基本的に断崖絶壁
本日も2話投稿予定。
「怖すぎ、狭すぎ、断崖絶壁すぎ!」
今日の昼前に、パンを大量に持って私の部屋を訪れたストーム副騎士団長。
いつも冷静なストーム副騎士団長と様子が違っていたので、心配で私とヨハンは今、尾行している。
私から以前討伐した蜘蛛の白い糸をもらい受け、大きい麻袋を抱え、機能的で無駄のないテトリスみたいな王都道を、ひたすら早歩きでどこかへ向かっているストーム副騎士団長。私達のつたない尾行にも気づいていない。
「どこに行くんだろ。もう王都から出ちゃうよ。こっちは森の方だよね。強い魔物はいないけど、実りも少なく、あんまり人が入らない方って聞いてたけど…。」
ストーム副騎士団長は、構わず人気のない、森へ入っていく。
「・・・・行こう」
私もヨハンも、ストーム副騎士団長を見失わないように森へ入った。
半時ほど歩き、森はどんどん険しくなる。生い茂っていた木々が徐々に低木になり、木の根が多くやや湿っていた大地が、小さい石や岩がごつごつした地形に変化してきた。
「はあ。はあ。はあ。まだ、登るの。ストーム副騎士団長早いよ。疲れた」
私はここまでかなりの早足で山を登て来た。疲労困憊だ。
「・・・・。」
ヨハンが、私を無言でおんぶし、足早に登りにくい山を登っていく。
ふと、目の前が開けたと思ったら、両側が断崖絶壁の、幅1mほどしかない崖の道に着いた。
ストーム副騎士団長は断崖絶壁の道を進んでいる。
「・・・・」
私はヨハンのおんぶから降りた。ためらったが、距離を取りながら追いかける事にした。
決して下を見てはいけない。普通の山道を登っているんだと思わないとダメ。決してここは1mの幅の断崖絶壁ではない。前を見よう。前を見ろ。
「びゅーん」横風が強い。服が瞬く、体が流される。ヨハンが私の服を掴んだ。そうだ重たいヨハンが後ろにいる。大丈夫。落ちない。私は一歩づづ歩みを進めた。
「ガラガラガラ」足元の岩が崩れて崖の下へ落ちていく。ヒヤリとした。足元を見ると、足が震える。両手を地面について歩きたい。そうすると歩みが遅くなり、ストーム副騎士団長を見失う。
私は震える足を叱咤し、前を向いて追いかけた。
断崖絶壁の頂上を越えると、少し開けた場所があり、そこでストーム副騎士団長は誰かと話している。
話している相手の顔は見えない。ストーム副騎士団長が麻袋を誰かに渡した。何か言い争ってるが、風の音が強くて聞き取れない。
私達は気付かなかった、私達の後ろに、人がいた事を。
「おわ!!!」ヨハンが断崖絶壁から落とされた。
砂埃をまき散らしながら、ヨハンが崖を滑りながら落ちていく。
私は首根っこを掴まれた。
「離せ、離せ、ヨハン。ヨハン」両手、両足を振り回し暴れるが、相手はびくともしない。
相手は人相の悪い大柄の男で、腕も、樽みたいに大きく、私を片腕で吊り上げている。
私が決して勝てる相手ではない。でも負けはしない。
私は大柄の男に噛みついた。
大柄の男は私のアイテムボックスへ吸い込まれていった。
大柄の男に吊り上げられていた私は、ヨハンが落ちた反対側の崖に落ちていった。
次は、ストーム副騎士団長視点




