明太バターフランスパン
本日2話目の投稿です。ストーム副騎士団長の恋編始まりです。
「めっちゃおいしそう。どうしたのこの大量のパン」
私の前には、いろんな種類のパンが並んでいる。
クリームパン。クロワッサン。メロンパンの定番の物から、お惣菜系の海老かつバーガー。焼きそばパン。
バターをいっぱい使ったじゃがバターパン。明太バターフランスパンなど多種多様なパンが揃っている。
昼前、宿の私の部屋のテーブルに並べられたパンを持ってきたのは、ストーム副騎士団長だ。
ストーム副騎士団長は今日はお休みの日らしく、バレンシア侯爵令嬢と一緒ではない。バレンシア侯爵令嬢がいない状態で、会うのは始めてだ。
「私が懇意にしているパン屋から購入してきたパンです。とてもおいしいので、キスグ様にどうかと思い買ってきました」
作り笑いを張り付けた、余所行き笑顔のストーム副騎士団長。
「キスグ様なんて呼ばないで、こしょぐったい。いつもは、男の子従者なんだら、外で呼ぶようにキスグでいいよ。堅苦しいしね。それよりこのパン食べて良いの」
私は、お土産にもらったパンを、一つ一つ手に取って吟味している。
どのパンもおいしそうで、目移りする。
茶色くツヤツヤでサクッとした食感クロワッサンも食べたいし、海老かつにタルタルソースがかかったバーガーも捨てがたい。
私がどのパンを食べるか悩んでいると
「私は、この明太バターフランスパンがお勧めです。このパン屋はフランスパンを焼くのが特に上手で、サクッと程よい硬さのフランスパンは、噛むほどに小麦の甘さが増してくる。大好評なパンなのです」
ストーム副騎士団長が、どこか誇らしげに、パンの説明している。
「へー。そうなんだ。じゃあ明太バターフランスパンにしようかな。ちょっと大きいからヨハンと一緒に半分こするね。ストーム副騎士団長もパン食べよう。お茶なにが良いかな」
私達3人は、テーブルにつきパンを食べ始めた。
私が選んだ明太バターフランスパン。
大口開けてパクリ。外はちょっと硬くて噛み応えがあるけど、明太バターを塗った個所は柔らかく、ぐにゅっと潰れて、潰れた個所からバターと、ほんのり辛い明太子が染み出て来た。
あわててフランスパンをかみ切ると、口の中であふれてきた明太バターをフランスパンがキャッチ。
ちょっと硬いのに、しみしみフランスパンが口の中いっぱいに広がって、幸せ~。
もっと食べたくなる。ヨハンに半分あげずに私が全部食べとけばよかった。
ヨハンはパンを食べて、幸せそうに顔が綻んでいるが、ストーム副騎士団長は、なんだか上の空だ。
パンを食べ終わりお茶を飲んで、ひと呼吸おいた後、ストーム副騎士団が話を切り出した。
「今日来たのは、お願いがあって来たのだ。以前キスグは蜘蛛の魔物から出た、白い糸をマーギン商会に卸していたと思う。その糸がまだあるのなら、分けてもらえないだろうか」
ストーム副騎士団長が頭を下げた。
突然の事に驚いた私とヨハン。
「あるけど、何で?ストーム副騎士団長が使うの?」
「いいえ、私は使わないが、ある人から頼まれてな。すまないが理由は言えない。できればある分だけ分けて欲しい。お金は払う」
ストーム副騎士団長がまた頭を下げた。
「白い糸いいけど、お金はいらないよ。私が持ってるけど、みんなで討伐したもんね」
私はその場で白い糸を吐き出しテーブルの上に置いた。白い糸は4人掛けテーブルに山盛りになった。
「はい。これで全部だよ。できれば、ストーム副騎士団長から、騎士団員達にも蜘蛛の糸の代金を分けてもらえると助かるよ」
「ありがとう。こちらこそ助かる。必ず騎士団員達には蜘蛛の糸の代金を分ける」
ストーム副騎士団長は持って来ていた、麻袋に急いで白い糸をしまい、そそくさと退室していった。
私とヨハンは顔を見合わせ
「どうしたんだろう、ストーム副騎士団長らしくないね。なんかすごく慌ててた大丈夫かな。心配だしちょっと後つけてみる?」
「・・・・そうだな」
いつもは余計な事に顔を突っ込むなと呆れ顔するヨハンが、今回はストーム副騎士団長の異変を感じとったのか、ハンマーを持ち自ら尾行を開始した。
次、尾行します。




