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私の魔術は使いにくい  作者: ロミ


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マーギン商会との遭遇

マーギン商会始まります。本日2話目の投稿です

 



 翌朝、出立の前。

「ねえ、ジャン。ここまで1か月ぐらいで到達したかな。予定が3か月だったから、早いペースだよね。これから7人で旅する事になるでしょ。旅の料理が、14名2か月分あるのと、6個の糸繭。大量の8つ目の蜘蛛の糸、3mの蜘蛛の死体で、私のアイテムボックス満杯に近いんだよね。できればアイテムボックス半分は空けて置きたい。魔の森に捨てるわけのも行かないし、どうしたもんかな」


「そうかー。普通の旅で、物資が枯渇することはあっても、余ることはほとんどないからなー。どうしたものか。食料は多く食べて減らすとして、魔獣どうすっかなー。そこらへんには捨て置けないしなー、もったいないし。ん-考えとく、いい案があったら知らせる。それまでアイテムボックスに入れておいてくれ」



 一晩寝て少し復活したストーム副騎士団長と共に、我が旅団7人は、吸魔の森を10日ほど歩いて、魔の森の浅い層に到達できた。


「やっと、ここまで来たかー。長雨で崖が崩れていなければ、ここが、崖登りの頂上だったんだぜ」


 崖の頂上から、下を見下ろす。高い。

 遠くの崖が崩れているのがわかる。これでは登れない。


 ちょうどそこへ、バクシューレツ国の方から、商人風の荷馬車に乗った旅団が崖の上に到着した。

 その旅団も、崖崩れを見て難しい顔をしている。


 商人風の旅団が、ストーム副騎士団長に話しかけた。

「失礼します。私はバクシューレツ国のマーギン商会、他国部門担当のバイオレットと言います。

 バレンシア侯爵家ストーム副騎士団長とお見受けします」マーギン商会のバイオレットと名乗った女性は、すらっと身長の高く、目が大きい、キャリアウーマン風美人だった。


「なぜ、私の名前を知っている」ストーム副騎士団長は剣の鞘に手をかけ、警戒をあらわにした。


「いえいえ!私は怪しい物ではありません。砂漠地帯の国境沿いで、我が商会のパトリオットが挨拶させていただいた事、覚えてらっしゃるでしょか?。身長が低い、髪に白髪の混じった50台ぐらいの男です」必死に言い募っている。


「あー。覚えている」ストーム副騎士団長は、剣の鞘から手を放し警戒を解いた。


 バイオレットはそれを見て安堵し話を続けた、

「そのパトリオットから、途中の崖が崩れているかのしれないと、魔鳩で連絡が来て、確認に上がった次第です。ストーム副騎士団長の旅団は崖を登ってこられたのですか?他の道を通って来られたのですか?」


「ああ。吸魔の森と、その下の2mの岩場を通って来た」


「まーなんと。あそこは未開の地。何度か未開の地に足を踏み入れた冒険者もおりましたが、ほとんどの冒険者が返ってこず、情報があまりない地域です。ご無事に通り抜けれた事何よりです。よろしければ、未開の地の情報を頂けませんでしょうか。もちろん報酬をご用意いたします」バイオレットは深々と頭を下げた。


「うむ。情報を渡すのは構わない。バクシューレツ国に着いたら、ギルドで情報を提供する予定だった。報酬を払わずとも、待てば未開の地の情報が手に入るぞ」


「はい。ですが、我が商会はコダラン国、ハメネイ国との輸出輸入を担っている唯一の商会です。崖が崩れた今、他の経路の開拓、崖の修繕を考えなければいけません」


「構わん。情報を提供しよう。だが、報酬の代わりに欲しい物がある。魔力ポーションを持っていないか?今持っている分と、バクシューレツ国に行ってから何本か買いたい」


「はい、今の手持ちは5本です。お譲りするのは構わないのですが、誰か魔力が枯渇している方がいらっしゃるのですか?」バイオレットは旅団員を見回し、魔力枯渇状態の者がいないから思案顔だ。


「ああ、キスグ出してくれ」

 私は、口に指を突っ込んで、口の中から糸繭を1つ吐き出した。


 バイオレットも、商人の旅団員達も、私を見て口をあけたまま動かない。


 えー。久しぶりに私のアイテムボックスの事を知らない人の前で吐き出したよ。

 ショック!そんなに絵ずら悪いの、ぶちゃいくなの~。


「・・・・。」

 絶望顔で、しょげている私の肩に、ヨハンが無言で手を置いた。



「それともう一つ、できれば魔物の買い取りをおねがしたい。買い取りできなくても運んでくれるだけで構わない」


 ストーム副騎士団長の要望に、バイオレットは素早く我に返り

「はい、今回は崖の調査だけなので、荷馬車で来ています。買い取り魔物がどのような物かわかりませんが、責任もって買い取らせていただきます」深々と頭を下げた。


「キスグ、出してくれ。・・・・キスグ?」


 私はストーム副騎士団長をジト目で睨んでいる。

 また、吐き出すのー。ヤダよ。だって顔引くほどぶちゃいくなんだよ。

 男の子のかっこしてても、11歳の乙女なんだからね。


「・・・は~い。蜘蛛の魔物本体は腐るから、荷馬車にのせるなら蜘蛛の糸の方がいいと思う。蜘蛛の糸でいい」


「ああ。構わない」


 私は、また口に指を突っ込んで、荷馬車分の蜘蛛の糸を吐き出した。


 今度は、バイオレットも、商人の旅団員達も、大量の蜘蛛の糸を見て口を開けて動かない。


 バイオレットが蜘蛛の糸におそるおそる近づき、糸を触った。高揚の表情でうっとりしている。

 蜘蛛の糸に抱き着き頬ずりしだした。


「・・・。買い取ってくれるか。できなければ運ぶだけ「いいえ!いいえ!是非是非!是非にも我が商会で買い取りを!すべて買取をさせていただきます!」ストーム副騎士団長の言葉にかぶせてきた。

「この白さ、この光沢。この柔らかさ、軽さ。この世の者とは思えません。見たこともない最高の糸です」バイオレットの蜘蛛の糸を見る目が怖い。


 ストーム副騎士団長、バイオレットの勢いにちょっと引いちゃってる。

「ゴホン。ではお願いする、魔力ポーションを頂けるか?」


「はい、ただいま」バイオレットは5本のポーションをカバンから取り出した。


 ストーム副騎士団長は、私が出した糸繭を、小刀で縦に割り開いた。中にはエリナ姉がいた。

 エリナ姉に素早く、1本分ポーションをぶちまけ、2本目のポーション瓶を口に突っ込み無理やり飲ませ出した。

「ゴホン、ゴホン」せき込みながら、エリナ姉が目を開けた。


「エリナ姉!」私は涙を流しながら、エリナ姉に抱き着いた。


「キスグ?ここは…。助かったのね」エリナ姉は起き上がり、糸繭から抜け出した。まだ足取りはふらつくようで、3本目のポーションを一気に飲み干した。


 エリナ姉は周りを見渡し

「少し気分が良くなったわ、でも、今は少し寝かせて」私に倒れ掛かるようにして眠りについた。


 一部始終を見ていたバイオレットと、商会の旅団員達は呆気にとられていたが

「ストーム副騎士団長、魔鳩の便りでは、旅団員は14名と書かれていました。それが7名しかおらず、旅の途中で7名、命を落とされたと思っていたのですが、もしかしてアイテムボックスに入っているのですか」


「そうだ。残り全員入っいる。だが、魔力枯渇寸前でアイテムボックスから出すと、枯渇し死んでしまう可能性が高いため、魔力ポーションが十分に揃った段階で、復活させる予定だ」


「そうすると・・・。大容量、時間停止機能、生きた物も入れれれる・・・。」

 バイオレットが勢いよく、私の方を振り向いた。もともと大きい目が、限界まで開眼され、驚きと、困惑と、商売人の獲物を狙う目になっていた。


 びく!やばい。なんか嫌な予感する。

「・・・・。」

 おびえる私の肩に、ヨハンが無言で手を置いた。











ストーム副騎士団長、キスグのアイテムボックス、商会員にバレちゃいました。後でエリナ姉に怒られます。

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