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Staff Hero ― 支える勇者 ―  作者: 和泉發仙


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吊り橋と野湯の誘惑

◆谷底をまたぐ恐怖


星鏡の導きは

森を抜け、急峻な崖へと続いていた。


そこには細く長い――

吊り橋。


ガタガタと頼りない板。

ぶらんぶらん揺れるロープ。

下を覗けば、霧に隠れた断崖絶壁。


「ひぃぃぃ……」

ジージーの足が震える。


「ユニコーン、あっちだって……

 でもこれ渡るの!?」


セルグレンが肩を支えつつ言う。


「大丈夫だ。落ちる前に俺が掴む」


「わ、私も影で補助する」

(即フォローのリゲロ)


ミナは逆に楽しそうにふわふわ渡っている。


「橋、揺れてもわたし落ちないから楽ちん〜」


「うらやまし…いや、怖いことに変わりはない!」


ジージーが覚悟を決めかけた、そのとき――


グルゥゥゥゥオオオ!!


背後の森から

超重量級の唸り声。


木々が揺れ、小鳥が逃げる。


「なに!?」

セルグレンが身構える。


茂みから躍り出たのは――


月輪黒熊ルナベア!!

(でっかいの!)


ミナの表情が一瞬固まる。


「やな匂い! 

 熊だけど、魔力に酔ってる…凶暴化!」


リゲロ「挟まれた……最悪のタイミング」


ジージーは悲鳴を上げる。


「こっち来ないでぇぇぇ!!」


熊は巨体のまま

橋へ ドンッ!!!!


橋が跳ねた。

ロープが大きく揺れる。


ジージー

「きゃあああ落ちるぅ!!」


セルグレン

「耐えろ!渡りきるまで振り返るな!!」


ミナ

「来る!三……二……今!!」


ミナの加護が灯る。

揺れの“一歩先”へ身体位置をずらし

ジージーの転落を阻止!


リゲロは橋の側面の影に潜り込み

熊の鼻先へ影刃をちょん!


「グルワァ!!」

熊がくしゃみして後ずさり。


ジージーは泣きそうな声で叫ぶ。


「ごめん熊ぇぇ!!

 でも今は命がかかってるのぉぉ!!」


セルグレン

「謝りながら戦うやつは初めてだ……!」


なんとか全員、対岸へ。


熊は橋を踏み抜き、

ズルッ!と中腹で止まる。


「……ぐるる(限界)」


ジージー

「戻れないじゃん!

 熊も困ってるじゃん!どうしよ!」


ミナ

「……助けたい?」


ジージー

「もちろん。敵じゃないもん」


セルグレンとリゲロは

顔を見合わせ、

小さく笑った。


ジージーは杖を伸ばし

熊の前足に触れる距離まで踏み込む。


「ちょっとだけ、ごめんね……!

 【癒光】!!」


熊の脚の傷が治り、

再び踏み締められるようになった。


熊は一度だけ

ジージーに頭を下げるように見え――

森へ帰っていった。


ジージーはぐったり座り込む。


「こ、怖かった……でも助けられてよかった……」


セルグレン

「よくやった。あれは、お前にしかできない」


リゲロ

「命を奪わずに生かす。それが一番強いよ」


ミナ

「ジージーは優しいね。

 その優しさはちゃんと、強い」


ジージーの目に涙がにじむ。


「みんな……ありがとう」


揺れる吊り橋の恐怖を越え、

気が抜けたのか


その先――

湯気が立ち昇っているのに気付く。


◆野湯(まさかの巣窟)


「これ……温泉!?」


滝壺のそばに

湯気がもうもうと立つ池。


「うわぁ……つかりたい……」

「わかる」

「温度もよさげ」


セルグレンだけが

険しい顔で周囲を見て言う。


「待て。気配が……」


にゃーん✨


ジージー

「へ?」


湯の縁に

しゅばっと飛び乗った黒猫。


そしてその背から――

猫耳、尻尾、ひっかきツメ。


「キャットマージ!?」

(魔族と猫族のハイブリッド)


ミナ

「ここ、彼らの巣窟っぽいよ」

(真顔)


わらわらと、

湯船のあちこちから猫耳たちが登場。


しかも――脱衣所には


大量のタオルと石鹸と伝票


セルグレン

「……ここ、温泉旅館なのか?」


リゲロ

「入浴料はどれくらいだ?」


猫族長(タキシード耳飾り)

「料金は……

命♡ で払ってもらうにゃ〜〜〜」


ジージー

「えぇぇぇぇぇぇ!?」


セルグレン

「命が払えないなら退治しか……」


猫族長

「あ、でも代替品あるにゃ。

美味しい魚5匹」


ジージー

「よかった!良心的!?」


リゲロ

「魚、影で捕れるかもな……」


ミナ

「わたし見張る役する」


セルグレン

「……休息は必要だ。

 ここで体力を整えるのも悪くない」


猫族娘

「温泉は毎日掃除してるにゃ

 安心して入るにゃ」


ジージーの顔が、ぱぁっと明るくなる。


「ひゃぁぁぁぁ!!

 人生で一番たすかったぁぁぁ!!」


ミナ

「よかったねジージー」


ジージー

「今日は絶対入る!!

 熊と吊り橋のストレス全部流す!!」


ミナ

「でも湯気で影が読みにくいから、

 わたしは端っこにいるね」


ジージー

「ミナも一緒にのんびりしよ!

 ……あ、入れないか」


ミナ

「見るだけであったかい気持ちになるから」


セルグレン

「では魚を用意しなきゃな」


リゲロ

「影釣り、任せろ」


猫族長

「気に入ったら会員カード渡すにゃ」


ジージー

「会員制度あるんだ……!」


こうして――


吊り橋の恐怖 → 熊 → 温泉と癒やし

ドタバタの山場と

ご褒美がすべて揃ったのだった。


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