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Staff Hero ― 支える勇者 ―  作者: 和泉發仙


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星する町へ —— 夜空の下の言葉

◆オープニング:山の夜


山道は昼の喧騒を忘れたように

しんと静まり返っていた。


風の塔から北へ伸びる山稜。

昼間は草のきしむ音も賑やかだったが、

夜になると、ただの黒い影に変わる。


空は澄みきり、

手を伸ばせば星に触れられそうなほど近い。

まるで 山が、空を支えているようだった。


焚き火の光が

岩肌に赤い揺らめきを投げかけ、

すぐ外側は闇の帳。


そこで――

ジージーたちは腰を下ろしていた。


 


◆焚き火を囲んで


「ふぅ……今日もよく歩いたね……」


ジージーが火に手をかざしながら

大きく伸びをする。


「山の夜は冷えるな。

マントが早速役に立つ」


セルグレンが

肩に掛けた新しいマントをちらりと見せた。

ふわりと厚手で、風を遮ってくれる。


「似合ってるよ! なんか強そう!」


「……ありがとう」


いつもより少し照れた声。

それがまた、ジージーは嬉しい。


リゲロは焚き火の背後の影から現れ、

木の枝に串を刺して

焼いた果実を渡してくれた。


「ほら、甘いぞ。

山の上にしては貴重品らしい」


「わぁ……ありがとう! リゲロ!」


「仲間だからな」


短い言葉に、

困ったような照れ笑いが乗っていた。


ミナは焚き火に手を伸ばす……が、

もちろん熱は感じない。


「わたし、火に当たれないけどね。

でも見てるだけで、あったかい気持ちになる」


ジージーは

ミナの隣にそっと座った。


「ミナちゃんも寒くない? 大丈夫?」


「うん。わたしは平気。

……生きてた頃の寒さは、もう忘れちゃった」


その言い方は

どこか寂しかったが――

続く声はちゃんと笑っていた。


「でも、みんなが近くにいるから

 今は寒くないよ」


焚き火の火の粉が

夜空へ吸い込まれていく。


 


◆ありがとうを言いたい夜


静かに瞬く星を見上げて、

ジージーはぽつりと言葉をこぼした。


ジージー

「……今まで、ほんとにいろいろあったよね。

怖いことも、痛かったことも

もう数えきれないくらい……」


セルグレンがそっと視線を向ける。


ジージー

「でも――

こうして今、みんなが隣にいる。

一緒に夜を過ごして、

明日のことを話せてる


……それが、すっごく嬉しいんだ」


少し照れた笑みで、続ける。


ジージー

「だから……

みんなで頑張ろうね。

そして、いつもありがとう

……ほんと、ありがとう」


ほんの少し、涙の気配。

でも笑っている。


 


◆仲間の言葉


セルグレン

「礼を言うのは俺の方だ。

お前が前に進むから

俺は“守る理由”をもらえるんだ」


ジージーの心がきゅっと温かくなる。


リゲロ

「俺は命令じゃない。

お前の言葉に従いたいから

ここにいるだけだよ」


その真っ直ぐな眼差しに、

ジージーは思わず目をそらす。


ミナ

「ありがとう、ジージー

わたしは死んでるけどね

生きてるみんなと一緒に

明日のことを考えられるのって……


とっても素敵なことだと思う」


ミナの声は、

夜風よりもやさしかった。


 


焚き火がまた、ぱちんと弾けた。


ジージー

「……あの三人娘にも、感謝だな

わたしたちがここまで来れたのは

ずっと支えてくれてるから


次、手紙を書くときは

ちゃんと言わなきゃ……!」


星が瞬き、

まるでうなずいているようだった。


 


◆そして、明日へ


セルグレンが立ち上がり、

夜空を見上げる。


「星する町は、もう少しだ。

夜が明ければ着ける」


リゲロは影へ溶けつつ頷く。


「休め。次の夜は

もっと冷えるかもしれない」


ミナは微笑む。


「わたし、ジージーのそばで見張るね」


「ありがとう」


ジージーは

マントを膝まで掛けて横になり、

最後に空を見上げた。


いろいろあったし、

きっとこれからもいろいろある。


でも――


みんなと一緒なら。


ジージーは静かに目を閉じた。


そうして夜は、

ゆっくりと 旅人たちを包み込んでいった。


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