お願いですアイル様」


 すぐに態度を変え、センとマルはアイルに媚びへつらう。まさにヘタレの鏡だな。


「調子がいい奴め」


 そう言って僕達は歩き出しす。ギリギリではあったが、なんとか遅刻せずに間にあった。


 僕のクラスは『Ⅰ-Ⅱ』。一年二組の生徒数は35人。センとマルは同じクラスだ。アイルは他クラス。


 まるで大学のような教室にそれぞれの仲良しグループで話を盛り上げて『ワイワイしてる人』と、1人静かに読書をしたりしている『青春自己完結型』がいる。


 僕達はワイワイグループに入るだろう。


 教室の扉を開き席に着く。マルが周りを見渡して言った。


「今日はやけに賑やかですね」


 自己完結型はいつも通り静かだけどワイワイ陣がいつになく賑やかだ。


『今日楽しみね』


『あのグワースク家もくるんだろ?』


『本当?俺らに勝ち目ないじゃん』


『もともとあなた達じゃ無理よ』


 どうやら合コンの話のようだ。結構大きい合コンなのだろうか。


 するとセンが真面目な顔して言った。


「さぁ、お前達よ」


「なんですか?」


「今から『緊急合コン大成功作戦計画会議』を始める」


 わざわざ長い名前にするあたり、さすがのセンだ。

 

「なんですか?それ」


「名前の通りだ」


「まずこの本を見てくれ」


 センが取り出したのは、表紙に考える人のポーズをしたいかにも心理学者って感じの人が座っているオシャレな表紙に、『相手の心、恋と駆け引き〜心理学者ノンセールの総集本〜』と書かれたようは恋愛攻略本だ。


「ここには数々の恋愛を成功させる心理学が載っている。例えばがミラーリング効果。例えば相手が飲み物を飲んだら自分も飲む。こう同じことをすることで好意を抱いてくれると言う心理学だ」

 

「それはすごい本を手に入れましたね」


「だろう」


「でもそれどこで手に入れたの?」


「昨日の放課後、路地に小さな書店を見つけてな」


 ――昨日の放課後。


「明日の合コンどうしようか」


 センは悩んでいた。何も対策をせず行けば負けることがわかっていたからだ。


 しばらく歩いていると、一つの路地が目に入った。


「なんだあれ。本屋か?こんなところに……」


 気になって入ってみるとそこにはヒョロヒョロのお爺さんがいた。


「珍しいお客さんだね。何をお探しだい?」


 センは迷わず答えた。


「恋愛の攻略本ってありますか」


「この本がおすすめだよ。この本はね。まだ誰の目にも止まってない、可能性を秘めた本さ」


 センの目にはその本が光って見えた。これしかない、そう思わせる確信があった――。


「てことがあってな」


 いかにも胡散臭い。


「それは運命ですね。これは絶対成功の鍵を握るはずです」


 するとアイルが言った。


「2人ともそんな本に頼っても意味ないと思うよ」


「お前には顔があるからいいだろうが」


「そうですよ。この本は読ませませんよ」


「それじゃあ会議にならなくないか?」


「確かにそうですね」


 まぁこんな感じで進めていき、計画が決まった。


「俺たちで今日の合コンを制すぞ!」


「やってやりましょう!」

第十二話を読んでいただきありがとうございます。

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