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Staff Hero ― 支える勇者 ―  作者: 和泉發仙


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特別話 『小さな噂と三つの視線 ― ジージーファンクラブ誕生の日 ―』



【前書き】


・テドラ&ミーロ救出後の、町に平穏が戻った頃

・ジージーたちはギルドの依頼で“ゴミ回収”の仕事中

・その裏で、領主令嬢マリーヌ、ルーシー、テドラの三人が

 ジージーについて語り合う“女の子会” を描きます。


この回で

ジージーを中心とする“3人のファンクラブ”

が自然に誕生します。


では――本編です。



【本編】


レーヌ湖畔公国・ウィスラ・レーヌ。

午前の陽はまだ柔らかく、湖から吹く風が街路にそよいでいる。


ジージーたちは、

ギルドの依頼で「町中のゴミ回収」をしていた。


――その、少し離れた場所。

領主館の広い裏庭の一角。


白い日差しの下で、テドラが緊張した面持ちで立っていた。


その目の前には――

ふわりと淡い金の髪を揺らす少女。


領主の一人娘、マリーヌ・リュシアン・レーヌである。


「では、テドラさん。

 あの日のことを、聞かせていただけますか?」


柔らかい笑みを浮かべるが、

その瞳の奥には鋭い知性と――

“正義を見過ごせない強さ”が見えた。


その隣には、孤児院の少女 ルーシー がそわそわしながら控えている。


ルーシーは物づくりが得意な天才肌。

だが、領主の娘と並ぶと、緊張で肩がカタカタ震えていた。


「た、たたっ……テドラ……!

 ががっ、がんばって……!」


「き、緊張する……っ!!」


マリーヌはくすっと微笑んだ。


「大丈夫ですわ。

 あなたの勇気のお話を、ただ聞かせてほしいだけですもの」


テドラの頬が、かすかに赤くなる。


(や、やば……このお嬢様、思ったより優しい……!

 そして綺麗……!!)



テドラとミーロが誘拐され、北の競売ルートへ運ばれたあの事件。


救ったのは――

ジージー、セルグレン、リゲロ。

そして幽霊のミナだった。


三人はすでに町中でちょっとした英雄である。


だが、

“当事者”のテドラの口から語られる話は、

ウィスラ・レーヌの令嬢にははじめてのものだった。


「ジージーさんたちは……すごかったんです……!」


テドラは深く息を飲むと、一気に語りだした。


「連れ去られたあたしらを追って、

 森の中の、あんな暗い道を……!

 怖いはずなのに、引き返さなかった。

 ジージーさんなんて、震えてるのに前に立って……!」


「まぁ……! ジージーさんが……?」


マリーヌの青い瞳がきらりと揺れた。


(震えても前に出る……

 それは――本物の勇気ですわね)


「セルグレンさんも、あの時すごかったんです。

 あたしらが乗せられた荷台の跡を、

 何時間も追って……匂いの残りとか、足跡とかを……」


「ふむふむ!!」

ルーシーは身を乗り出した。


「お、お前も興味津々だな……!」


「だってぇ、ジージーさんたち、すっごいんだもん!!」


マリーヌは穏やかに笑っているが、

どこか興奮しているようにも見える。


「そして……リゲロさん。

 毒で倒れてたのに、治ったあとで

 誘拐犯の護衛を一撃で倒して……!」


「……まぁっ!!

 つまり……三人とも、すごいんですわね!!!」


テドラは大きく頷いた。


「す、すごいどころじゃねぇっす!!

 あたしは見たんです!!

 あのゴツい山賊が、ジージーさんの棒で――」


パン!!


突然、マリーヌが手を打った。


「決めましたわ!」


「えっ?」


「“ウィスラ・レーヌ・ジージー応援会”を作ります!!」


「「はあぁぁぁ!?」」


ルーシーとテドラが同時に叫ぶ。


マリーヌは胸に手を当て、堂々と宣言した。


「これは殿方を追いかけるためではありません!!

 町を救った勇者へ感謝を捧げる会です!!」


「え、あ、あのぉ……

 ジージーさん、女の人ですよ……?」


「女性でも構いませんわ!!

 勇気に性別はありません!!」


ルーシーの目が輝いた。


「あ、それなら……!!

 わたしも入る!!」


「おお!? ルーシー……!」


「ジージーさん、優しいし……

 あたし、あの人みたいに強くなりたいから……!」


マリーヌが満面の笑みで手を差し出した。


「では、あなたも仲間ですわ!

 わたくしはマリーヌ。

 あなたのお名前も教えて?」


「ル、ルーシー……です!」


握手の瞬間――

テドラも、自然と手を伸ばしていた。


「じゃ、じゃあ……あたしも……!」


「ええ!!

 もちろんテドラさんも歓迎しますわ!!」


三人の手が、そっと重なる。


その光景は、陽光に照らされた湖のさざ波のように温かかった。



少し離れた場所。

書庫の影でこっそり見ていた執事の老人が小さく呟く。


「お嬢様……ずいぶん楽しそうで……」


背後に立つメイドが微笑む。


「……あの三人、妙に相性良いですねぇ」


「ええ。

 これは……殿も喜ぶでしょうな」


そして老人は気づいていない。


この“女子三人の秘密会議”が、

後にウィスラ・レーヌの町で

巨大な噂と影響力を持つことになることを。


まだ誰一人知らない――

この日が『ジージーファンクラブ』誕生の日だったことを。


◆◆◆


一方その頃――

湖畔通りでは。


「おいジージー、こっちだ!」

「まだゴミ残ってますよー!」


セルとリゲロの怒号が響いていた。


「ご、ごめんってばぁぁ!!!

 ……うわぁ! カラスに食べられてるぅぅ!!」


ジージーはゴミ袋を持ったまま走り回っていた。


ミナ(幽霊)はその横をふわふわ漂いながら笑っている。


「わたし……あの三人が話してる内容、知ってるけど。

 ジージーには、まだ黙っておこっと♡」


ジージーは知らない。


自分の知らないところで――

すでに彼女は

“ウィスラ・レーヌで最も人気のある冒険者” になりつつあったことを。



【後書き】


今回は

•マリーヌ

•ルーシー

•テドラ


この三人の“女の子会”を中心に

ジージーファンクラブ誕生 を描きました。


次回は――


特別話:続編


『領主の娘の決意 ― 応援会、始動!』


・三人で「応援会ノート」作成

・テドラの回想追加

・ルーシーの“ものづくり”が活躍

・執事さん&メイドさんの裏サポート

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