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私の魔術は使いにくい  作者: ロミ


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新ダンジョン1階層

遅くなりました。本日2話目の投稿です。

 



「まるで、天国にいるみたい。こんな景色、初めてみたよ」






 私とヨハン、バレンシア侯爵令嬢、ストーム副騎士団長、騎士団員5名の合計9名は奉仕活動のため、王都から馬車で1日かかる、新しいダンジョンに来ている。


 新しいダンジョンに入る前に、ダンジョン手前の詰め所で説明を受けた。

 話によると、新しいダンジョンは半年前に森の木こりが発見しギルドへ報告。

 現在ギルドと王都の検索隊が共同で半年かけて調査中だが、2階層がまだ発見できていないらしい。


 1階層は、足首が浸かる程度の水が地平線のかなたまで続く階層で、果てしない広さのため難渋している。魔物は一切出てこない。植物も一切生えていない。魚も貝も何もなく、実り0の階層だそうだ。


 この1階層を検索している隊員に物資を届けるのが今回の役目だが、それだけではなく、だだっ広い階層の目印確保もして欲しいらしい。


 目印確保の方法は、1階層の入口の扉から、一直線に進んで2階層の検索をしているが、扉が見えなくなるほど遠くを検索すると、辺り一面同じ景色の為、遭難してしまう。

 そこで、500m進むごとに、凧を上げ、凧の紐を杭で砂にめり込めせ固定。凧を道しるべにして検索しているらしい。


 現在、1階層の扉から、10km先まで検索しているので、凧は20個上がっている。

 凧が風でどこかへ飛んでいかないように、凧を固定した場所500mに1人待機している。

 現在、待機している人は20人。待機している9人と私達が交代し凧を見張るようにお願いされた。





 さっそく、運んできた物資を小舟に乗せて持ち上げ、森の中から1階層の扉までの、トンネルの階段を下りていく。

 小舟を抱えながら、階段に差し掛かると、空気が変わった。

 森の少しじめっとした空気から、少しヒヤッとした空気に変わり、一段一段降りていくごとに、足の下から冷たい空気が這い上げってくる感覚。入口からの光もだんだん少なくなり、薄暗い先へ進む不安が沸き上がっていく。


「ヨハン、何だか怖いよ。大丈夫かな」


「・・・・。」


 小舟を2艘、私の分も両肩に抱え、階段を下りているヨハンの服の端を摘まみながら、暗くなっていく足元をじっと見つめつつ階段を下って行った。



 階段を入口の光が届かなくなるほど下った先に、四角く光の漏れた1階層の扉があった。


 光りの漏れた扉を開くと、眩いばかりの青空と、ふんわり白い雲。それを地平線まで水が映し出す。

 まるで合わせ鏡のような光景。頬にやさしい風が当たり、さわやかな空気が流れる。


「まるで、天国にいるみたい。こんな光景初めてみたよ」

 私もバレンシア侯爵令嬢達も、目の前の光景に、しばし時間を忘れるほど見入った。





 確かに、ずーと先まで、凧が並んでいる。

 ひとしきり感動した後、各々が持ってきた物資を乗せた小舟を水に浮かせ、引っ張って歩き出した。


 まずは、1つ目の凧の場所へ、凧を見張っている人は、ビーチチェアに横になり居眠りしたいた。物資の入った袋を見張りの人の小舟に乗せた。2つ目の凧の場所へ、2つ目の凧の人は、ビーチチェアに座り、足を水に浸して、ぼーと空を見ていた。3つ目の凧の人は、ビーチチェアの上で、トランプをしており、4つ目の凧の人は、ビートチェアの上で編み物をしていた。5つ目、6つ目と凧を越えて、20つ目の凧の場所には5人ほど人がいて、それぞれ、長い棒で砂を刺したり、ゴーグルをつけて、水の中を覗いたり、20つ目の凧の周囲に2階層の扉がないか探しているようだ。


「物資かー。もう1週間たったんだね。物資ありがとう。そこのビーチチェアに小舟をつなげておいてくれ。君たちが見張りの交代要員だね、10~19の凧の見張り要員と交代してくれ」


 長い棒で砂を刺していた人は、話し終わると、また長い棒で砂を刺しだした。


 私たちは、言われた通り、10~19の凧の見張り要員と交代。

 19の凧をストーム副騎士団長。18の凧をバレンシア侯爵令嬢。17の凧を私。16の凧をヨハン。15~10の凧を騎士団員が受け持った。




 透き通るような青い空、ふわふわ雲が漂っている。やさしい風が頬をなで、水面に合わせ鏡の様に反射する景色・・・。


 1時間すると、うん。飽きた。何~にもない。

 空と、雲と、水しかない。匂いもない。音も、水が風で揺れる音だけ。

 17個目の凧と、ビーチチェアと小舟だけ。


 ナターシャだんが、暇つぶしの遊び道具をいっぱい買ってくれたわけだよ。


 さっそく私はトランプを出して、神経衰弱を始めた。


 トランプをして、オセロを一人でして、ジェンガを一人でして、水に足をつけてみたり、ビーチチェアの周りを走ってみたり。おやつを食べてみたりしたけど、飽きた。本当に飽きた。


 500m先の、18の凧のバレンシア侯爵令嬢は、たぶん寝ている。


 500m先の、16の凧のヨハンは、たぶん素振りしている。


 ほんとに景色が変わらない。太陽が傾かない。夕方にも夜にもならない。

 時計がなかったら、時間の感覚がバグル空間だね。時計を人数分、餞別にくれたナターシャさんに感謝だ。何かお土産に持って帰ろう。でも、何にもないんだよね。水と砂しかない。

 新しいダンジョンの水と砂で喜ぶかな?。この水ただの水だよね?。


 私は水を吸ってみた。

 ”女神の塩水(小さな石臼より作成)”

 とんでもない物出た!女神の塩水って何!聖水じゃないの。聖水でもとんでもない量だけど。

 どうしよう。誰かに言わなきゃ。ヨハン。


「ヨハ~ン。おーい。ヨハ~ン」

 ヨハンの耳がめっちゃ聞こえる事知ってるんだぞ、無視してるのか、無視だろ。呼んでも返事ないぞ。


「お~い。バレンシアさま~。バレンシアさま~。」

 バレンシア様が座った、聞こえたんだ。


「なんだー。」


「大切なお話がありますー。そっちに、行ってもいいですかー」


「待ってろー。わしが行く!」

 バレンシア様は、すくっと立ち上がり、私の方へ歩いてきた。










次、バレンシア侯爵令嬢とキスグ混ぜたら危険な二人です。

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