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私の魔術は使いにくい  作者: ロミ


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アイテムボックスは必要か

本日2話目の投稿です

 あれから、月日は流れ、雪が溶け、暖かな日差しが多くなってきた春の初め、私は王都に来ている。

 次女エリナ姉の学園の卒業式に出席するためだ。

 本当は、両親だけ、王都に向かう予定だったが、再来年13歳から通う学園を一度、見ておいた方が良いだろうと、同行を許されたのだ。


 私が住む国、コダラン国は、ユーべ大陸の端にあり、北を魔の森、東を海、南と西を他の国が隣接する中規模の国だ(土地の半分は魔の森が占めている)。主要な産業は農業と観光。魔の森から採取される素材。裕福でもなく貧乏でもない。穏やかな気質の人が多く住む国だ。



 私はコダラン国の北から、馬車に揺られ2週間。王都に到着して3日目の昼下がり、とても悩んでいる。


「お嬢さん、ここの串焼きは天下逸品だよ。炭火でじっくり焼いた鶏肉に、自家製の甘ダレを何度も塗って、味を染み込ませた。噛んだ瞬間、甘ダレと、鶏肉の弾力が口の中に広がり、癖になる美味ささ。どうだい買っていかないかい、10本買ってくれたら、おまけで1本つけるぜ」


 屋台のおじさんから、熱烈なアプローチを受けているのだ。


 お金は問題ない、これでも子爵家令嬢。お小遣いはもらっている。

 買うことは決まっているけど、問題は何本買うかだよね。

 1本では足りない。専属メイドのマリー、護衛の騎士と私、最低3本は必要。

 美味しかったら、両親にも買っていきたい。

 10本買ったら1本おまけがついてくるのは魅力的だね。

 でも、こんなに買ったら持ち歩くのに不便だよね。他にも買い物したい。


 あれから私は、アイテムボックスを使っていないのだ。ずーと空っぽだ。

 多分、自分の中の箱型の魔力は安定し、元に戻っていると思う。

 でも、使わなかったら使わなかったっで、生活に何の支障もなかったのだ。


 異世界転生の三種の神器。鑑定、ネットスーパー、アイテムボックス。あれば便利だけど、なくても生活できることに気付いてしまった。

 もともと大半の人は持っていないしね。なくても生活できる世の中になってる。


「店主、串焼き30本下さい。おまけ3本つけてね」

「キスグ様、買い過ぎです。前みたいに、夜に一人で食べるおつもりでしょう。いけません体を壊します」専属メイドのマリーが渋い顔で訴える。

「私を昔の私と思わないで。串焼きは子爵家に帰る時にみんなで食べるの。王都までの2週間、毎食、干し肉と、スープ。本当に辛かった。食は体の基本だよ」私は得意顔でマリーに話した。

「毎度あり。串焼き30本と、おまけ3本ね。はいよ」

 私は店主から、串焼きをもらい、30本をアイテムボックスに、3本を3人で食べたのだった。


 それから、いろんな屋台を周り、大量の食材をアイテムボックスに収め、家路についた。






 王都のいろんなところを観光して周り、おいしい物をいっぱい食べ、雑貨屋、日用品、食品なのお買い物して満喫した1週間後。


 今日は、エリナ姉の卒業式のため、両親と一緒に学園の講堂に来ている。


「バレンシア侯爵令嬢、お前との婚約を破棄する。

 お前は、かわいいマリアンヌに嫉妬し、嫌がらせをしてきた。そんな女、皇太子妃にふさわしくない。

 私はここにいる、愛しいマリアンヌと婚約する」


 すご。テンプレ、テンプレ来たよ。

 言うんだね、本当に。なかなか生で聞けないよ、このセリフ。


 皇太子の前に立っている、赤髪の縦ロール、ツンとした感じのお嬢さんがバレンシア侯爵令嬢なのだろう。顔を真っ赤にして、目が吊り上がってる。拳がプルプル震えている。


「・・・・じゃかましいわい!!。何が嫌がらせじゃ!嫉妬などするか!」

 皇太子のほっぺたに、右ストレートが炸裂した。


 皇太子が、ふわふわピンク頭の胸の大きい生徒と一緒に吹っ飛んだ。


 それからの学園の講堂はてんやわんや。卒業式どころではなくなった。

 卒業式は一旦持ち越され、後日執り行なう事が決まり、私たちは帰宅した。




 その後、腐ってても皇太子。王族に手を挙げた罪で、侯爵令嬢は貴族房に収容されたそうだ。






「お父様、私、バレンシア侯爵令嬢と一緒に隣国へ行きます」


 エリナ姉が、父に宣言している。


 なんでも、エリナ姉と侯爵令嬢はマブ友で、今回の処分で、国外追放となった侯爵令嬢と共に、隣国へ行きたいそうなのだ。

 理不尽な婚約破棄をしたのは皇太子だったので、侯爵家は激怒し抗議した結果。皇太子は皇太子を下ろされ、ふわふわピンク頭の男爵家へ婿入り。侯爵令嬢は国外追放という名の留学になった。


「んーん。そうか。エリナの意思は固そうだ。言い出したら聞かないエリナだ。どうしても行きたいのなら行ってもいい。だが、今回行く隣国は魔の森の向こうだ。どうしても迂回していかなきゃいけない。

 着くのに、何か月かかるかわからないぞ」


「それでも行きたいのです。時間がかかるのは覚悟のうえです」


「侯爵令嬢を溺愛してる侯爵のことだ、侯爵家の護衛がしっかり安全に考慮して隣国へ連れていくだろう。だが子爵家から何も出さないわけにはいかない、護衛と、メイドと、物資、大所帯になるぞ。

 しかも出立が明後日。準備が間に合わん」


 それを聞いていた母が

「キスグを連れて行くのはどうでしょう、キスグのアイテムボックスに入っている一覧をご覧ください。何か月も旅をするには十分な物資です。しかも、キスグは、指を咥えておけば無敵と、ジン兄から報告されています。自分の身は自分で守れます」


 え!マジで!私!隣国にいくの!?

 とばっちり!とばっちりだ。

 そりゃ子爵家は、ジン兄が健在、跡取りも生まれた。エリナ姉と、私は嫁に行く予定だけども、それでも、11歳の女子を隣国に行かせるってありか?



 それから、家族会議を開き、私は隣国へ行くことになった。

 私と一緒に行くのは、専属メイドのマリー、護衛騎士のヨハン。エリナ姉の専属メイドと、護衛騎士7名計12名で隣国へ旅立つ。

 侯爵家の面々とは、明日顔合わせをする予定だそうだ。







串焼き甘ダレが効いてて、とってもおいしかったです。

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