表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Staff Hero ― 支える勇者 ―  作者: 和泉發仙


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
91/249

囚われのBランク ― 魔族の転移陣


◆ 森を裂く悲鳴


 日が沈みきる前、森の奥から――

 焼け焦げる臭いと、甲高い爆ぜる音が響いた。


「マズい! ガレスたちの方角だ!」

「急げ!」


 先頭の馬車が急停止し、隊列が乱れる。

 ドナートの木盾がガタンと揺れ、ノーラの身体がよろける。


「ど、どうするの!?」

「決まってる——助ける」


 セルグレンは迷いなく盾を構え、リゲロが短剣を抜いた。

 ジージーは短杖を握り、真っ直ぐ前を見た。


 その瞬間、風を切る黒い影が四つ――

 森の木々を折り飛ばし、防衛線へ襲いかかる。


『ギィィ……ッ!!』


 黒い皮膜の翼。

 縦二つの瞳孔。

 魔王軍──“翼魔鬼”グラシア。


(っ……! 気配が、濃い……!)


◆ 初撃


「《押し留めろッ!》」


 セルグレンが盾を叩く。

 その前にリゲロが滑り込み、脚を払って一体を転ばせる。


「おいおい、強すぎんだろコレ!」


「後ろは任せて! 撃つよ——」

「《炎弾魔法ファイアボール!!》」


 ノーラの炎弾が一体の翼に当たり、そのまま地面へ叩き落とす。


(やった……!)


 だが、息をつく間もなく

 森ごと爆ぜる黒炎が視界を覆った。


 爆心の向こうから、

 悠々と歩み出る二つの異形。


◆ “魔軍下士官”登場


 一人は、大剣を肩に担ぐ黒鎧の巨漢。

 その脚が踏み出すたび、地を焼く。


「俺はヴァルガン。大屠殺の黒刃だ」


 もう一人は、薄紫の髪をなびかせた魔女。

 嘲笑を浮かべ、指先に転移魔法陣を灯す。


「そして私はミルヴィア。転送を司る可愛い魔法使い♪」


 ヴァルガンは顎でガレスを指した。


 彼の足元に——

 血を滲ませ倒れている ガレス がいた。


「余ったBランクか。まぁ、“サンプル”としては十分だろう」


「くそっ……! 勝手に……連れてくな……」


 ガレスが、歯を食いしばって鎖を引くが、

 魔女の陣はすでに輝きを増していた。


「ミナ! 索敵!!」


「……すぐ!」


 ミナの全身が淡く光り、

 初めて目に見えるほど強い風が巻き起こった。


「仲間を……呼ぶ!!」


 空気が裂ける。


◆ 仲間を呼ぶ Lv2 ——発動


 黒い蒸気が地を覆い、

 そこから金属音と共に何かが立ち上がる。


 ガチャガチャ……


 骨だけの戦士達。

 だが、ただの骸骨ではない。

 亡者兵スケルトン・ガード


 三体が前衛に並び、

 ミナを中心に霊気の陣形を取った。


「……今度は、見えやすい形で守るから」


「ミナ……!!」


◆ 反撃開始


「《二連突き》ッ!」


 リゲロの短剣がヴァルガンの脇へ滑り込む。

 だが——火花だけ。


「チッ、鎧が化け物じみてやがる!」


「《崩し》だ」

 セルグレンが盾で体勢を崩す。


「今ッ!!」

「《魔力拍》——ッ!!」


 ジージーの短杖が、

 ヴァルガンの頸の継ぎ目へ叩き込まれる。


 ズガン!!!


 巨体がたたらを踏み、地をえぐった。


(……効いた!)


「ちっ、鬱陶しいガキ共!!」


 ヴァルガンの大剣が横薙ぎに走り、

 木々が一斉に吹き飛ぶ。


「——!!」


 骨兵三体が盾のようにジージー達の前へ立ち塞がり、

 粉砕されながらも攻撃を止めた。


「ミナの……戦いだ」


 震える声だが確かな強さ。



◆ 魔女の詠唱


「そろそろいいわ♪

 サンプル君は連れて帰るし、

 あなた達は邪魔だから散ってもらうわね」


 ミルヴィアが地をなぞる。


 巨大な転移魔法陣が森一面へ広がった。


「マズい!!」

 セルグレンが叫ぶ。


「ガレスを!!」

 リゲロが駆けだす。


「ミナ、援護!!」

「任せて!!」


 霊気の鎖が魔女の足を捉える。


「……ちょっとはやるじゃない」


 ミルヴィアは笑う。


「だけど遅いわよ?

 転移は——もう起動した」


 光が爆発的に強まった。


◆ 最後の距離


 ジージーは魔力の奔流へ飛び込む。


「ガレス!!」


「来るな! 巻き込まれ……」


 手が触れた。

 その瞬間。


 視界崩壊。



◆ 奪われる世界


 天地がひっくり返り、

 光と闇が反転し、

 鼓膜を破る高周波が脳を刺した。


「ジージー!!」

「セル!!」

「ミナァ!!」


 耳鳴り。

 重力の消失。

 肉体の境目がほどけていく。


(まだ……離さない……!!)


 ジージーは

 ガレスの腕を必死に掴んだ。


 その力が——

 魔法陣の中心へ二人を引きずり込む。


 三人+一体。

 世界から消えた。


◆ 着地 —— よろしくない形で


 ドシャアッ!!!


 硬い岩の地面へ叩きつけられ、

 肺から空気が奪われる。


「ごほっ……! ここは……?」


 辺りには風の音しかない。

 緑がひとつもない荒野。

 空気は乾きすぎて、喉がひりつく。


 ジージーは立ち上がり、

 周囲を見渡す。


「セルグレン!? リゲロ!?

 ミナ!! ガレス!!」


「ここだ」


 セルグレンが岩陰から現れる。

 リゲロも、足を引きずりながら近づく。

 ミナは霧のように漂い、まだ不安定。


 だが。


「ガレスが……いない」


 ジージーの心臓が凍りついた。


 魔族に 連れ去られた。



◆ 不気味な空


 その時、空に黒い影。


 巨大な四翼の怪鳥——いや。


 禍々しい魔力。

 魔王軍の軍旗。


「……ここは」


 セルグレンが低く呟く。


「宙海連邦でも、湖畔公国でもない。

 山脈をいくつも越えた西の大陸のようだ…」


 風が、戦の匂いを運んできた。


 ジージーは、短杖を強く握る。


「探そう。

 ガレスを。

 そして——帰る方法を」


 荒野の向こうへ、

 歩みを進める。



◆ 後書き


✔ ガレス(B)は魔族に拉致

✔ ミナ《仲間を呼ぶ》Lv2(スケルトン登場)

✔ ジージー達は西の大陸へ転移

✔ 次章は “未知の大地でのサバイバル” へ突入!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ