おたふく仮面
本日も2話投稿予定
俺は、バクシューレツ国、王都の第三騎士団長グレイシャー。
今、新しく発見されたダンジョンの2階層に閉じ込められている。
発見された2階層への扉から、2階層に踏み入った。
2階層は直径50mほどの縦に長い洞窟だった。落とし穴のような洞窟に横穴などはなく、抜け出すためには、はるか上の穴まで登らなくてはいけない。
上の穴からの光は少なく、全体に薄暗い洞窟に、俺、部下9名と、冒険者3名の計13名は、1週間閉じ込められている。
当初の予定は1日のみ調査だった。ダンジョンの形状を確認してからしっかり準備し、後日に本格的な調査を行う予定だった。
2階層の調査初日、ダンジョンの形状を確認して、戻ろうとしたら、2階層の扉が開かない。
何をしても開かない。
始めは冗談かと思った。だが冗談ではなかった。
ノブを回せない。押しても、引いても動かな。体当たりしても、ダメだった。
騎士団員、暁団全員が焦りの表情へ変わった。閉じ込められたのだ。
「ガチャ、ガチャ」騎士団員の1人がノブに手をかけ、力任せに回そうとする。
「何で、開かない。鍵穴はないぞ」焦った声で、下唇を噛みながらノブを回そうと力をいれる。
「変われ」違う騎士団員がノブに手をかけ「ガチャ、ガチャ」
「開かない」今にも泣きだしそうな顔でつぶやき、何度もノブを回そうとする。
2階層の扉の前には、人だかりでき、みな悲痛な表情で、真剣にノブを回す人を見ている。
「どけ、火魔法をぶつける」
騎士団員の火魔法士が勢いよく火魔法を扉にぶつけたが、煙がたっただけで扉には傷さえもつかない。
「どけ、今度は水魔法をぶつける」
騎士団員の水魔法士が勢いよく水魔法をぶつけたが、地面が水浸しになっただけで扉は無傷だ。
「2階層の扉は、一旦置いておこう。まず、ここを抜け出すことを考えよう。もう一度、横道がないか、罠がないか確認しよう」俺は、落胆している部下に指示をだした。
暁団リーダーのダンは、はるか上の穴を見ていた。
「グレイシャー様、おそらくこの洞窟に横穴はないでしょ。上の穴から出るしかない。ロッククライミングで上まで上がれればいいが、この洞窟の土の壁は脆い。ほら、掴んだらすぐ崩れてしまいます。足場がない。命綱もない。運動神経がいい奴でも難しい」
「騎士団員には1人土魔法師がいる、その者に足場を作ってもらって登ることはできないか。風魔法士に落下に備えさせる」
「ん-。土魔法師の土魔法の届く範囲と魔力量でしょう。土魔法師の魔法範囲は平均10m。この洞穴は30m以上ある(約高層ビル10階の高さ)。あの高さまで足場を作れるのは、並みの土魔法使いでは無理でしょう」眉間に皺をよせながら、2人で打開策を考えるが、いい案がない。
閉じ込められて1週間。食料は底をついた。今は水魔法士が出す水のみで生きている。
水魔法士も、食べれず、魔力も体力も回復しないため、魔力枯渇寸前だ。
あれから、穴を掘ってみたり、土魔法で足場を作り登ってみたり、いろいろ試みたが脱出できない。
土で汚れ、不衛生で、空腹で、薄暗い空気のこもった空間。始めはイライラしていたが、今は体を動かすのも億劫だ。みな、寝そべったり、うつむいて座っていたりと絶望感が漂っている。
ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
「・・・・。反対だ」
無表情でヨハンは前を向いている。
「何で?。助けるかもしれないよ」
私は、助けられるかもしれないのに諦めきれない。
ヨハンの前に周り込み、ヨハンの顔を見上げながら後ろ向きで歩いている。
「・・・・。3階層の扉を出して、2階層に行けるとも限らない。何があるかわからないんだ。諦めろ」
ヨハンはそのまま前を向いて歩き続けた。
その日の夜。皆が寝静まった頃。
私はそーと、布団から抜け出した。今、ダンジョンの前に立っている。
「よし、行こう」
薄暗い長い階段を下りて、1階層の入口前。
「何してんだお前、何の用だ」警備のおじさんが、あくびをしながら聞いてきた。
「検索員の人にお使いを頼まれたんだ。2階層への扉の近くの塩を取ってこいだって、こんな夜中に人使い荒いよね。でも、ガトーショコラもらったんだ。夜も働いてる同士のおじさんに、半分別けてあげるね。1階層入っていい、早くお使い終わらして寝たいよ。」
ガトーショコラをおじさんに無理やり押し付けて、1階層のノブに手をかけて勢いよく開け、ダンジョン内へ走り出した。
「おい、待て、おーい」
おじさんが、開いた1階層の扉から私を呼んでいる。
「すぐ戻るよー」
私は振り向き、おじさん手を振って、2階層への扉へ急いだ。
実は、ガトーショコラには、エリナ姉が開発した、クワワンソウから抽出した眠り薬が入っている。
見張りのおじさんは、そのうち寝てしまうだろう。
少し歩くと、2階層への扉の前に着いた。ノブを回してみたが、回らない。
噛んでみたら、”2階層への扉(2階層に生存者確認中)”と表示された。まだ、生きている。
私は女神の石臼を吐き出し、「3階層への扉でろ」と、右周りに石臼を回した。
「ボン!」ピンクの2階層への扉の横に、水色の3階層への扉が表われた。
私は3階層への扉のノブに手をかけた。
唾をのんだ。顔がこわばる、手が震える、緊張している。
私は後ろを振りかえった。ヨハンはいない。私一人・・・・。
「行こう」私は3階層への扉を開けた。
ひょっとこ仮面、おたふく仮面は次で回収します。




