堪忍袋の緒が切れる
本日も2話投稿します
バレンシア侯爵令嬢が、17の凧まで来てくれた。
「バレンシア様、この水、女神の塩水(小さい石臼より作成)とアイテムボックスに表示されました。
どうしましょう。」
私は、水に浸からないように、足をビーチチェアに乗せ、体操座りしている。
「私のアイテムボックスの表示って、詳しくでないんだよね。私が欲しいと思う情報を一言くれるだけ。意識せず、アイテムボックスに入れると情報がランダムに表示されるんだよ。命に関わる毒とかは優先的に表示されるみたいなんだけどね。
この塩水、毒ではないけど特性がわからないよ。もしかしたらとんでもない作用があるかもよ。バレンシア様も、ビーチチェアに乗った方がいいよ。ここに座りなよ開いてるよ」
私は、体をずらしてビーチチェアの場所を開けた。
「ははは、いまさらじゃ。どうにかなってるなら、待機組も、検索組もおかしくなっとるじゃろ。
心配するな。でも、次から次へ、変な物を引き当てるなキスグは。エリナがまた喜びそうじゃ」
バレンシア侯爵令嬢は、ビーチチェアに座り、足を塩水につけて、足をバシャバシャさせて遊んでいる。
「アイテムボックスの表示、情報はランダムなのじゃろ、だったらもう一回塩水入れたら、どう表示されるんじゃ」
「え!考えた事なかった。なんて表示されるんだろ?。さっきの塩水とは違う塩水だもんんね。一回やってみる」
私は、もう一度、塩水を吸ってみた。
”女神の塩水(人体に影響なし)”
そうか、私が気にしている事が一言だけ表示されるんだった。
「人体に影響なしか。じゃ、いいじゃん。エリナに少しお土産として持って帰りな。喜ぶじゃろ」
バレンシア侯爵令嬢は、やさしい笑顔で私の頭をなでてくれた。
破天荒なバレンシア様だけど、おかげで私の不安は、やわらいでいった。
その後、ふたりで他愛もない会話をして、2人でトランプして、ジェンガして、オセロして時間は過ぎていった。
「なあ、キスグお腹減ったな。こんな青空で暖かい日は、冷麺食べたくなるな。もうすだち冷麺はアイテムボックスに入ってないのか?」
青空を見上げながら、バレンシア侯爵令嬢は何気に訊ねた。
「そうだね、冷麺食べたいね。この前全部食べたちゃったから、できあがってるのはないよ。異変種スライムはあるけどね」
トランプを片付けしながら、答えた私に、
「鍋もザルも水もあるじゃろ。わいは火魔法使いじゃ、薪がなくても蒸気を発生させれるぞ。ないなら作るか」
「そうだね。食べたいし作ろう」
私はさっそく、アイテムボックスから、異変種スライムが入った水瓶を吐き出した。
鍋に水を入れ、バレンシア侯爵令嬢が火魔法で水を沸かし始めた。水蒸気が発生したので、私がザルに異変種スライムを入れて蒸気に当てだしたら、ザルから異変種スライムが一匹飛び出して塩水へ
「ぽちゃん」
「ばばばばばばばばばばば・・・・・・・・
水に入ったスライムは増殖!!!
塩水に入ったスライムは検証してないけど、尋常じゃないスピードで増殖しだした!!!。
「ばばばばばばばばばばば・・・・・・・・
目の前が、異変種スライムであふれかえる。
辺り一面塩水だらけ、増殖をどれだけするか想像がつかない。1階層すべて覆いつくすほど増殖するだろう。
「ばばばばばばばばばばば・・・・・・・・
「ヤバイ、逃げるぞ」バレンシア侯爵令嬢が私の腕をつかんで、16の凧の方へ走り出した。
それと同時に、火魔法でデカい花火を打ち上げた。
「ばばばばばばばばばばば・・・・・・・・
花火に気付いたヨハンが駆けつけてきて、私を小脇に抱えたて、バレンシア侯爵令嬢と一緒に走りだした。
「ばばばばばばばばばばば・・・・・・・・
スライムの増殖は止まることなく、17,18の凧はスライムに埋もれて、もう見えない。
16の凧の横を全力疾走で通りすぎ、バレンシア侯爵令嬢が2発目の花火を打ち上げた。
「ばばばばばばばばばばば・・・・・・・・
15の凧の横を通りすぎる時、後ろから突風が吹いて来て、スライムの波をかき分け、5人の検索者とストーム副騎士団長が走ってくるのが一瞬見えたが、スタイムの波が押し寄せ見えなくなった。
異変をいち早く感知した15以降の騎士団員はすでに、1階層の扉へ全力疾走している。
バレンシア侯爵令嬢が3発目の花火を打ち上げた。
ストーム副騎士団長へ、帰り道を示しているようだ。
「ばばばばばばばばばばば・・・・・・・・
ヨハンとバレンシア侯爵令嬢の足元にスライムが飛ぶ跳ねてくる。
スライムの増殖はすさまじく追いつかれそうだ。
14.13.12の凧を通りすぎた、4,5,6発目と花火を打ち上げるバレンシア侯爵令嬢。
「ばばばばばばばばばばば・・・・・・・・
11・10・9の凧を通り過ぎたら、また後ろから突風が吹き付け、スライムの大波をかき分け、
「バレンシアーーーーー!!!」
怒りの形相のストーム副騎士団長が凄い勢いで叫びながら、走り込んでくる。
検索組も後ろを振り返る暇もなく、足を必死に動かしてこっちに向かってきていた。
「ばばばばばばばばばばば・・・・・・・・・
「バレンシアーーーーーー!!!貴様なにしやがったーーーーー!!!」
8・7・6の凧を通り過ぎたら、ストーム副騎士団長が追いつき、今にもバレンシア侯爵令嬢に掴みかからん勢いだ。
津波のようにすぐ後ろにせまるスライムに、怒りに任せてストーム副騎士団長が後ろに向けて風魔法を炸裂させた。
「ばばばばばばばばばばば・・・・・・・・・
5.4.3の凧を通り過ぎる頃には、足元も、横も後ろも、青空もすべてスライムで覆いつくされ、1階層の扉が見えるだけ。
「ばばばばばばばばばばば・・・・・・・・・
2.1の凧を通り過ぎる頃には、前もスライムで覆われた。1階層の扉も見えない。
バレンシア侯爵令嬢が花火を前に打ち、前のスライムを消滅させ、ストーム副騎士団長が突風でスライムの道をこじあける。その隙間を走る走る。
「ばばばばばばばばばばば・・・・・・・・・・
開け放たれた1階層の扉へ転げるように、みんなが走り込む。最後のストーム副騎士団長が扉に入った。
ヨハンと騎士団員が1階層の扉を閉めようとするが、スライムの勢いが激しく、扉が半分しかしまらない。スライムが扉の中へ漏れ出てきた。
それを見たバレンシア侯爵令嬢が半分開いた扉から、ダンジョンの中へバズーカ並みの特大の火魔法を放ち、扉の近くのスライムを消滅させた。そのすきに1階層の扉を閉めた。
「チクショーーー!!!。バレンシアーーー!!!」
額に青筋3本たてて、唾を飛ばしながらバレンシア侯爵令嬢に掴みかからんとするストーム副騎士団長。5人の騎士団員が力ずくで止めている。
「ごめん、ごめんて、わざとじゃないんじゃ」へらへら笑いながら、頭を搔いているバレンシア侯爵令嬢。
「たわけがーーーー」
バレンシア侯爵令嬢の態度が、火に油を注いでしまったらしく、しばらく怒りが収まらないストーム副騎士団長。
「・・・・。」私は無言のヨハンに、ゲンコツをくらいました。
次は、童話。




