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Staff Hero ― 支える勇者 ―  作者: 和泉發仙


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空中模擬戦・五日目 ――撃たれながら、撃て

五日目の空は、重かった。


雲は低く、風は一定ではない。

上昇気流と下降気流が、意地悪く混ざっている。


アンリは空を見上げて、淡々と言った。


「今日は――

 敵が撃ち返してくる」


誰も、文句は言わなかった。


「条件は昨日と同じ」


アンリは空中に浮かぶ。


「ただし違いは一つ」


指を鳴らす。


次の瞬間――

無数の光弾が、空に現れた。


ジージー

「……え?」


アンリ

「回避せよ。

 防げ。

 撃ち返せ」


「全部同時にじゃ」



◆ 開幕:空が戦場になる


光弾が、降る。


一直線ではない。

曲がる。

加速する。

狙いがある。


セルグレン

「全方位だ……!」


リゲロ

「クソ、数が多い!」


ミナ

「……始まった」



◆ セルグレン:守るための聖魔法


セルグレンは、即座に判断した。


(回避じゃ、追いつかない)


両手を広げる。


胸元の聖紋が、淡く光る。


「――《ホーリーフィールド》!」


円形の光が、

セルグレンを中心に展開。


光弾が、

弾かれる。


完全防御ではない。

だが、軌道がずれる。


セルグレン

「ジージー、今だ!」


ジージー

「うん!」


アンリ

(ほう……空中展開が安定し始めたの)



◆ リゲロ:闇は“逃がさない”


リゲロは、逃げながら考えていた。


(光は速い。

 正面からは無理だ)


影を見る。


影は、必ず残る。


「――《ダークスレッド》」


細い闇が、

空に走る。


糸のような闇が、

光弾の“進路”に絡みつく。


速度が落ちる。


「よし……!」


そこへ短剣。


一閃。


光弾が、砕ける。


セルグレン

「闇で減速させたのか!」


リゲロ

「当たらねぇなら、

 遅くすりゃいい」


アンリ

「良い判断じゃ」



◆ ミナ:眷属の役割分担


ミナは、

自分では撃たない。


ワイト(僧侶尸鬼)が後方。


聖光を薄く広げ、

落下を抑える。


剣士尸鬼は前へ。


飛来する光弾を、

斬り落とす。


「……連携、成立」


ミナの声は静かだが、

確実だった。



◆ ジージー:冷たい魔力


ジージーは、

攻撃を避けながら考えていた。


(風と炎は……

 見られてる)


(なら……)


胸の奥に、

冷たい感覚。


アンリの言葉。


「魔力は性質じゃ。

 思い出せ」


(冷たい……

 凍る……

 砕ける……)


杖を握る。


魔力を、散らす。


「――《ダイヤモンドダスト》」


光ではない。


音も、ない。


ただ――

空気が、きらめいた。


無数の微細な氷結晶。


光弾が、

その中に突っ込む。


次の瞬間――


全部、砕けた。


セルグレン

「……!?」


リゲロ

「見えねぇ攻撃……!」


アンリ

「ほう……

 “弾を壊す”か」


ジージー

「……当たらなくても、

 いいんですよね?」


アンリ

「そうじゃ」



◆ 反撃:本物の圧


だが――


アンリは、杖を振った。


空が、鳴る。


今までとは違う。


重い魔力。


「次は――

 “本気”じゃ」


黒と白の魔弾が、

混ざって降ってくる。


速い。

鋭い。

殺意がある。


リゲロ

「……ッ!」


闇糸が、切られる。


セルグレン

「防御が、持たない……!」


ジージー

「私が――」


氷を、展開。


だが、

抜かれる。


「っ……!」


ミナ

「……下がって」


剣士尸鬼が、

一体、前に出る。


直撃。


――砕ける。


ミナ

「……」


一瞬、

空気が凍る。


アンリ

「止まるな!」


その声で、

全員が動いた。



◆ 撃たれながら、撃つ


セルグレンは、

防御を一点集中に切り替えた。


「前だけ、守る!」


リゲロは、

闇を広げる。


「影を、増やす!」


ジージーは、

氷と炎を同時に構えた。


(冷やして……

 砕いて……

 焼く)


「――《ダイヤモンドダスト》!」


砕く。


「――《ファイアボール》!」


押し出す。


氷で軌道を乱し、

炎で吹き飛ばす。


空中で、

連続発動。


身体が、悲鳴を上げる。


(でも――)


(落ちない)



◆ 終了


最後の魔弾が、消えた。


誰も、落ちなかった。


アンリは、静かにうなずいた。


「五日目、合格じゃ」


全員が、息を吐く。


アンリ

「だが勘違いするな」


「これは――

 ようやく入口に立っただけ」


ジージーは、

汗だくで笑った。


「……入口、遠いですね」


アンリ

「当然じゃ」



後書き(余韻)


夜。


ジージーは、

小さな氷の粒を浮かべていた。


光を反射して、

きらきらと舞う。


(撃てる)


(守れる)


(でも――

 まだ足りない)


空を見上げる。


その先にある“戦場”を、

ぼんやりと想像しながら。


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