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催眠術師の端っこ教室  作者: ぴあす
第ニ章

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深海

「あれ避けるんですか...?」


 透明化を解除し、魔法のベールを下ろす。フレアの姿がサムライの前に現れた。

 光線に貫かれた帽子を捨ててサムライは下段に構え直した。菅笠に隠れていたサムライの素顔が顕になりフレア達は驚愕する。


「この菅笠気に入ってたんだけどな。まあいいぜ、連戦といこうじゃねえか。今度は本気で殺すぜ?」


「そんなことより...女性だったんですか!?」


「そんなことってなんだよ!?俺との一騎打ちより大事だってのか!?」


 漫才じみた会話が交わされた後、二人は崩れた構えを整える。

 これが最終決戦、フレアはヒリつく空気を感じた。


「さっきと同じ手は喰らいませんよ」


「安心しろ、手なんていくらでも...」


 サムライは言葉を言いかけで切り、フレアに反応の隙を与えない。高く跳躍し、上空からフレアに斬りかかる。


(こいつの攻撃をまともに受ければタダじゃ済まない!)


 フレアは後方にふわりと回避した。攻撃を外したサムライは地面に大きな亀裂を生み出す。フレアは今の行動が正解だったと冷や汗を垂らした。


「学んだか、お前は防御に自信があったようだが俺の攻撃はそれを砕いた...次避けるってのは妥当な判断だな」


 どうも、フレアは軽く返事をして魔術を吟味する。今ある最適解は、やつに一撃を喰らわす正攻法はと脳をフル回転させる。


「何ぼさっとしてんだよ」


 鋭い牙突《がとつ》がフレアの顔目掛けて突き抜けてくる。大きな構えに相対するように俊敏な突きは回避したフレアの顔に一筋の傷を残す。


「フワリル<飛翔>!」


 後方に飛び、サムライと距離を離す。


「ユーベイト<群れる魔力>」


 フレアは引きながらゆっくりとサムライに向かう魔力の球体を無数に放つ。その球体は速度自体は遅いが延々と標的を追尾する。


「チッ!しょうもねえ戦いだぜッ!」


「勝てばいいんですよ。あなたに手加減なんかしてられませんしね!」


 おもしれえ、サムライはフレアの魔球ををいなしながらじわじわと距離を詰める。

 途端にサムライは急ブレーキで足を止めた。追尾する魔球はサムライの背に何度もぶつかり弾ける。


(何をしてるんだ...?あれ、結構痛いはずなのに?)


 困惑するフレアの目は何か光を反射する物体を捉えた。それはフレアの防御魔法に防がれ、フレアの脳天を穿つ寸前で静止した。


「チッ。いい線いってると思ったんだがなあ」


「剣を...投げた?」


 サムライは魔球に打たれた背をさする。服が焼き切れ肌が露出していた。


「カッコつけすぎたな...さあ、どうしたもんかな。相手は硬えし、浮きやがる。刀の届く範囲じゃなきゃ勝ちはねえ」


 フレアはまた魔術の狙いを定める。


「苛烈熱線<ゼタスラグ>」


 杖先に赤く燃える魔力を溜め込みサムライに向けて放つ。一直線の熱線は速く鋭い。当たりさえすれば確実に重症は免れない。


「当たるかよ」


 地面を割るほどの踏み込みで地面に刺さった刀を引き抜く。


(さっきより速い‥‥!)


 フレアはまた距離を取ろうと後退する。その瞬間フレアの真下から尋常でない熱がフレアを襲う。それはサムライの放った攻撃。炎の斬撃だ。


(魔術!?東の人間も魔術が使えるの!?)


 バランスを崩したフレアは地面に緊急着地した。眼の前には燃え盛る刀を越しに携えたサムライ。魔力探知をしても、サムライから魔力は感じられない。一体何が起きている?フレアは困惑を隠せない。


「お前は強い。正直なとこ、刀一本じゃ勝てねえって思っちまった」


 燃え盛る炎はサムライの左腕を覆うまでに立ち上る。背景が歪み、地面の草を焼くその腕はフレアの額に冷えた汗を流させた。


「刀じゃ勝てねえってんなら!刀以外を使うしかねえよな!?」


 腕の炎はサムライの語気に比例して勢いを増す。呆気にとられたフレアは口を開けたまま手を打てずにいた。


「最後に聞く名を焼き付けておけ!我は邪牢《じゃろう》 陽影楼火《ひかげろうか》だッ!!」


 名乗りを上げた桜火は居合の構えを取る。はっとしたフレアも杖を構え、魔術を繰り出す。


「フワリッ!」


「待てよ待て。楽しもうぜ?そんな!だせえ戦い方じゃなくてよォッ!」


 数メートルは離れていたであろう桜火は気づけばフレアに触れる距離に。そして浮こうとしたフレアの足を掴み地面に叩きつけた。


「かッ!」


 桜火の力はまさに万力といったところ。ミシミシと音を立てて掴む腕に容赦はない。

 息ができない、視界が不安定に明暗する。地面を砕くほどの力で打ち付けられたフレアの意識は

 は落ちかけた。


「よくここまで戦った」


 落ちかけの意識の端で銀色に輝く鎧が黒く染まるのが見えた。ブレソルの”顔”から海が溢れ出る。深い蒼はすべてを飲み込むほどに暗い。果《はて》のない深淵《しんえん》がビチャビチャと音を立てながら地面に滴る。


「フレア、その‥‥すこしあっちを向いててくれるか?これなんか恥ずかしいんだ...」


 ァ、ハイとぎこちない返事をして、フレアは地面に伏す。もはやその三文字を発するので限界なほどにフレアの息は浅く弱かった。


「なんだよ...またお前か?往生際が悪りい奴は嫌いじゃあねぇが今は、邪魔だ」


 桜火は炎を纏った刀をブレソルに向ける。滴り続ける深淵は気づけばすべてで切ったようだ。鎧がバラバラよ地面に落ちる。深淵に形作られたそれは人のような何か。形容しがたいその姿にフレアは目を細めた。


「どんな形になったところでよぉ。勝つのは俺なんだよ!」


 振り下ろされた刀は黒くよどんだブレソルの胴体を両断する。地面にブレソルの上体が落ちた。半固形状の物体は脈を打つように躍動した。


「まだ...変身の途中だぞ。少しは待ってくれ」


 地面に落ちたブレソルが桜火の足にしがみつく。

 桜火は舌打ちをし、足にしがみつくブレソルを払う。


「どいつもこいつもバケモンじゃねえか。まあ俺は鬼もあやかしも斬ってきた。お前らも同様に切り捨てる。必ずッ!」


 より一層、桜火の炎は勢いを増した。

感想待ってます。厳しいお言葉も嬉しいのでいっぱい書いてくださいまし

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― 新着の感想 ―
ここまで読ませていただきました!主人公が思ったより狂っててずっと面白いですね!自信持ってください! これからも応援します! お互い連載頑張りましょう!
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