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私の魔術は使いにくい  作者: ロミ


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チキンにはなりたくない(ストーム副騎士団長視点)

本日2話目の投稿

 



「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」

 私は、すごい勢いで崖から落ちている。


「ガザガザバキガザガザバキ、ドスン」

 森の木々をへし折りながら、私は地面に叩きつけられえた。


 お尻と、背中に衝撃がはしったが、痛くはない無傷だ。

 尾行する前に、チューインガムを噛んでおいた。物理に対して私は無敵。


「よかった。チューインガム噛んでて。噛んでなかったら死んでたよ」

 私は落ちて来た崖を見上げ、つぶやいた。


 そこへ突風が吹き寄せた。

 ストーム副騎士団長が、慌てて風魔法を駆使して降りて来たのだ。


「大丈夫か」

 顔面蒼白のストーム副騎士団長。私の無事な姿を確認して安堵の表情を浮かべた。


「大丈夫。でもヨハン大丈夫かな。崖を滑り降りてたから、着地の衝撃は緩和されると思うけど。ヨハンと反対側に落ちちゃったもんね」

 私は、体に着いた葉っぱや、土を払いながら立ち上がり、辺りを見回した。

 獣道もなく、木々が生い茂る普通の森の中。


「すまない。巻き込んでしまった」ストーム副騎士団長は神妙な面持ちでつぶやいた。


「落ちたぞ」「どこに落ちた」「探せ」「逃がすな」

 崖の上の方から、男の人たちの声が聞こえる。


「謝るのは後だよ。理由は知らないけど、逃げなきゃ捕まっちゃうよ」


「しかし・・・・。」

 ストーム副騎士団長は動かない。何かためらっているようだ。


「ストーム副騎士団長が逃げなくても、私は逃げる。何にしても今はどうしようもないよ。ここは一旦引いて、形勢立て直すしかないよ」

 私の言葉に、顔を上げたストーム副騎士団長は、私と一緒に森の中を王都の方へ駆け出した。







 ー・-・-・-・-・-・-・-






「誰か、助けて!」




 少し前に太陽が沈み、辺りが黒い夜に包まれよとしている時間帯。

 バレンシア侯爵令嬢の護衛任務を交代し勤務が終了した私は、晩酌の酒を買いに町中に出ていた。

 見た目は、ごつい男だが、甘いものが好きで、はちみつワインや、梅酒などに目がない。宿でも酒は提供されるが、ここ最近は、甘い酒を求めて探索する事が日課になっている。


 そんなある日、女性の助けを求める声が耳に入った。


 声の方へ向かうと、道端でちょっとふっくらした町娘風の20歳ぐらい女性が、男三人に絡まれていた。


「離せ、嫌がっているだろう」

 私は、彼女の手を掴んでる男の腕を、搾り上げ、彼女を私の後ろに隠した。

 男達は、「何すんだー」「うるせー」だの絡んできたが、私の相手ではない。足を引っかけて転がし、弱い風魔法を男の腹にぶつけて黙らせた。

 男たちは「覚えてろー」と負け惜しみを言いながら去っていった。


 私は振り返り女性を見た。

 両手を胸の前でくみ、目に涙をいっぱいに貯めて、上目づかいで私を見上げる彼女に息をのんだ。

 なんて、かわいいんだ。

 薄茶色のふわふわした髪を、横でむりやり三つ編みにし、髪のがピンと跳ねている。顔は丸く、目も丸く二重で、鼻も口もこじんまりとしている。まるでキューピーちゃん。

 甘い物が大好きな私は、かわいい物も大好きで、普段は持ち歩けないが、かわいい物に目がない。

 私の理想そのものの女性が目の前に居た。


 私は、歓喜を悟られないよう、彼女を安心さる言葉をかけ、彼女の家まで送り届けた。


 彼女の家は、王都の片隅で長年パン屋を営んでおり、両親と今は修行に行っている兄と4人家族。

 今日は、パンの配達の帰り、男たちに絡まれてしまったそうだ。


 私は彼女の両親に事情を説明。彼女の両親には感謝され、好印象を得られた。


 その後も、仕事帰りや護衛が休みの日に、パン屋に足しげく通い、彼女との交流を深めてきた。

 彼女は、かわいいだけでなく、気立ても良く。人の事を良く見ている人で、少し顔色が悪いだけでも気がけてくれるやさしい子だった。


 彼女の事をますます好きになり、お互いを思い合っていると感じる頃、彼女に交際を申し込む前に、一応護衛対象のバレンシア侯爵令嬢に報告をした矢先、彼女が何者かに連れ去られてしまったのだ。


 その日、護衛任務が休みだった私は、彼女の実家のパン屋に来ていた。彼女はおらず、彼女の両親がそわそわしている。

 何かあったのかと聞くと、娘は預かった、幻の白い糸を持ってこいという手紙が、今しがたポストに入っていたそうだ。

 両親は、朝からパン屋の手伝いをしていた娘を家中探したがどこにも居らず、警備隊に相談しようか、マーギン商会に幻の白い糸を買いに行こうか迷っていた時、私が現れたらしい。


 彼女が攫われた、その事実に怒りと、怖さが同時に押し寄せる。彼女が心配でならない。泣いていないか、痛い思いをしていないか、最悪殺されていないか、震える心に叱咤して、彼女の両親に必ず彼女を助けると誓い、幻の白い糸の入手先を知っている私は、買ったパンを持ってすぐさま、キスグが泊っている宿へ引き返した。


 キスグは快く、幻の白い糸を譲ってくれてので、白い糸を持って私は犯人との引き渡し指定場所へと急いだ。


 引き渡し場所には、男が2人いて、彼女はいなかった。

 彼女と引き換えだと食い下がっていた時、後ろから叫ぶ声がして振り返ると、ヨハンが崖から落とされていた。キスグも捕まり宙づりになっている、キスグを掴んでいた男が消えて、キスグが崖の下に落ちていった。


 私は風魔法を駆使して、自分の周りに竜巻を起こし、風に乗ってキスグが落ちた崖の下へ降りて行った。









 私とストーム副騎士団長は、誘拐犯に追われながら、崖の下にそって王都の方向へ走っている。


 走っているとき、ふと崖のくぼみ、洞窟のような防空壕のような凹みを見つけた。

 私はストーム副騎士団長の服を掴み、崖のくぼみに押し込んで、入口を2mほどの岩で塞いだ。この岩は人まね魔物との戦いの時に吸い込んだ岩だ。


 私とストーム副騎士団長は崖のくぼみの中で息をひそめていると、「どこに行きやがった」「さっきまで見えてたのに」「くそ!」など男たちの声が聞こえる。


 ここで、男たちを倒してもいいが、男たちが帰って来なかったら、仲間の誘拐犯がストーム副騎士団長の彼女候補(告白していないからまだ彼女ではない。ストームはチキンだと私は思う。今後は彼女をキューピーちゃんと呼ぶ)に、何するかわからない。


 男たちが崖のくぼみを通り過ぎてから、私は2mの岩を吸い込み、くぼみから出て来た。

 男たちは王都の方へ走っていく。


「どうする、このまま男たちを追いかけてもいいけど…。誘拐した目的もわからなし。仲間が何人いるかもわからない。作戦なしにアジトに乗り込むのは得策じゃないと思う。私にいい考えがあるんだ。エリナ姉の所に行こう」








次は、黒幕です。

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