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Staff Hero ― 支える勇者 ―  作者: 和泉發仙


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232/242

――全員で来い

オープニング


――同じ卓を囲むということ


 朝の光が、館の食堂に差し込んでいた。


 長い木の卓。

 並べられたのは、焼いたパン、温かいスープ、簡単な野菜煮。


 豪勢ではない。

 だが、戦場の後には十分すぎる。


 ジージーは、少し緊張しながら席に着いた。


 向かいには――リテラ。

 隣には――ガンドラ。


 これまで、同じ場にいながら

 “話す理由”がなかった二人。


 先に口を開いたのは、リテラだった。


リテラ

「……昨日は、眠れた?」


ジージー

「え? あ、うん……途中で何回か起きたけど」


リテラ

「それなら上出来ね」


 スープをひと口。


リテラ

「初めての大規模戦闘の後は、

 大抵、夢に出るものだから」


ガンドラ

「……酒を飲みすぎると、もっと酷い」


ジージー

「え、ガンドラさんも?」


ガンドラ

「何度もある」


 その言葉に、ジージーは少し肩の力が抜けた。


ジージー

「……なんだか、勇者って

 もっと“平気”な人たちだと思ってた」


リテラ

「そんなわけないでしょう」


 リテラは、苦笑する。


リテラ

「怖いものは怖い。

 ただ、“やる”か“逃げる”かの選択を

 毎回しているだけ」


ガンドラ

「逃げると、守れないものが増える」


ジージー

「……」


 パンをちぎりながら、ジージーは頷いた。


ジージー

「私も……

 逃げたくなったら、

 “戻る場所”を思い出すことにする」


リテラ

「戻る場所?」


ジージー

「待ってる人たちがいるから」


 リテラは、一瞬だけ目を伏せた。


リテラ

「……いい理由ね」


ガンドラ

「悪くない」


 三人の間に、静かな空気が流れる。


 戦場ではなく、食卓。

 武器ではなく、匙とパン。


 それだけで、

 距離は確かに縮んでいた。



本編



 朝食が終わる頃。


 食堂の奥から、杖の音が響いた。


コツン。


 コツン。


アンリ

「……何をのんびりしておる」


 いつの間にか、入口に立っていた。


アンリ

「回復したからといって、

 成長した気になるでないぞ」


セルグレン

「……来ましたね」


リゲロ

「タイミング良すぎだろ」


 アンリは、円卓に集まった面々を見渡す。


 ジージー。

 セルグレン。

 リゲロ。

 ミナ。

 そして――リテラとガンドラ。


アンリ

「お主ら全員で来るがいい!!」


 一喝。


アンリ

「個別の修行は終わりじゃ。

 ここからは――」


 杖を床に打ち鳴らす。


アンリ

「混ざって戦え」


リテラ

「混ざる、とは?」


アンリ

「勇者同士じゃ。

 役割も、距離も、得意も違う」


ガンドラ

「……面倒そうだな」


アンリ

「面倒でなければ、戦場では死ぬ」


 ぴしりと空気が締まる。


アンリ

「次は単独ではない。

 支え、補い、欠点を晒し合う」


ジージー

「……一緒に、特訓?」


アンリ

「そうじゃ」


 アンリは口元だけで笑う。


アンリ

「“勇者”とは、

 並び立てる者のことでもある」


 セルグレンが一歩前に出る。


セルグレン

「光栄です。

 ぜひ、学ばせていただきたい」


リゲロ

「俺は……まあ、楽しそうだ」


ミナ

「……役割、増える」


 リテラは肩をすくめた。


リテラ

「逃げ場はなさそうね」


ガンドラ

「……斧は、準備しておく」


 アンリは満足そうに頷く。


アンリ

「よい。

 では――」


 杖を振る。


アンリ

「まずは、空を使う」


 一瞬、床が歪み、視界が反転した。


 次の瞬間――

 全員の足が、地面から離れる。


ジージー

「えっ!? ちょっ――!」


アンリ

「文句は後じゃ!!

 落ちながら考えよ!!」


 悲鳴と、笑いと、混乱が入り混じる。


 だが――

 それが、新しい特訓の始まりだった。



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