男の香水(番外編)
本日2話目の投稿です
「乾杯!」
「今日は無礼講だ。いっぱい飲んでくれ、俺のおごりだ」
「ありがてー、じゃ、この店で一番高い酒を「まてまてまて、そこは加減しろ、副騎士団長だが雇われだぞ」
「冗談だよ。ストームの旦那は冗談が通じないな~」
「・・・・。」
紅団リーダーのジャンから、侯爵家からの依頼達成の報酬が確認できたので、次のギルドからの護衛依頼を受けつつ、故郷に帰る予定と告げられたのは昨日の事。
もともと、紅団は、バクシューレツ国の出身。故郷は辺境伯領から王都を抜けて北へ進んだ寒い地域。
雪が降る前に、故郷に到着して挙式をあげ、冬ごもりをしたいらしい。
今回の依頼達成で、数年は働かずに暮らしていける報酬を得たので、当分はゆっくりするそうだ。
今日は俺ストームと、ジャン、ヨハンで送別会を開いている。
「今回の依頼、楽な依頼じゃないと思っていたが、今考えたらよく生きていたと思うぜ。
異変種スライムの津波だろ、次が魅惑のあじさい。次に崖が崩れてたから、未開の地で、人まね魔物に襲われるわ、8つ目の蜘蛛に襲われるわで、生きた心地がしなかったぜ。本気で死を覚悟したからな~」ジャンは遠い目をしながら、ビールをあおった。
「そうだな、俺は初めての遠征だが、こんなに過酷とは知らなかった」ストーム副騎士団長もビールをあおる。
「いやいや、今回の旅は稀だぜ。いつもは、商隊を守りながら、日中や夜間の魔物に備えるだけだ。実際に戦闘になる事は少ない、ヨハンは遠征したことあったか」
「・・・・ない」ヨハンもビールをあおった。
「お待たせしました。枝豆と、キムチ、ナスのお浸し、ホッケの塩焼き、カレー煎餅です」
店員さんが注文した料理を運んできてくれた。
「この、ザ定番、酒の御供いいね。カレーせんべい?誰のチョイス」
カレー煎餅を摘まみ上げ、口に入れた。パリッとした煎餅ではなく、少し湿っている濡れ煎餅。カレー風味がアクセントになり、味が染み出る感じが旨い。
「旨いな、この食感、嫌いな奴もいるけど、おれは好きだぜ。噛んでたら歯の裏にくっつくのもいいよな」
「・・・・。俺もだ」ヨハンもカレー濡れ煎餅をパクリ。
「おれは、故郷に帰るが、お前たちはこれからどうするんだ」
「俺は、バレンシア様次第だな。予定では5年ぐらいはコダラン国へは帰れない。5年はバクシューレツ国のどこかにいるだろう、そのうち王都に行ってみたいと、おっしゃっていたから、お供する予定だ。
他の騎士団員も、侯爵家からの指示があるまで、バレンシア様のお供だ」
「ふーん。大変だな雇用されるのも。だが侯爵家の雇用か、なかなか実力がないとなれない精鋭ぞろい。あのお嬢さんなら、そのうち、ダンジョン行くんじゃー!なんて言い出しそうだな」
ぎく!「そうだな・・・・。言い出しそうだな」ストーム副騎士団長がビールを、じっと見つめている。
「そうしたら、エリナ姉はわからないが、キスグは連れていかれるだろうな」
ぎく!「・・・・。ああ」ヨハンもビールを、じっと見つめている。
「あ!店員さ~ん。ビールお替り、ジョッキで3つ。それとレバニラ炒め、にんにくの醤油漬け、カレー漬けもあんの、じゃそれも一緒に」
「まー、ニンニク食って元気だせ。明日、男の香水(にんにく臭)強いがな」
ジャンがしてやったり顔だ。
「ヨハン達はこれからどうするんだ」
「・・・・。知らん」
「まー、エリナ姉次第だろうな。キスグの魔術には度肝を抜かれたな。
キスグには本当に感謝してるんだぜ。キスグがいなかったら、こうして酒なんて飲んでなかっただろうよ。キスグが一番貧乏くじだがな。でも、あれだけの魔術。世間が知ったら、ほっとかないだろうよ。
これから、良い意味でも、悪い意味でも、事件が降りかかってくるだろうな」
「・・・・。覚悟はできている」ヨハンがまたビールをあおった
「ヨハン、お前結婚してるんだろ、奥さんを故郷に残して来ていいのかよ」
ジャンが、からかいながら言うと
「・・・・。大丈夫だ」ヨハンの目元が少しやさしくなった。
「ふ~ん。大丈夫そうだな。ストームの旦那はどうなのさ」
「俺には、嫁も恋人もいない」ストーム副騎士団長の目元がなんだか寂しそうだ。
「ガタイもいい、顔もまあまあ、侯爵家の副騎士団長。心配するな、今までは縁がなかっただけさ。でも、根が真面目だから、変な女に騙されるなよ」
「なにわともわれ、俺たちの未来に乾杯!」
「「乾杯!」」
わいわいと、男たちの夜は更けるのでした
ここで紅団登場は終了です。だぶん。




