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Staff Hero ― 支える勇者 ―  作者: 和泉發仙


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第5話『階層守護者、出現』



【前書き】


寄せ集めの小隊は、

互いの弱さを補い、ひとつの牙を手に入れた。


だが迷宮はそれを看過しない。


“心臓”が目覚める。

“怒り”が歩み出す。


今こそ――

この寄せ集め隊の本当の実力が試される。



◆1 迷宮の心音


ドン……

 ドン……

  ドン……!!


床が鼓動している。

壁がうねる。


ミナが低く呟く。


「……これは、“侵入者排除”じゃない。

完全に“敵認定”……迷宮が怒ってる」


ガレスが剣を構え、笑った。


「望むところだ。

本気を出してきたってことだろ?」


(違うと思う……)


ジージーは奥底の嫌な予感を拭えない。


リゲロが舌打ちする。


「数じゃない。

これは……一体だけだ」


「一体……?」


石壁の隙間から、風が吹き抜けた。


それは――

鋭い爪がつくる空気の裂け目。



◆2 守護者、姿を現す


ズシィィィン!!!!


通路が裂け、赤黒い巨体が姿を現した。


岩竜がんりゅうシュルヴァーン


全長八メートル。

鱗は鉄鉱石の光沢。

背に黒鉄の棘塔が牙のように林立する。


エルナが声を失う。


「こ……ここ、6Fレベルじゃないよ!?」


レオニードでさえ冷や汗を浮かべる。


「バカな……

この巨体、魔力密度……

少なくとも“階層守護者”……!」


シュルヴァーンが吼えた。

耳を破る咆哮。


「ガアアアアアアアアッ!!!!」


その一撃だけで後衛全員が吹き飛ばされる。


「っ……!!」


ジージーは短杖を踏ん張って受け止めた。


「ノーラ!下がれ!!」


「は、はいぃっ!!」



◆3 前衛崩壊


岩竜の尾が唸る。


ドゴォォォオッ!!


「ぐぉっ……!」


ドナートが盾ごと壁へ叩きつけられる。


「ドナート!!」


次の瞬間――

ガレスが真正面から踏み込む。


「ハァァァッ!!」


剣が鱗に弾かれる。

火花だけが散った。


(硬い!!)


レオニードが援護魔法を放つ。


「《雷針》ッ!!」


ピシャア!!

紫電が鱗を走る――が。


弾かれる。


(魔術も効かない!?)


セルグレンが睨む。


「急所を見極めろ!

“どこか”に穴があるはずだ!!」


ジージーの脳裏に

デス・リザード戦がよみがえる。


「鱗の“継ぎ目”……!」



◆4 ミナの分析


ミナが、誰にも見えない高速で回り込む。


「……背中の棘塔!

根元が……鼓動してる!

あそこが魔力の――

供給管!!」


「リゲロ!背中だ!!」


「分かったよ!!」


リゲロが滑り込み、棘へ斬撃――


しかし。


ガキィィン!!


刃が欠けた。


「んなッ……!?

どうなってんだ硬すぎだろ!」


(直接はダメ……なら!)


ジージーは叫ぶ。


「尻尾!!

尻尾の節!そこを崩して転ばせる!」


ガレスが吠える。


「やってみろ!!」



◆5 全員連携!


「ドナート!盾壁!!」


「うおおおおお!!」


盾で巨体を受け止める。


「トリス!脚の腱!!」


「任せろ」


小さな刃が、足首のわずかな肉の隙へ。


シュルヴァーンがぐらつく。


「エルナさん!頭押さえてください!」


「食らえぇぇ!!」


頭上から渾身の突撃。


岩竜が膝をつく。


(今だ――!!)


ジージーが跳ぶ。


短杖、両手で握りしめ――

尻尾の節へ叩きつける!


バギャッ!!


節が折れた。


岩竜が崩れ、背中が露出する。


「背中の、魔力の管……!

狙える!!」



◆6 ノーラ覚醒


ジージーは振り返る。


「ノーラ!!!

いける!?!?」


震える少女は――

自分の杖を見た。


(守られてばかりじゃ……嫌だ……!!)


目を閉じて、歯を食いしばる。


「……私は……

仲間を燃やすために

炎を使うんじゃない!!


私は――

仲間を、生かすために

魔法を使うんだ!!!」


杖から膨大な熱が溢れた。


「魔力全開……っ!!」


「ノーラ!?」


「大丈夫……信じて!!」


炎が世界を染める。



◆7 放て――新たな魔法!


「炎弾魔法――

《ファイアボール》!!!!!」


ゴオオオオオオオオッ!!!


巨大火球が

棘塔の根元へ――


直撃!!!


ズガァァァァアアアアン!!!!


爆風。

迷宮が震える。


黒煙。

石が崩れる。


(決まった――!!)



◆8 勝利と代償


岩竜が悲鳴を上げて倒れた。


ドサアァア……!!


静寂。


ミナが肩にとまる。


「……やったよ。

ノーラが……迷宮を変えた」


ノーラは崩れ落ちた。

魔力を全て使い切り、意識を失いかけている。


「ノーラ!!」


ジージーが抱きとめる。


「は……へへっ……

やれました……?」


「うん。最高の魔法だった」


ぽろっと涙が落ちた。


ノーラは気を失いながら

小さく笑った。



◆9 至宝の発見


岩竜の死骸が光になり――

宝箱が現れた。


レオニードが目を見開く。


「こんな……

未踏階層の宝箱……!」


ガレスが口笛を吹く。


「開けろよ、チビ」


ジージーが震える手で

蓋を開けた。


中には――


革製の

同じ形の鞄が二つ


タグがついている。


『どちらかに入れた物は

もう一方へと送られる』


「……これって……」


ミナの声が高鳴る。


「双方向転送の魔導具!

こんなもの……王城級の宝物……!!」


ガレスとレオニードが

互いに顔を見た。


「……ちびは運まで持ってやがんのか」


「いや、実力が伴ってきただけだ」


ガレスがふっと笑う。


「悪くない。

認めてやるよ――

寄せ集め隊の中心、ジージー」


ジージーは目を瞬かせる。


(認めて……くれた……?)


セルグレンが言う。


「帰るぞ。

この成果を持ち帰る」


全員が頷いた。


寄せ集め隊は

一つ上の冒険者へと進化した。



【後書き】


寄せ集め=実力不足ではない。

誰かを救いたい、背中を守りたい。

その意志こそ、迷宮が最大の脅威として認める力。


双方向転送の「つながる鞄」。

後のジージーたちの“日常の絆”の象徴となる宝物。


ここで第1章は一区切り。

でも物語はまだ始まったばかりです。



→次章予告

『帰還と絆――日常へ帰ろう』

•ノーラの成長

•宝箱の恩恵と街の好反応

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