シュールだ
本日2話目の投稿です。とても短いです。
「あー。何でこうなったー」私は絶叫した。
現在私は、湖の片隅で、口に手を入れ、口の中からおたまじゃくしを一匹ずつ摘まみ出している。
湖のほとりで、背を丸め、誰にも見えないよう、うつむき加減で、もくもくと作業している。
シュールだ。
何やってんだろ私。10000万匹摘まみ出すころには、悟りを開いてるんじゃないだろうか。
ジン兄は、隣で上機嫌で釣りをしている。大漁だ。
その大漁の魚、持ってきたカゴには入りきらないよね。どうやって持って帰るのかは、想像したくない。
ずーと、口を開きっぱなしで、顎がはずれそうだ。
なので、いっぺんに取り出せないか、大量のおたまじゃくしを想像してみたが、口の中には一匹しか出なくて、一匹ずつしか摘み出せなかった。がっくり。
でも、新しくわかったことがある。おたまじゃくしをわざわざ口の中で摘まなくても、指で触れば取り出せる事。一匹口の中から取り出せば、次のおたまじゃくしが口の中でスタンバイしている事。それがわかってから、私の作業は格段に速くなった。
私は湖をのぞき込む大勢をとり、口を開きっぱなしで、常時、指を口に入れたままで、おたまじゃくを湖に落としている状態だ。
シュールだ。
「おおー。各段に取り出すの早くなったじゃないか。裏技見つけたのか」
「ぽたぽたぽたぽたぽた.......」(おたまじゃくしが湖に落ちる音)
「ジト目で見るなよ。悪かったって思ってるよ」
パシャン。
その時、30cmほどの魚が勢いよく飛び跳ね、私の顔面に直撃した。
「おい、大丈夫か。怪我はないか」
慌てたジン兄が駆け寄って来て、私の顔をのぞき込んだ。無傷だった。
「怪我がなくてよかった」
「・・・・ジン兄、私を叩いてみて」
「は?キスグ突然どうした?頭打ったか?マゾか?兄に変な嗜好を押し付けるな」
「ち、違う!今魚が顔面に当たった感触はあったけど、なぜか全然痛くなかった。私の感覚がおかしい?だから叩いてみて」
「ふーん。わかった。歯を食いしばれ」兄は拳を握り、殴る構えをとった。
「いやいやいや、やさしくでいいから。強くしなくていいから。本気なし、本気なし」私は慌てて後ずさった。
「なんだつまらん。わかったよ。肩を叩くぞ」ジン兄は、私の肩を平手て強めに叩いた。
「痛い、痛かった。さっきは何で痛くなかったんだろう」
「さっきは魔術使ってる最中だったからじゃね。おたまじゃくし取り出してる時に殴ってやるよ」ジン兄の目が、一瞬キランと獲物を狙う目になった。
私が、口の中に指を入れた瞬間、ジン兄が私の肩を平手で強めに叩いた。
「痛くない。痛くないよ。魔術を使ってるときは痛くない?」
その後、ジン兄と、いろんなバージョンの検証を行い。結果、口の中に指を入れている間は、外からの攻撃をすべて無効にしてしまう、完全防備状態にあることがわかった。
私って、指を咥えておけば無敵・・・・。
やっぱりシュールだ。
大漁の魚は、主人公が泣く泣く、マジックボックスに入れて帰りました。
お疲れ様。




