第4話 『寄せ集めの反撃』
【前書き】
迷宮は怒りを見せた。
Bランクをも孤立させ、寄せ集め隊を分断。
ここから始まるのは
“俺様”でもなく
“優等生”でもなく
“寄せ集め”が勝つための戦い。
鍵は――
成長途中の魔法使い、ノーラ。
⸻
◆1 迷宮の脈動
「来いよ、歩く生ゴミが……!」
ガレスの怒鳴り声が遠く響く。
返事の代わりに、巨大な石柱が崩れる音。
ズオオオォォン!!
ジージーは迷宮の壁を見つめる。
(ここ……“生きてる”)
壁が呼吸している。
石なのに。
まるで筋肉のように。
レオニードの声が聞こえた。
「罠じゃない……これは
**階層防衛装置の“起動”**だ……!」
「なんでそんなもんが……!」
エルナが叫ぶ。
ミナが震える声で囁く。
「根っこにいる……すごく古くて、強い魔力が……」
(迷宮の“心臓”が怒った?)
⸻
◆2 合流戦術
セルグレンが短く命じる。
「全員、後衛を守りながら
ガレスたちへ向かうぞ」
「へ、へいっ!」
ドナートが盾を前に出す。
トリスが影のように横を走る。
「ノーラ、撃つな。まだ隠せ」
「は…はいっ!」
ノーラは喉を鳴らし、杖を強く握る。
ミナが風を読む。
「左曲がり三歩、そこから真っ直ぐ……!」
「了解!」
ジージーたちは迷路を駆けた。
⸻
◆3 合流地点:待ち伏せ
ガレスの背中が見えた瞬間――
ズズッ……!!
通路の床が黒く膨らむ。
岩石の塊――二足歩行の**岩鬼**だ。
「ガレスさん、後ろ!」
ガレスが振り向く前に、
ジージーは飛び込む。
「喰らえッ!!」
短杖がヒールから打ち上がり
岩鬼の関節へ叩き込む。
パキィィン!!
「ほぉ。
チビ、なかなかやるじゃねぇか!」
一瞬だけ、ガレスの口元が笑った。
岩鬼二体。
巨腕を振り上げる――
「任せろ!」
リゲロが滑り込み、太腿に深々と斬撃。
エルナが正面から受け止める。
ドナートが盾で押し返す。
「トリス、右脚を!」
「了解」
短剣が関節に刺さる。
敵の動きが鈍る。
⸻
◆4 ノーラ、撃て
「ノーラ!」
ジージーが叫ぶ。
「いける……?」
ノーラは震え、迷って――
しかしジージーを見た。
(守られてばかりじゃ……
何も変わらない)
「……撃ちます!!」
ノーラの声が震えを超えた。
「炎矢魔法!!」
ピシュッ!!
小さな火矢が飛ぶ。
しかしその軌道は鋭い。
岩鬼の口へ――
喉奥の火薬袋のような部分へ。
ボッッ!!!
轟音。
岩鬼が一体、崩れ落ちる。
「やっ……たっ!?」
エルナが拳を突き上げる。
「いいぞ!
次もその調子で撃て!」
「は、はいっ!!」
ノーラの顔に勇気の炎が灯った。
⸻
◆5 反撃の連携
残る一体。
セルグレンが前へ一歩。
「いくぞ。
合わせろ、ジージー」
「はい!」
セルグレンが低く潜り込む。
「《断ち割り》――!」
ゴッ!!
足首を刈り取るような一撃。
岩鬼がぐらりと崩れる。
「今!!」
ジージーは跳んだ。
短杖を握りしめ――
「せぇぇぇえっ!」
頭上から、
砕けた甲殻の隙間へ叩き込む。
バキィィィ!!
粉砕。
岩鬼は粉となって消えた。
「よし。合流成功」
セルグレンが短く頷いた。
⸻
◆6 “寄せ集め隊”名乗り
合流を確認しながら、
レオニードが眉をひそめた。
「……思ったより動けるな、お前ら」
ガレスが鼻を鳴らす。
「当たり前だ。
俺が率いてんだぞ?」
(え、今のはほぼ私たちで倒した…)
トリスがボソッと毒を吐く。
「今の……ガレス殿は何かしました?」
「言うな」
リゲロが笑って肩を叩いた。
ノーラはそっと呟く。
「……みんなで、守って、
みんなで……倒せた」
ミナが肩に触れ、微笑む。
「それが、“仲間”だよ」
ジージーは胸が熱くなる。
(寄せ集めって言われても――
今の私たちは、ちゃんと“隊”だ)
⸻
◆7 迷宮が笑う
その時。
――ズズズズズ……!!
床が震える。
天井から砂が落ちる。
空気が冷たくなる。
レオニードが青ざめた。
「……きたか。
階層守護者――本命だ……」
ガレスが剣を抜く。
「ここからが本番ってわけだ」
ジージーは一歩前へ。
「戦える。
全員で戻るって決めたから」
ノーラも震えながら前を向く。
「……はい。私も」
ミナの声が響く。
「来るよ……!
“人間じゃない怒り”が……全部押し寄せてくる!!」
迷宮が嗤う。
石壁の奥から――
何か巨大なものの 足音 が。
ドン……
ドン……
ドン……!!




