西大陸の玄関口にて
◆ オープニング:補給部隊 始動宣言
「このチーム名でいきますわ!
レーヌ湖畔 勇気共有補給部隊!!」
マリーヌがキラッキラの笑顔で宣言すると、
テドラが小さく拍手をした。
「長いけど……かっこいい!」
「えへへ、すごい大げさ……
でもジージーお姉ちゃん達の役に立てるなら」
メイド長カミラが頬に手を当てる。
「補給品の内容も考えましょうね。
こちらの物価や文化を調べなければ」
「ふむ!ではわたくしから……
あちらでは貴重な海産物などどうかしら!」
「湖のお魚じゃダメ?」
「うーん、地域差は必要ですわねぇ」
「逆にあっちの珍しい物をもらって
こっちで売れば……資金が増える……?」
カミラが目を細めた。
「ふふ、お嬢さまたち。
それは立派な交易です」
三人の目が★キラリーン★
「意外と、わたしたち……
やるべきこと、大きいのかも」
「その通り。あなた達が支えれば、
どれだけ遠くにいても冒険は続けられるわ」
テドラが拳を握った。
「ジージーお姉ちゃんたちが
どこにいても、繋がってるよ!」
──同じ頃。
灼熱の風が石畳を焼いていた。
砂の都 シワジ・イルモザ
「……あっちぃーー!!」
リゲロは体を仰いだ。喉から砂がこぼれる。
セルグレンは眉をひそめる。
「水、大事に使えよ。ここでは金より重い」
ジージーは目を細めた。
(ここ、完全に別の大陸だ……
見たことない服、見たことない言葉)
屋台の果物が光り、
色とりどりの絨毯がはためき、
怪しい目の商人たちが客を値踏みしている。
――ゴクリ。
「ちょいと、そこの旅の御仁さァ」
声をかけたのは
赤茶のターバンを締めた青年。
「へい!
あっしはラシード・バル=ハッサン。
交易ガイドでさぁ!」
セルグレンが鼻を鳴らす。
「胡散臭ぇな」
「はは、言われ慣れてますよ。
でも言っときますが、言語・相場・治安。
全部わかるのはあっしぐらいのもんで」
ジージーは、そんな彼を観察する。
笑顔の裏に、慎重な眼差し。
(信用できる…?いや、まずは様子見)
ラシードはジージーの装備を見ると、
指を鳴らした。
「おっと、いい杖持ってるじゃないですか。
売るなら高値で引き取りますぜ!」
「売らねーよ」
「なら、代わりに
いい鉱石が眠る場所紹介しましょう。
ダンジョンってヤツです」
セルグレンとリゲロが同時に動いた。
((反応早っ))
ラシードはニヤつく。
「金属はこっちじゃ安い。
逆にアンタらの持ってる
職人技の品はバカ高ぇ。
だから交換すりゃウハウハ」
「職人技?」
ジージーの脳裏に浮かぶのは、
湖畔の孤児院で
ルーシーが作っていたお馬さんの玩具。
「試してみる?」
カバンに手を入れ、
送り鞄の底を探る。
――コトッ
小さな木の人形が現れた。
(向こうで買ったんだ……ルーシーの手土産)
ラシードの目がまん丸。
「な、なんだその精巧な細工は!!
神の指先が削ったのか!?」
ガチで感動してる。
背筋を伸ばした商人が近寄ってくる。
「失礼。買値を言わせて下さい。
金貨20枚」
セルグレン「……は?」
リゲロ「倍以上ふっかけてるだろ…?」
ラシードが肩を竦める。
「へいへい、その玩具、
この国じゃ貴族の婚礼贈り物クラスだ。
20はむしろ安いぐらいで」
ジージーは息をのむ。
(ルーシー……
すげぇ才能なのでは……?)
=====
◆ 小取引成立!
ジージーたちは
木製玩具を3つ売り
かなりの金と道具を得た。
リゲロ「俺、もうここ住める気がする」
セルグレン「調子に乗るな」
ラシードは満足げに顎を撫でた。
「で……あっしからのもう一つのオススメ。
旧鉱山ダンジョンがあります」
「旧鉱山……?」
「ああ、昔は宝の山。
でも“ある事故”で封印された場所」
「危ないってことだな」
「へい。
そこを生きて出られたら……
最高の買い付けができる」
ミナが耳元で囁く。
「……気配。何かが、眠ってる」
ジージーは短く息を吸った。
「行く。案内してくれ」
「あいよ!
あっしが全身全霊でお守りしまさぁ!!」
(嘘つけ、戦力外だろ)
セルとリゲロが同時にツッコミ。
=====
馬車の影が揺れる道を
西へ西へと進む。
やがて大地は裂け、
闇が口を開いた。
旧鉱山ダンジョン入口。
ラシードが背筋を震わせる。
「へい、ここっす……
“死人石”が採れた場所」
風が鉄の匂いを運び、
どこかで骨が転がる音がした。
ジージーは杖を握る。
(今回の戦いは……
生きるための取引)
その奥で──
何かが蠢いた。
【つづく】
交易パート!
ジージーたちの「物の価値のズレ」を体感してもらいました。
→今回のポイント
・職人品と鉱物の価値の差
・ラシード加入と“商売=生存”
・補給部隊の正式命名
・旧鉱山ダンジョンへ導入
次回は──
→ダンジョン攻略!
そして ミナのスキルレベルアップ の前兆…。
引き続きよろしくお願いいたします!




