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Staff Hero ― 支える勇者 ―  作者: 和泉發仙


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空中模擬戦・六日目 ――落とす側に回れ


前書き


六日目の朝は、静かだった。


雲は高く、空は澄んでいる。

だが――それは罠のような静けさだった。


アンリは朝食の後、杖で地面を一度叩いた。


「今日は簡単じゃ」


全員が身構える。


「相手を“落とせ”

 それだけじゃ」


誰も、笑わなかった。







本編


◆ ルール変更


アンリは空中へ浮かびながら言う。


「昨日までは耐える日じゃったな」


「今日は逆じゃ」


杖を軽く振る。


空中に、六体の魔導人形が現れる。

人型、だが顔がない。


「こやつらは――

 落ちることを知らん」


ジージー

「……どういう意味?」


アンリ

「撃っても壊れぬ。

 防いでも止まらぬ」


「落とさねば終わらん」





◆ 開始:追う側になる恐怖


開始の合図と同時に、

魔導人形が四散した。


速い。

昨日より明らかに。


セルグレン

「逃げてる……!」


リゲロ

「いや、誘ってる」


ミナ

「近づくと、落とされる」


事実だった。


人形の一体が急旋回し、

ジージーの下へ潜り込む。


――衝撃。


空気を叩く“圧”。


「うわっ……!」


浮遊が乱れる。


アンリ

「油断するな。

 落ちる側の恐怖を思い出せ」





◆ セルグレン:拘束を覚える


セルグレンは、

盾を構えながら考えていた。


(撃ってもダメ……

 なら、止める)


聖紋を、線状に展開。


「――《ホーリーバインド》!」


光の帯が、

一体の人形を絡め取る。


だが――

引きずられる。


「っ……重い……!」


アンリ

「力で抑えるな。

 重心を奪え」


セルグレン

「……!」


盾を、下へ。


人形の進路をずらす。


一瞬、

浮力が狂う。


――落下。


「……いけた!」


アンリ

「今のじゃ。

 空中では“支点”を奪え」





◆ リゲロ:闇は“捕まえる”もの


リゲロは、

高速で飛び回る人形を見て舌打ちした。


(斬れねぇ。

 壊れねぇ)


(なら――)


闇を、広げる。


糸ではない。

膜のような闇。


「――《ダークネット》」


空間ごと、包む。


人形が、

もがく。


「逃げ場を、消す」


動きが鈍る。


そこへ――

セルグレンの光帯。


連携。


人形が、落ちる。


リゲロ

「……捕まえりゃ、

 落とせる」


アンリ

「ようやく“狩り”になったな」



◆ ミナ:眷属の役割が変わる


ミナは、

眷属たちを前へ出した。


剣士尸鬼が、

人形の“進路”に立つ。


斬らない。

ぶつかる。


僧侶尸鬼が、

背後から魔力を引く。


人形の浮遊制御が乱れる。


ミナ

「……落ちた」


アンリ

「良い。

 “殴る”だけが戦闘ではない」





◆ ジージー:落とす魔法を選ぶ


ジージーは、

まだ撃てずにいた。


(当てても、意味がない)


(壊れないなら……)


(動かせばいい)


氷を、点ではなく――

面で展開。


「――《フロストフィールド》!」


薄い氷膜が、

空に広がる。


人形が突っ込む。


次の瞬間――

滑った。


バランスが崩れる。


そこへ、風。


「――《ウィンドカッター》!」


横から、叩く。


人形が、

大きく回転し――


落下。


ジージー

「……落とせた」


アンリ

「良い判断じゃ」





◆ 想定外:上から来る


残り二体。


――だが。


一体が、上空へ。


もう一体が、真下へ。


挟撃。


セルグレン

「マズい……!」


リゲロ

「上下……!」


アンリ

「判断が遅い」


ジージー

(……私が行く)


浮遊を解除しかけ、

一瞬、落ちる。


「――《レビテーション》再展開!」


急降下からの急停止。


下の人形の真上へ。


「――《ダイヤモンドダスト》!」


氷晶が、

人形の周囲を覆う。


完全凍結ではない。


だが――

推力が奪われる。


落下。


残り一体。


上空。


ミナ

「……任せる」


剣士尸鬼が、

全力で突っ込む。


自爆覚悟。


だが――

直前で、ミナが引いた。


剣士尸鬼が、

人形を抱えたまま反転。


二体、同時に落下。



◆ 終了


地面に、

六体分の衝撃。


全て、落ちた。


アンリは、

満足げに杖を鳴らす。


「六日目、終了」


「今日覚えたことは一つ」


「空では、落とした方が勝ち」


ジージーは、

荒い息を整えながら言った。


「……空って、

 怖いですね」


アンリ

「じゃからこそ、

 戦場に向いておる」






後書き


夜。


セルグレンは、

光の帯を何度も試していた。


リゲロは、

闇を“網”にする練習。


ミナは、

眷属たちの配置を見直す。


ジージーは、

空を見上げる。


(撃つだけじゃ、足りない)


(落とす覚悟が、必要)


六日目。


“空中戦”は、

はっきりと――

殺し合いの形を帯び始めていた。


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