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Staff Hero ― 支える勇者 ―  作者: 和泉發仙


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ロック・アーミナ号、出航! ― 渦潮との遭遇

『宙海と翡青列島 ― 海を分かつ渦と霧』


 海は国境を引かない。

 けれど、海は国を分ける。


 東と西――

 世界を二分する 大海おおうみ宙海そらうみ


 その中央やや西寄りに、

 宝石のように浮かぶ群島があった。


 翡青ひせい列島。


 蒼い海に翡翠の沼が点在するような多島海。

 海底の“潮の竜脈”が交差する場所で、

 古来より 海の加護 と 災い が同居していた。


◆地理


大宙海だいそらうみ

 → 世界最大の海。東西文化の境界

翡青列島ひせいれっとう

 → 宙海の中核。交易の中継点

・灰港シャルナ(はいこう)

 → 列島へ渡る最大の港町(今ここ)

雲梯渓うんていけい

 → 島々の間の断崖海路。渦潮の巣

・太陽塔の都ヘリオポラ

 → 列島最大都市。航海司祭が守護

・ラドーン核都かくと

 → 海底山脈の上に築かれた石の都


 ――だが今、その航路は閉ざされている。


◆危機


・交易船が次々と消息を絶つ

・渦の発生は夜だけ

・魔王軍絡みの **封海戦略ふうかいせんりゃく**の疑い

・“海の魔女”の噂

・そして 闇の海兵が沈没跡で目撃された


(海でまで戦争を始めたってこと……?)


 ジージーたちが知らぬところで

 世界の分断は静かに――しかし着実に進んでいた。


 海は、すでに敵の武器になりつつある。



 海の匂いは、砂漠も疲れも洗い流す。


「潮風……ちょっとしょっぱい!」


 ジージーは思わず鼻を鳴らした。

 港では船大工たちがロープを投げ、

 漁師が喧嘩しながら網を引き上げ、

 掛け声が飛び交う。


 シャルナ最大の遠洋船――


 商船ロック・アーミナ


 厚い船腹と三本マスト。

 船首には海獣の木像が睨むように突き出ていた。


「乗る船が……もう冒険の匂いしかしねぇ」


 リゲロがニヤリと笑い、

 セルグレンも短く息をついた。


(怖い……けど、楽しみ)


 ジージーは短杖を握り直す。


◆船長はクセ者だった


「アッシが ムハジ・サラメ 船長でさぁ!」


 回された手の中で、指輪が光る。

 どこか陽気で胡散臭い男だ。


「ま、ウチは安全第一、沈没率は“たった半分”!」


「半分って高くないですか!?」


「いやぁ、他は七割ですぜ?

 ウチは超優良企業で!」


 ニィィと笑って親指を立てるムハジ。

 ジージーたちは顔をしかめた。


 ミナは幽霊の姿のまま、ひそやかにジージーへ囁く。


「この人……なんとなく、嘘は言ってない気がする」


(それは……困る)


 そんな調子で、荷物の積み込みも終え、

 いよいよ船は海へ滑り出した。



共有鞄メッセージ・バッグ届いた!


「お、手紙だ!なになに……」


 ジージーは鞄から取り出した封を開く。


===========

レーヌ湖畔勇気供給

(旧:補給部隊)


新商品!!!!


・小回復ポーション:6本

・解毒草エキス:3本

・お守りクッキー:いっぱい

(形バラバラですの、お許しください!)


追伸:

海産物楽しみにしてますわ!!

           マリーヌ

===========


「クッキー……形すごいなこれ」


「任せろジージー!味は良い!」


 リゲロがかじりながら親指を立てた。


 セルグレンはポーションを手に取り、


「これで少しは安心できるな」


「……ありがとう、みんな」


 ジージーはミナと見えないハイタッチをした。



◆夜。海は静かに牙を研ぐ


 船は月明かりの中を進む。

 白い航跡だけが伸びていた。


 だが――


 海が、少しずつ 下へ沈む ように見えた。


「……潮の高さが変だ」


 セルグレンが眉をひそめる。


「あれ、光が揺れてる……?」


 船員が灯りを落とし、みんなが静まる。


 音だけが増えた。


 ゴゴゴゴゴ……


 波が渦を巻き始める。


 ミナが青ざめた声で告げた。


「……これは“潮の竜脈”が乱れてる。

 何かが、海を裂いてる……!」


 その瞬間――

 船底に衝撃!!


 ドォンッ!!


「魔物!船底から来やがった!!」


「結界を張れぇ!!」


 船員が走り、剣が抜かれる。

 暗い海面が――割れた。


 青白い光が、泡立った海から浮かび上がる。


 水を纏った 海兵鬼ドレイク・フロート

 魚と兵士を混ぜたような魔物が

 船の舷側を這い上がってきた。


「ジージー!敵だ!」


「分かってる!!」


 ジージーは前に踊り出た。

 短杖を回し、呼吸が拍へ変わる。


ツッ――!


 渦に揺らぎ、身体が軽く跳ぶ。


「退けッ!!」


 セルグレンが盾で魔物を弾き飛ばし、

 リゲロが足元へ滑り込み、二連突き。


「ミナ!やれる!?」


「Lv3……試してみる!」


 ミナの姿が淡い青光へ溶ける。

 背後に黒い霧柱が立ち――


『仲間を呼ぶ:Lv3』


 海の死者たちが浮かび上がる。

 水に濡れた骸骨兵が鎖を引きずり

 一斉に船上へ躍り出た。


 ボーンマリン×3 召喚


「いっけぇええ!!!」


 ミナの声と同時に

 骨兵たちが海兵鬼へ襲いかかる。


 船が大きく傾いた。


「クソッ!渦が強すぎる!!

 船長ォ!どうすりゃいい!」


「こうなりゃ、渦の外へ出すしかない!!

 進め!マスト全開ィィ!!」


 風が帆を叩き、

 ロープを握る手が悲鳴を上げる。


 海が 食いちぎろう としていた。


 


(止める。絶対に)


 ジージーの拍が跳ねる。


「――――来い!!」


 短杖が、

 海の闇へと牙を向いた。



◆次回予告


次話:

『渦潮の牙 ― 海底に潜む“魔女の視線”』


 渦潮の中心に潜む魔女の呪詛。

 海兵鬼の群れの背後に立つ黒い影。

 そして――ジージーたちの“落下”。


命綱は、仲間と拍だけ。

海の底から、戦いが始まる。


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