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私の魔術は使いにくい  作者: ロミ


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白って200色あるねん

本日も2話投稿予定。

 



「「・・・・。」」

 ここは今、ダンジョン3階層の中。目の前にカンガルーがいる。





 私が渡した、蜘蛛の魔物から採った幻の白い糸。

 ナターシャさんに加工してもらって、高性能の全身白タイツになって手元にある。


 エリナ姉に、全身白タイツを着て、ヨハンのハンマー取り返し作戦を説明したら、意外にもOkが出た。

 でも、条件があって、私は必ずガムを噛んでいる事。1時間たっても帰って来なかったら、バレンシア侯爵令嬢と、ストーム副騎士団長達に事情を話して救助してもらう事。ヨハンから決して離れず何かあった場合はヨハンを吸い込んで、攻撃に無敵な私が救助が来るまで耐える事。




 ダンジョン3階層の扉を、エリナ姉の研究室に出した。


「よし、行こう」

 私とヨハンは、何も持っていない。頭の先からつま先でま全身白タイツ、目の所だけ白いゴーグルをつけている。ダンジョン3階層の扉をゆっくり開けて、ドキドキしながら中を覗いた。


 カンガルーは4階層への扉の前で寝そべっている。よかった遠い。


『入ろう』私は指を3階層へ向けてジェスチャー。

 私とヨハンは手を繋ぎ、緊張しながらそろーと、素早く3階層へ足を踏み出した。


 まだ、カンガルーは私達に気付いていない。そのまま起きないでくれ。


 よく見ると、ダンジョン3階層の白い空間は、長方形で端から端まで500mぐらい。天井は意外と低く2階建て家屋ぐらいの高さしかない。


 私とヨハンは、ハンマーが落ちていないか、周りを見回したが見当たらない。白い空間に落ちていたら、すぐわかると思うんだけど、ダンジョンに吸収されちゃったのかな。もうちょっとカンガルーに近づいて探してみよう。


『行こう』私は腕を振り、歩くまねをしてジェスチャー。

 私とヨハンはゆっくり、カンガルーへ近づいていった。


 一歩一歩が、緊張する。カンガルーに気付かれたら、逃げの一手だ。

 さすが高機能の白タイツ。歩いているのに布が擦れる音がしない。伸縮性があり、動きを邪魔しないし、以前嗅いだ、ダンジョン3階層に充満していた獣臭い臭いも緩和してくれている。


 ダンジョン3階層の白い空間の約半分の所まで来た。

 でも、ハンマーは落ちていない。半ばあきらめ、2階層へ引き返そうした時、カンガルーが動いた。

 寝そべっていた状態から、上半身だけあげ、周りを見渡している。


 私とヨハンは固まった。動かない。私は白い壁。私は白い壁。気付かないで。


 カンガルーがまた寝そべった。


「「ふー」」

 私とヨハンは止めていた息を吐き、お互い顔を見合わせ、よかった~。

『戻ろう』私は私達が入って来た3階層の扉を指さしジェスチャーをした。


 その時、すくっとカンガルーが起き上がった。

 ゆっくり辺りを見回しながらこちらに近づいている。


 気付かれた!ん?気付かれてない。

 私とヨハンには気付いてないけど、なんか違和感があることを感じているいるんだ。


 私とヨハンは動かない。動けない。白い壁の張り付き、息をひそめる。来ないで、来ないで。


 どんどんカンガルーが近づいて来て、もう目の前だ。

『ドクン、ドクン、ドクン、ドクン』自分の心臓がうるさい。


 カンガルーが私の目の前まで来た、カンガルーの臭い鼻息が顔にかかる。

 私の額と、背中に冷や汗がながれる。1mmも動けない。

 恐くて恐くて『神様、女神様。』私は目を閉じ祈った。


 カンガルーは周囲を見回し、異常が発見できなかったのか離れていった。

 約3m先で立ち止まり、カンガルーのポケットの中から、ヨハンのハンマーを取り出し、素振りをし始めた。カンガルーのポケットはアイエムボックスなの!?


「シュン、シュン」風を切って振り下ろされるハンマー。

「シュン、シュン、シュン」カンガルーの筋肉が躍動するのが見える。

「シュンシュンシュンシュンシュンブオン」カンガルーが笑顔で高速でハンマーを振る姿はカオス。


 私とヨハンは『ごくん』と唾を飲み込み、カンガルーがハンマー振りに夢中になっている間に、そろり、そろりと動き出した。


 カンガルーが突然動きを止めた。周囲を見渡す。耳をぴくぴく動かし音を探っている。

 私とヨハンは動かない。私は壁、私は壁。気付くな、気づくな。


 またカンガルーがハンマーを振りだした。

「シュン、シュン、シュン、・・・

 私とヨハンは、そろり、そろりと動き出す。心臓はまだどくどく鳴りぱなしだ。


 それを何度か繰り返し、私とヨハンがダンジョン3階層の扉まで、あと5mに近づいた時。


 カンガルーが突然ハンマーを振るのをやめ、ダンジョン3階層の扉の前へ移動した。

ヤバい。3階層の扉の前を陣取られた、扉から出れない!と焦ったが、カンガルーは

「パチン」ダンジョン3階層の扉横の柱についていたスイッチを消した。


 するとダンジョン内は一瞬にして真っ黒。何も見えない。何が起きたのか理解するのに数秒。

ダンジョン何の明かりを消したのか。



「はあ、はあ、はあ、はあ」少し遠くで、誰かの息づかいが聞こえる。


「ぺた、ぺた、ぺた、ぺた」少し遠くから、こちらに近づいてくる足音が聞こえる。


「ザシュ、ザシュ、ザシュ、ザシュ」獣の毛が擦れる音が大きくなる。


 カンガルーは、視力の悪い目より。得意の聴力で獲物の位置を特定しようとしているんだ。

 私もヨハンの暗闇で、目が見えない。お互いに研ぎ澄まされる聴力。

 音が徐々に近づいてくる恐怖。


 私とヨハンは繋いだ手を固く握りしめた。






「噛みつけ!」ヨハンが叫んだ。私は反射的に繋いでいるヨハンの手に噛みついた。


「つかまれ!」私はヨハンの手を噛んだまま、ヨハンの前胸部に抱っこされる形でつかまった。


 その直後、暗闇から「シュン」ハンマーが勢いよく振り下ろされた。


「ガン!」ハンマーはヨハンの肩に当たったが、私に噛まれているヨハンは物理に対して無敵。

「ガン!」今度は、ヨハンの足にハンマーが当たった、バランスを崩しかけたが倒れず耐えた。

私が噛み続ければヨハンは無敵。でも何かの拍子で私が噛むことができなくなったら一貫の終わりだ。

 暗闇の中、私をくっつけてダンジョンの3階層があった場所まで走るヨハン。


「シュン、シュン」暗闇の中、手当たり次第にハンマーを振り回すカンガルー。ヨハンに当たったり、空振りしたり、そのすべてを無視して、ヨハンはダンジョン3階層の扉のあった方へ向かう。


「バン」私の背中に平らな何かがぶつかった。やったダンジョン3階層の扉だ。

ヨハンは、勢いよく3階層の扉をあけた。




 その先は、体育館にあるような蛍光灯で照らされた、ダンジョン2階層。




「あ!エリナ姉の研究所じゃない」

 私とヨハンは勢いよく2階層へ滑り込んだ。3階層のカンガルーは・・・。


 ゆっくり、3階層の扉をくぐって2階層に出て来た。

「階層の魔物って、違う階層に行けるの、話が違うよ」










音めっちゃ使いました。夏のホラー特集『音』に投稿するのどうだろう。冗談です。

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