鍛冶場へ
本日も2話投稿予定。
今日は、マーゲン商会お勧めの、紺色のレンガ街、職人区画の鍛冶屋に、ヨハンのハンマーを修理してもらうためにやって来た。
ヨハンのハンマーは、複数の2mの岩を砕き、8つ目の蜘蛛の腹をぶち破り。なかなか酷使してしまったので、ハンマーの筒の部分とグリップの部分がぐらぐらしているのだ。
修理を頼みたいが、修理不可なら新しいハンマーを購入予定だ。
予算は無制限。エリナ姉がおこずかいをくれたのだ。今回の働きに対するボーナスらしい。
やった!臨時ボーナス。ヨハンにもくれたけど、私にもくれた。
うふふ。何を食べよう。バクシューレツ国にはカカオがあるのだ。チョコレートは高いけど普通に売っていた。ガトーショコラも売ってるし。ポッキーも売ってる。ちょこっと摘まむのに最適。
後で、じっくり考えよう。
そんなことを考えながら、歩いていたら、鍛冶屋の前に到着した。
空気がなんだか湿っていて、鉄を打つ音、火の燃える音が響いている。
「・・・・。」ヨハンは何もいわない。
「ごめんくださーい。すいませーん」
私が代わりに、鍛冶屋の奥へむかって大声を張り上げた。
「はーい。ちょっと待ててください」若い男の人の声が帰ってきた。
私たちは、鍛冶屋のカウンター付き8畳ほどの広さの店内に、所狭しと飾ってある武器を眺めながら、相手が来るのを待った。
10分ほどして、20代後半ぐらい、長身で細身の、とがってる眼鏡をかけた男の人が出てきた。
この世界、残念ながらドワーフはいない。エルフも、猫耳娘もいない。いるのは人間と、魔物と、動物だけだ。残念。
「何かお探しでしょうか」愛想よく男の人は接客してくれる。
「・・・・これを修理できるか」ヨハンは相変わらずの無表情。
「失礼します」男の人は、ヨハンのハンマーを受け取り、じっくり眺めている。
「お時間いただきますが出来ます。修理だけでしたら1週間。魔石での付与をお望みでしたら2週間いただきす」男の人は、にこやかに答えた。
「魔石の付与って、どんな魔石でもできるのですか」私は疑問に思ったことを口にした。
「はい、出来ます。バンマーでしたら一般的には土の魔石でしょうか、耐久性と打ち下ろした時、相手への重量感が増します。他に風の魔石なら、俊敏さが増します。火、水の魔石は熱くなったり、冷たくなったりしますが、あまり付与する方はいらっしゃいません」男の人は嫌がらず丁寧に説明してくれた。
「魔石は持ち込みでも可能ですか?」私は、スライムの大きな魔石と、8つ目の蜘蛛の魔石を持っている。
「はい、可能です。魔石の大きさにより値段が変わってきます」
「ちょっと、待っててください」
私は男の人に断りを入れて、ヨハンの腕をつかみ、店の外へ。店と店の間の路地に入り、口に指をいれ、魔石2つ取り出した。エリナ姉から、人前で物品を吐き出しちゃダメだと言われたのだ。
私も変顔さらしたくないから、陰でこそこそアイテムボックスを使用している。
「ヨハンどうする、魔石2つ持ってるんだ。付与できるならしてもらおうよ」
私は2つ魔石をヨハンに渡した。
「・・・・。いいのか」ヨハンは大きい魔石を見て、迷っている。
「いいよ、いいよ。エリナ姉が、ハンマー代金は無制限て言ったんだ。私とヨハンを守るためだって」
「・・・・。ありがとう」ヨハンが小さい声で言った。
私は目を見開いた。「初めて、お礼言われたよ。さー行こう」
私はヨハンの手を引いて、鍛冶屋の店に入った。
「・・・・。この2つの魔石を使った付与をお願いする」ヨハンが男の人に魔石を渡した。
「大きいですね。一つはスライムの魔石、バレーボール大ぐらいある。もう一つは、何でしょう。昆虫系ですか?野球ボールぐらいありますね。どちらも、魔力吸収の作用と、自己修復作用があります。
このハンマーには、野球ボールぐらいの大きさの魔石が丁度いいと思います」
男の人はスライム魔石をヨハンに返した。
「この魔石をハンマーに付与すると、壊れても自己修復してくれます。もう一つの作用は、ハンマーで相手を叩くたびに、相手の魔力が離散します。ハンマーには吸収されません。ハンマーには核がないので魔力を貯めておけないのです。修理と付与で、値段は300万しますがよろしいですか」
「あのー、あなたが修理するのですか」
こんな細身の人が、鍛冶職人には見えない。私がおずおず尋ねると、
「あ!紹介が遅れました。私は魔術付与師のゲンスルーと言います。ハンマーを修理するのは、私の妻、マリリンです。今妻は、鍛冶に集中しておりまして挨拶はできませんがご了承下さい」
物腰やわらかな、ゲンスルーさんは、その後も修理、付与に関して詳しく説明してくれた。
「・・・・。お願いする」
私とヨハンは、貸しハンマーを2週間レンタルして、足取り軽く帰路についた。
次こそは、ギルドへ行きます。




