表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
催眠術師の端っこ教室  作者: ぴあす
第ニ章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/16

下級回復魔法

 剣を掲げたブレソルのアーメットから青白い光が覗いた。その光はどこかで見覚えがある。サムライは変わった空気を感じとり、上段の構えをとる。


「...本気か。悪くねえ」


「いざ尋常に...勝負!」


 古書で習った言葉を口にしてブレソルは一気に踏み込む。


 ◇◇◇


 フレアは家屋の壁に寄りかかる。切れかけの呼吸に焦りを覚えながら回復魔法を用意する。


「ヒ、ヒャ...ル」


 唇が震え、魔法の詠唱ができない。息もほとんど吸えていない状態で声を出すのは困難だった。

 ごふっ、咳が激痛をもたらした。血の混じった痰が口から吐出する。


「ヒャル...バッ...!」


 激痛に悶えながら胸に杖を押し当てて、魔法を搾り出す。


「下級回復魔法<ヒャルバ>!」


 小さな灯りが杖にともり、フレアの傷を癒していく。気を失いそうな痛みは次第に小さくなっていった。


「よ...し」


 フレアは深呼吸して、辺りを見回した。痛みに集中しすぎて聞こえなかった戦いの音が少し離れたところから聞こえてくる。


「透明化<イビジール>....音消しの魔法<サレント>」


 暗い青色をした魔法のベールがフレアをふわりと包み込む。咳を喉の奥に押し込み侍の方に向かった。


 激しくぶつかり合う金属が甲高い音を立てる。離れた場所からでもフレアは戦闘の激しさを察することができた。曲がり角を曲がりもうすぐのところまで来た瞬間、フレアの目の前を何かが勢いよく通り過ぎた。


 その対象は奥の壁に激突した。


「おいおいおい、さっきの気迫はどうした?これじゃ、騎士の名に恥じないとかなんとかは無理なんじゃねえのか?」


 サムライは刀を引き摺りながらゆっくりとブレソルに向かって歩いていく。

 ブレソルは地面に剣をつきアーメットの隙間から青黒い血のようなものを流している。サムライに勝てるのか、フレアは軽く息を乱した。


「サムライ相手に、卑怯はならんと...真面目に戦ったが...やはり、勝てないな」


「負け惜しみはよせよ?格好のいい死に様に泥塗っちまうぜ」


 跪くブレソルを見下す距離までサムライは近づく。ゆっくりと刀を振り上げ、ブレソルに死を寸前まで見せつける。


「じゃあな、鉄塊。悪くなかったぜ」


「最後に...一つだけ言わせてくれ」


 あ?、とダルそうにサムライは刀を下ろした。ブレソルは血の混じった咳をしながら言葉を搾り出す。


「貴公は、今まで一人で戦ってきただろう?」


「...だったらなんだよ?」


 何やらサムライの顔色が曇った。無人の港は驚くほど静かで二人の空間は錆びたような空気に包まれている。


「そして、自分の実力を信じきっているだろ?」


「お前、何が言いてえ!?」


 苛立つサムライは刀の剣先をブレソルの喉元に突きつけた。ブレソルには死にかけの体と相対する余裕が見える。


「それだよ、自分なら勝てる、負けるわけがない。その余裕が貴公を深海まで引き摺り込む」


 ブレソルは向けられた刃を両の手で掴み首に押し付ける。鎧の隙間に捩じ込んだ刃は、またしても青黒い血を流させる。


「殺すなら最後まで...だ」


「チッ」


 サムライは刀を引き抜き高く振り上げた。


「もう十分だろ。不気味な野郎が」


 刀を勢いよく振り下ろした刹那サムライの背後から青い軌跡を残す光線が侍の後頭部目掛けて飛んできた。


「は?あのチビ...まだ生きてやがったのか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ