第二十二層《雷帝再臨》続き
雷帝ワーヴ・ハイゼルは、
ふっと肩の力を抜いた。
そして――
口笛を吹いた。
高く、鋭い音。
雷鳴とは違う。
だが空気が、はっきりと“応答”した。
「……来る!」
セルグレンが叫ぶより早く、
天井付近の雲状魔力が裂ける。
バリバリバリバリ――!!
雷と共に降りてきたのは、
巨大な翼を持つ竜。
雷飛竜(Lv470)
全身を走る雷紋。
翼の一振りごとに、稲光が散る。
雷帝が、淡々と言った。
「我が空を預ける者だ」
雷飛竜は、咆哮した。
その瞬間――
雷飛竜もまた、口を開いた。
「……ッ!?」
雷鳴とは違う、
低く、歪んだ詠唱音。
ミナの表情が一変する。
「まずい。
呼ぶ」
空間が、黒く沈む。
次の瞬間、
雷飛竜の背後に――裂け目。
そこから、二体の影が滑り出た。
闇魔導士(Lv420)×2
黒衣。
顔は見えない。
だが“意思”ははっきりしている。
闇魔導士
・闇魔法
・悪魔召喚
・二回行動
リゲロが、乾いた声で笑った。
「……数で潰す気かよ」
雷帝
「戦とは、常にそうだ」
◆
戦場は、一気に立体化した。
上空:雷飛竜
中空:雷帝
周囲:闇魔導士
逃げ場はない。
「セル!!」
「分かってる!!」
セルグレンは聖盾を展開し、
雷と闇を同時に受け止める。
だが――
重い。
「くっ……!」
リゲロが即座に動く。
「ジージー!
上、取るぞ!!」
「うん!!」
《レビテーション》から
《フライ》へ、出力を上げる。
雷飛竜が、こちらを見る。
その瞬間――
雷飛竜
「――落ちろ」
雷弾。
直撃コース。
「《ダイヤモンドダスト》!!」
氷輝弾が雷を相殺するが、
衝撃でジージーの身体が回転する。
(重い……!
でも、落ちない!!)
◆
下では、地獄が始まっていた。
闇魔導士A
「悪魔よ、出でよ」
地面に魔法陣。
ミナが叫ぶ。
「セル!
下、抑える!!」
ミナの影から、
進化した眷属たちが現れる。
僧侶尸鬼(吸血鬼)
剣士尸鬼(吸血鬼)
アンリによる名付けで、
すでに“別格”の存在。
僧侶尸鬼が聖光を放つ。
「――浄化」
悪魔の召喚が、半分崩れた。
剣士尸鬼が、魔法剣を振るう。
「ッ……速い!」
闇魔導士Bが後退。
だが――
二回行動。
闇魔導士B
「まだだ」
第二詠唱。
リゲロが、空中から斬り込む。
「させるかよ!!」
闇刃が、詠唱を裂いた。
◆
雷帝は、その様子を見ていた。
「……なるほど」
評価が、また一段変わる。
雷帝
「未熟だが、
役割は理解している」
雷帝が杖を掲げる。
「ならば――
王の雷を教えてやろう」
空が、完全に鳴った。
雷飛竜が翼を広げ、
闇魔導士が同時に詠唱を始める。
三方向同時。
ジージーは、息を吸った。
(撃たれながら――
撃て)
習った。
叩き込まれた。
「《ウィンドカッター》――
連続!!」
風刃が、雷と闇の“隙間”を切り裂く。
完全ではない。
だが――突破口は生まれた。
セルグレンが、叫ぶ。
「今だ!!
雷飛竜を落とせ!!」
リゲロ
「任せろ!!」
ミナ
「眷属、援護!」
戦場が、完全に噛み合った。
雷帝は、初めて――
口を閉ざした。
次の瞬間。
雷飛竜が、悲鳴を上げる。
第二十二層は、
本当の山場へと突入した。




