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私の魔術は使いにくい  作者: ロミ


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マーライオン

短いですが、本日2話投稿予定。

 産気づいた兄嫁の元に、産婆さんが到着し、出産準備を始めた。

 おろおろするジン兄を残し、両親、カリン姉、私は一旦、ダイニングに戻って来た。


「びっくりしたわ。私が到着した日に、産気づくなんて、子爵家の未来を担う子の出産に立ち会えるなんて幸運だわ」

「そうね、39週目だから、そろそろなんじゃないかと思っていたわ。出産は女にとって命がけ、お母さんも、赤ちゃんも無事に生まれてきて欲しいわ」

「ああ。私たちは祈るしかないな」

 家族みんなで、兄嫁の出産の話をしていると、


「そういえば、エリンは何処のいるのかしら」カリン姉が、近くの侍女に尋ねた。


 侍女もメイドも、誰もエリンちゃんがどこにいるのか知らなかった。


 カリン姉は、歓喜していた表情が、一瞬で蒼白になり。

「エリンは何処、何処にいるの。エリン!エリン!」

 カリン姉は、取り乱し、ダイニングから走り出て、廊下や、他の部屋を探しに行った。


「エリンを探せ、子爵家使用人、騎士団員、すべての人員を検索にあてろ」

 父が執事に指示を飛ばす。


 執事は素早く動きだし、子爵家人員総出でエリンちゃんの捜索が始まった。






「エリン様が見つかりました。騎士団訓練所、浮かばずの池に落ちています。

 騎士団員が池に飛び込み、救出にあたっていますが、池の藻に足を取られ、救出が難航しています。

 みかねたカリン様が、橋から池に飛び込み、足を取られ、カリン様の救出も同時進行で行っています」

 報告を聞いた父は、蒼白だった顔色が、灰色になり、一目散に浮かばすの池へ駆け出した。

 一緒に探していた、母と、私も浮かばずの池へ向かった。


 浮かばずの池では、騎士団員がエリンちゃんを抱え、何とか浮いているが、足を藻にとられ溺れかけている。他の団員は、浮かばずの池に小舟を浮かせ、オウルを漕いでいるが、オウルに藻が絡み、なかなか進めていない。

 浮かばずの池に入ったカリン姉の元にも、騎士団員が何人か向かっているが、水を吸ったドレスが重く、今にも沈みそうだ。


 ヤバい。みんな死んじゃう!


「ずぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・・・・・・

 私は、池に顔を突っ込み、勢いよく吸い上げた。


 池の水はみるみる少なくなり、大人の腰ほどの水位となった。


「よくやった!キスグ。今のうちだ」

 父の指揮の元、エリンちゃんも、カリン姉も救出された。




 苦しい、苦しい。吐き出したい。破れる、破れる。破裂する。


 私はそのころ地面で、のたうち回っていた。


 浮かばずの池は、それほど大きい池ではないが深い。

 吸い上げた水の量が、私のアイテムボックスの容量を大幅に超えており、自分の中の大きい箱型の魔力が、今のにも破れそうなのだ。


 エリンちゃんとカリン姉が救出されたことを確認し、私は地面に膝立ちになり、口に指を咥えて、池の水を放出した。


 その姿は、まるでマーライオンだ。(シンガポールのシンボル)





 私はマーライオンのまま30分。まだ池の水を吐き出し続けている。

 最初は、歓喜し、賞賛の言葉を浴びせていた両親も、騎士団員も、今は、痛い子を見るような目で見ている。


 仕方ないでしょ。私だって、したくてマーライオンやってるわけじゃないんだ。

 止まらないんだ池の水。まだまだあるんだ池の水。もう終わってよ池の水。


 私のマーライオンはそれから2時間ほど続いた・・・・。






 私は、マーライオンが終わり、屋敷に帰った来た。


 救出されたエリンちゃんも、カリン姉も治療を受け大事に至らず、今は、ベッドで穏やかに眠っている。


 エリンちゃんも、カリン姉も無事で本当によかったー。

 あのまま二人が居なくなったらどうしようと思ったー。

 でも、私のアイテムボックスはズタボロだ。

 自分の中の箱型の魔力は、風船を限界まで膨らませて縮んだ感じ。表面が薄くなり、破れそうになっている。このままなのか、元に戻るのかわからない。

 でも、当分は使用せず、空っぽのアイテムボックスにした方がいい気がする。








誰も傷つかず良かった。

兄嫁は無事に男の子を出産しました。

おめでとうございます。

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