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私の魔術は使いにくい  作者: ロミ


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キューピーちゃん救出作戦

本日2話目の投稿です

 




「ヨハン、お帰り」




 いつの間にか夕方になり、誘拐犯から逃れた私とストーム副騎士団長は、その足でエリナ姉の研究所に突撃した。


 連絡を受けて駆け付けたバレンシア侯爵令嬢。連絡を受けてヨハンを探してくれていた騎士団員達。森で私を探していたヨハンが来た。


 崖から落ちたヨハンだったが、さすが魔術がゴリラ。斜面と木を巧みに使って、落下速度を落とし無事に着地することができたそうだ。


 その後は崖を登り、崖の上に私がおらず、私が落ちた方の崖の下、周辺を探していたところ、ヨハンを探しに来た騎士団員と出会い帰って来た。


「・・・・。」安堵の表情のヨハン。


 今、ストーム副騎士団長からキューピーちゃんの誘拐の経緯を説明してもらったところだ。


「本当の目的が幻の白い糸ではないじゃろう。幻の白い糸が欲しいならマーギン商会の荷馬車を襲えばいい。かといってキューピーちゃんが目的かと言われれば違うじゃろな。パン屋に身代金を払えるほどのお金があるとも思んのじゃ。誘拐の手紙がストームがパン屋を訪れる頃に直接ポストに投函されたことから、ストームをおびき出したかったか、幻の白い糸の、降ろし主をおびき出したかったかじゃ」

 バレンシア侯爵令嬢が推理する。


「私もバレンシアと同意見よ。今マーギン商会は幻の白い糸が話題でドレスや、ワイシャツ、タイツ加工を数量限定で売り出しているわ。品薄だから仕方ないけど。最近その品薄の幻の白い糸を使った全身白タイツを大量注文したのがバレンシア。調べればバレンシアがバクシューレツ国に到着してから、幻の白い糸は販売を始めたし、バレンシアはマーギン商会と懇意にしているわ。本当はバレンシアを誘拐したかったけど、護衛がつてるし、本人強いしね。攫うのは無理よね。代わりに、幻の白い糸の情報を知っているストーム副騎士団長を誘導したかった。かわいいキューピーちゃんを人質にしてね。それが誘拐された理由と考えるのが妥当ね」

 エリナ姉が推理した。


「じゃ。答え合わせしよう」

 私は口から、大柄の男を吐き出した。この男は私を断崖絶壁の道の上で宙づりにした男だ。


「俺は崖の上にいたはず・・・」

 大柄の男は、座り込み、訳が分からないという顔して辺りを見回している。


 ヨハンが素早く、大柄の男の両腕をひねり、後ろで縄を縛った。


「彼女はどこだー」

 ストーム副騎士団長が今にも飛び掛かりそうだ。


「待って、私いい物持ってるの、うふふ」

 エリナ姉が、黒く笑っている。私達は全員一歩後退した。黒い笑顔をむけられた大柄の男は、目を大きく開き固まっている。


 そうだよね。怖いよね。私も怖い。


 エリナ姉は懐から、紫色の小瓶を取り出し大柄の男の前をチラつかせながら、

「うふふ。これは今実験途中の自白剤。凄く効くんだけど、副作用が強くて、なかなか人体実験できないの。よかったわ、今回は遠慮なく実験できそうデーターが取れるわ。副作用?知りたい、うふふ、秘密。飲んでからのお楽しみね」

 黒い笑顔が、真っ黒になった。エリナ姉に見つめられる大柄の男が震えている。


 そうだよね。相当怖いよね。私も相当怖い。少し離れておこう。みんなまた一歩後退した。



 それから大柄の男は、自白剤を飲まずに、あらいざらい白状した。


 誘拐の目的は、バレンシア侯爵令嬢とエリナ姉が推理した通り、幻の白い糸の入手先。キューピーちゃんは今、王都のムスカ商会第3倉庫に監禁されている。ムスカ商会はマーギン商会に並ぶ大手の商会で、裏ではあくどい商売をしていると噂の商会だ。


「今すぐ、助けに行く」ストーム副騎士団長は今にも飛び出していきそう。


「どうするのじゃ。いっちょ派手にぶちかますか」バレンシア侯爵令嬢はノリノリだ。


「ん-。そうね。マーギン商会には連絡を入れるとして、キューピーちゃんの安全を確保しつつムスカ商会を潰したいわよね」

 エリナ姉が考えてる。


「私にいい考えがあるんだよ」私はニヤリと笑った。







 その夜、ムスカ商会第3倉庫前。


「バレンシアさま、お願いします」

 全身黒タイツに包まれた私は、笑顔で指示を出す。


「任せとけ、いっちょ派手にぶちかますぞ」

 全身黒タイツに包まれたバレンシア侯爵令嬢が、空めがけて、火魔法の花火を打ちあげた。


 私は花火で輝く夜空を見上げ、大声で合いの手。

「たまや~。かぎや~。」


 ムスカ商会第3倉庫にいた商会員は、何事かと続々と外に出てきている。

 その隙に、全身黒タイツ集団のストーム副騎士団長と騎士団員は第3倉庫の中へ。


「ヒュ~~~バン。ヒュ~~~バン。」

 バレンシア侯爵令嬢はノリノリで次々と花火を打ち上げている。

 赤、青、緑、色とりどりの花火が夜空に大輪の花を咲かせる。

 打ち上げているバレンシア様も、見ている私もヨハンもエレナ姉も、全身黒タイツから出ている瞳は花火で照らされキラキラしていた。


「ウー。ウー。ウー。ウー」

 早馬でやっと警備隊がやって来た。

 私達が事前に、ムスカ商会第3倉庫に爆弾を仕掛けたと嘘予告の手紙を送りつけたのだ。


 警備隊が到着したので、全身黒タイツの私達は退散。

 ムスカ商会第3倉庫の悪事の検索は警備隊がしてくれるだろう。


 そう、私のいい考えは、警備隊に任せる事。

 だって、私達一般人だし。トラブルなれてないし。ムスカ商会を野放しにしていたのは警備隊なので、責任もって犯罪を暴いてほしい。


 捕まえた大柄の男の話では、ムスカ商会第3倉庫には、やばい書類を隠しているらしい。爆弾予告を口実に倉庫内を検索し悪事の証拠を見つけてくれるだろう。


 倉庫内に入った全身黒タイツ集団は、睡眠薬で眠らされていたキューピーちゃんを無事保護。怪我はなく、ストーム副騎士団長に大切に運ばれて帰路についたらしい。無事でよかった。





7月18日伊勢花火ですね。間に合いました。花火ネタ書きたかったんです。

ストーム副騎士団長の恋、一旦終了です。

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