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Staff Hero ― 支える勇者 ―  作者: 和泉發仙


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寄せ集め遠征隊、出発!


━━━━━━━━━━━━━━


【前書き】

ギルドで召集された十名の“寄せ集め遠征隊”。

馬車で迷宮へ向かう道のり、性格の悪いBランク組と萎縮するDランク組。

その中でジージーは、静かに決意を固める。


「全員で帰る」

その理想を胸に、闇へ踏み込む――。


それでは本編をどうぞ。






◆1 馬車の道中


ガタゴト、ガタゴト。


馬車が揺れるたび、積んだ荷物が少し跳ねる。

朝日の下を進む一行の空気は――重い。


ガレスとレオニードは、一台目の馬車の一番前。

ジージーたちは後ろの馬車。


「はっ……最悪。なんで俺らが“面倒見役”なんだよ」


リゲロはため息をついた。


「なんでって、俺らが“この迷宮に一番慣れてる側”だからでしょ」


ジージーが笑うと、ミナが耳元でひっそり囁く。


「慣れてるって言っても、ボスを倒したのは一度だけだよ」


(ほんとだよ……)


セルグレンは目を閉じたまま答えた。


「どのみち、遠征隊は“本番のテスト”になる。

ここからは気を引き締めろ」


馬車の前方から、レオニードとガレスの笑い声が聞こえてくる。


「Dランク共、ビビって馬車の隅で固まってるぜ」

「まぁいい。いらねぇ荷物は罠に踏ませりゃ済む」


(……こういう空気、嫌いだ)


ジージーは拳をぎゅっと握った。



◆2 沈黙市の迷宮・入口


鬱蒼とした森を抜けると、ぽっかり口を開けた巨大な穴が現れた。


――ラビュリントス(深層階層迷宮)


石碑にうっすら刻まれたその名は、苔にまみれて読みにくくなっている。


「ここが……ダンジョン……」


ノーラが震える声で呟いた。


ドナートは無理矢理、気合いを入れるように胸を叩く。


「ぜ、絶対守ります! オレ、盾ですから!」


「……生きて帰るためにな」


トリスの言葉は冷静で、逆に頼もしい。


セルグレンが号令をかける。


「隊列確認。前衛、ガレス・セルグレン・ドナート。

中衛、リゲロ・ジージー・エルナ。

後衛、レオニード・ユルク・ノーラ・トリス」


「おい、指示するのは俺だろ?」


ガレスが睨む。


セルグレンはさらりと返す。


「前に進むだけなら、お前で問題ない」


(……言い返し方が上級者)


扉代わりの重い石の壁が、ギギギ……と開いた。


冷たい風が、一行の頬を撫でる。



◆3 圧倒的な“差”


中に入った途端――


「グギャアア!」


狼型の魔物が三体、飛びかかってきた。


だが――


「遅い」


ガレスの剣が銀色の軌跡を描く。


ザシュッ!


一瞬で狼三体が霧散。


即座にレオニードが指先を弾く。


「《フレアスパイク》」


床から火柱が立ち上がり、さらに奥のコウモリ型魔物を串刺し。


ドンッッ!!


爆ぜる炎に照らされて、ガレスが不敵な笑みを浮かべる。


「見たかよ、雑魚共」

「これがBランク。お前らの目、節穴じゃなきゃ理解できるな」


後衛のDランク組は、すでに心が折れそうになっている。


「え、え、え、はや……」

「俺ら、いらなくね……?」


ノーラは必死に杖を握る。


ジージーは、彼女の震えた手にそっと手を添えた。


「大丈夫。ここまでは想定通り。

ノーラさんの出番は、もっと“奥”だから」


「……が、がんばります!」


ミナがひっそり笑う。


「ジージー、頼られてるね」


(頼られるのは嬉しいけど……気を抜けない)



◆4 後衛の仕事


戦いは、完全にガレスとレオニードの独壇場だった。


「どんどん行くぞ! 置いてく!」


「ちょ、ちょっと、早すぎ……!」


遅れた者が魔物に襲われかけると――


「――ッ!」


セルグレンとリゲロが即反応して阻む。


ジージーは、短杖をくるりと回し、敵の足を絡め取るように叩き落とす。


「ミナ、捕まえて!」


「了解っ」


ミナのレイスが敵の動きを止める。


小さな連携が、Dランクたちの命を救っている。


(私たちの役目は――後ろを守ること)


それは、とても大切な任務だ。



◆5 小休止と、わずかな綻び


しばらく進んだ先で、ガレスが足を止めた。


「ここで少し休む。Dランク共は息整えとけ」


ユルクが地図を確認する。


「もう少しで2F突入地点です」


レオニードが肩をすくめる。


「拍子抜けだな。もっと手応えが欲しいものだ」


「俺はあの“階段”が気味悪い」


ガレスが言うと、セルグレンが応じる。


「気味悪いからこそ、本番だ」


ノーラは、ジージーの横で肩で息をしていた。


「はぁ、はぁ……まだ大丈夫です……!」


「無理しない。後ろは任せて」


ジージーがそう言うと、ノーラは小さく笑った。


――その時。


ミナだけが、奥をじっと見ていた。


(……なにか、いる)


声には出さない。

ただ、ジージーの袖をそっと引いた。


「奥に、“穴”がある」


「穴……?」


「何か、大きい。生きてるのか、寝てるのか……わからない」


視線を感じたかのように、空気が少し冷えた。


「集合!」


ガレスが立ち上がる。


「2Fへ乗り込むぞ。置いてかれたくなけりゃついてこい」


「……来る」


ミナの声は、かすかな警告。


ジージーは短杖を握り直し、深く息を吸った。


ここからが、本当の地獄かもしれない。





【後書き】


Bランク組の圧倒的火力。

助けられる側のDランク組。

挟まれるジージーたちCランク組。


まだバラバラの遠征隊――

だが、確実に危険は迫っている。


次回

第3話『暗闇の中で』


お楽しみに!

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