第6話 『英雄?そんなの知らない』
【前書き】
地上へ帰る道。
英雄扱いなんて慣れてない冒険者たち。
でも待っていたのは――
これまでにない“歓迎”だった。
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◆1 迷宮出口 ― 朝日が眩しい
階段を上がりきった瞬間。
ジージーは思わず立ち止まった。
「……朝だ」
東の空が金色に染まり、
鳥が一斉に鳴き始める。
石と暗闇の世界から
光と風の世界へ。
ノーラはまだ眠っている。
リゲロがおぶい、ミナが後頭部近くで見守っていた。
セルグレンは静かに空を仰ぐ。
「……生きて帰った」
ジージーの胸がじんと熱くなった。
(迷宮の匂いじゃない空気……当たり前なのに……こんなに嬉しい)
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◆2 ギルド前のざわめき
馬車が街門をくぐると、
人だかりがすでにできていた。
誰かが叫ぶ。
「戻ってきたぞ!!」
「本当に戻ってきた!!」
歓声が爆発する。
「ま、待って……なんでこんなに人が……!?」
「そりゃそうだろ」
リゲロが半笑いで囁く。
「未踏階層から帰った攻略隊。
全員生還。
戦果あり。
新たな魔導具まで持ち帰ってきたんだぜ?」
(そんな……大げさな……)
ジージーは照れながら
短杖をぎゅっと握る。
セルグレンが肩を叩いた。
「褒められるうちに褒められとけ」
「う、うん……」
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◆3 英雄扱いに慣れない者たち
ギルマス・ダイアーが胸を張って叫ぶ。
「こいつらが!
新たな地図を持ち帰った冒険者どもだ!!」
歓声の渦。
「ジージー!」「セルグレン!」「リゲロ!」「エルナ姐!!」「ユルクー!!」「ノーラちゃーん!!」
ノーラは目を覚まし、
状況に混乱して固まる。
「ほ、ほんとに……?
あ、あたし……生きて……っ」
エルナが抱き締める。
「あんた!やったじゃないか!!
堂々と胸張りな!!」
ノーラの目から涙が溢れた。
「う、ううっ……」
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◆4 ガレスとレオニードの変化
ガレスは群衆の喝采にも驚く様子もなく、
ぼそっと呟いた。
「騒がしいな……」
だけどその声は、
どこか満足そう。
レオニードは腕を組んで頷く。
「……あの一撃は、
我々の命を繋いだ。
誇れ」
ノーラは真っ赤になりながら深く頭を下げた。
「は、はいっ!!」
リゲロがジージーの背中を押す。
「ほら。行ってこい」
「行ってくる……ってどこに?」
その瞬間。
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◆5 孤児院からの嵐
「ジージー!!」
飛びついてきたのは
テドラだった。
「ありがとう!ありがとう!!」
続けてミーロも。
「ぼく、しななかったよ!!」
「うん。えらいぞ!」
ジージーは二人を抱きしめる。
そこへルーシーが
息を切らして駆けてきた。
目が潤んでいる。
「ジージー……っ
……大丈夫でよかったぁぁぁぁ!!」
そのまま勢い良く――
抱きつく!
「うわぁ!?」
(わ、わっ……!?)
ミナが耳元で茶化す。
「人気者ぁ〜〜」
「うるさいっ」
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◆6 家族みたいな時間
ダイアーが高らかに宣言する。
「今夜は宴だ!!
街中に奢りを出す!!
冒険者ギルドの名にかけてな!!」
「ギルマス、太っ腹だな!」
リゲロが笑う。
ダイアーは威風堂々と答えた。
「英雄は街で祝われるべきだ!!
それがまた次の冒険者を育てる!!!」
(英雄――
あたし、英雄……?)
セルグレンが隣で呟く。
「照れるな、英雄」
「……照れるよ」
風が優しかった。
迷宮の冷たさとは全く違う。
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◆7 “つながる鞄”の行方
宴の準備時間、
ジージーたちはギルドの控室に集まっていた。
机の上には
あの宝箱に納まっていた 二つの鞄。
ユルクが説明書を読み上げる。
「“同じ物が二つ存在し、
片方に入れた物が
もう片方に出現する”……
とのことです」
リゲロが目を丸くした。
「ヤバすぎだろ……
商会が血眼で探すレベルだぜ……」
セルグレンがジージーを見る。
「どう使う?」
少し考えて――
ジージーは笑った。
「ルーシーたちに預ける。
孤児院のための鞄だよ」
ミナが満面の笑みで頷いた。
「うんっ。いいと思う!」
リゲロも白い歯を見せる。
「そりゃ最高だ。
孤児院に食い物と服を無限に届けられるじゃねぇか!」
ガレスは腕を組んで近寄り、
ぽつりと。
「……気に入られたな、街に。
英雄ってやつは、
そういう奴であって欲しい」
(英雄……)
ジージーは照れて髪を触った。
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◆8 宴の準備、そして…
控室を出る直前、
セルグレンがジージーにだけ聞こえる声で言った。
「いい判断だ。
誰かのために戦うのが、お前の強さだ」
「セルグレンさんこそ……
あたしを守るのが得意ですよね?」
「……さぁな」
珍しく照れた表情。
ミナはそれを見て
肩で笑う。
「いいねぇ。
仲良しさんだぁ」
「ミナは黙ってなさい!」
「やだ♡」
こうして――
寄せ集めの小隊は
街の温かさに包まれた。
明日の不穏をまだ知らずに。
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【後書き】
迷宮帰りの朝は、
冒険者たちにとって
“生きて帰れた”ことを実感する時間。
英雄扱いなんて照れくさいけれど
ふと気づく。
人の笑顔のために戦った
それだけで十分だと。
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→次回
第7話
『プレゼントは魔法の鞄』
ルーシー&子どもたちパート
ちょっとだけ恋のタネと、未来の伏線




