そのころ王都では(宰相執務室にて)
本日2話目の投稿です。
そのころ王都では、バクシューレツ国第三騎士団長のグレイシャーからの報告書を宰相が読んでいた。
要約すると、新しいダンジョンの2階層の扉を発見。2階層の中は大きな洞穴。一時期閉じ込められていたが無事脱出。別の日、2階層検索中にカンガルーの魔物と遭遇。討伐しダンジョンのお宝を発見したと。
「うむ。これがお宝なのか」私の前には、テーブルや椅子、銀食器、大きな花瓶などが並べられている。
「そのようです。まだ運びきれず、ダンジョン内1階層にあるそうです」宰相補佐が答えた。
1階層も2階層も何の実りもなく、ハズレのダンジョンだと思っていたが、やっと出て来たか。
「一見何の変哲もない物に見えるが、何か効果はあるのか」私は銀食器を手に持ちながら訪ねた。
「鑑定士に鑑定してもらいました。造りは美しいのですが、何の効果もないだだの銀食器です。ですがダンジョン産。ダンジョン内に何日置いていてもダンジョンに吸収されません」自信たっぷりに言う宰相補佐。
「それだけでは、そんなに価値はないではないか」私は少し不満だ。
「いいえ、素晴らしい事です。新ダンジョン1階層は、花畑の階層になりました。それはそれは、見たこともない美しさだそうです。この1階層遊ばせておくには惜しい。パーティーもできる避暑地にしてしまいましょう。ここに、避暑地計画書があります」宰相補佐は束の計画書をさしだしてきた
「なんと!」私は驚いた。
「1階層が水の階層だった時から計画はありましたが、ご婦人方はドレスが濡れるのを嫌います。そのせいで鎮座していたのです。今回1階層が花畑の階層になり、銀食器、テーブル、グランドピアノまでそろています。これなら結婚式も、コンサートもできます」宰相補佐がプレゼンしている。
「うむ。だがダンジョンだぞ。カンガルーの魔物の事もある。正体不明のひょっとこ仮面と、おたふく仮面の二人も気になる。危険はないのか」私は質問した。
「危険が0とは言えませんが、それがスリルがあってうけるかと。ですが、ダンジョン内に入る時は自己責任と一筆書いてもらいます。宰相も1階層の花畑の階層を一度見て下さい。すばらしい景色です」宰相補佐の力説に圧倒され、時間が取れ次第、新ダンジョンに行くことになった。
「次の報告書です。1階層のダンジョンから採れた塩と、草花です。薬学研究所に送って調べてもらった結果が載っています」さっき、熱のこもったプレゼンをした宰相補佐ではない、補佐から報告書を渡された。
「うむ。草花はただの草花か。塩は・・・なんと!」私は目を見張った。
「塩分の旨味そのままに、どんなに食べても塩分過多にならいだと!。高血圧症や、血管系の病気の人に朗報だ。これは大変だ。貴族や、裕福な商人が殺到するぞ」高血圧の私も是非欲しい。塩分が少ない日々の食事の味気なさが改善されるなら、値段が張ってもかまわない。
「ですが、宰相さま、塩は全部で樽3個分しかなく・・・。流通はしないかと思われます」補佐が小さくなりながら、申し訳なさそうに言った。
「1階層をもっと探すように通達しろ。今ある塩を少量、私に融通しろ。実際に宰相である私が試しに使ってみよう」私利私欲だが許してくれ。国民と王族に挟まれ、日々お仕事頑張ってるんだ。
「・・・・はい。なんとか調達してみます」補佐は、顔を引きつらせながら扉を出て行った。
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新ダンジョンから帰って来たキスグは、ダンジョンで女神の石臼から取り出して吸っておいた塩を、吐き出し、宿で提供された、から揚げにつけて食べていた。
黄金色に揚がった、から揚げ。揚げたての匂いが食欲をそそる。
キャベツと一緒に並んだその姿の、凛々しいことよ。
レモン、ソース、マヨネーズ、いろいろあるが、私は断然塩派だ。
今回は、女神の石臼産の塩。
さっそく食べてみよう。
から揚げを、箸で持って、口に入れた瞬間、衣のサクッという高めの破裂音と、肉を噛むと、ジュワッと肉汁があふれ出す。その肉汁に溶けて塩の辛味が舌の上で踊る。
「サクサク・ジュワッ・サクサク・ジュワッ・サクサク・ジュワッ」のワルツの音楽が止まらない。
何個でもイケる。
まるで、舌の上のパーティー会場やー。
キスグの存在を、王都の人が気にする話にしたかったんですが、書き始めたら、あまりにもキスグの存在を知られないように立ち回っていたので、偉い人との接点が少なく書けませんでした。
異変種スライムが変化した草花が、ダンジョンに吸収されないのは、ダンジョン産の塩水で増殖したので、準ダンジョン産になりました。
薬学研究所は、エリナ姉が所属する研究所です。エリナ姉が分析しました。




