湿地帯から崖の道
とても短いです。本日も2話投稿予定です。
「あー。やっぱり、崩れてる」
私たち旅団は、湿地帯を抜け、バクシューレツ国との国境。
見上げても頂上が見えない、崖の前に来ている。
この崖には、簡易的な足場が、杭と鉄の鎖で作られていていて、旅団はそれを頼りに上っていく予定だったが、崖の途中が、無残にも崩れ落ちて、鉄の鎖が垂れ下がっている状態だ。
「これじゃ、登れないね。魔の森の中腹まで迂回して、バクシューレツ国を目指すことになるよね」
魔の森の迂回路の道を見つめながら、みんな思案顔だ。
それも、そのはず。迂回路の道は、道らしい道はなく、2mほど楕円形の岩が所狭しと並んでいる。
これから岩の隙間をぬうように歩ていくことになるだろう。
「どうするよ、ストームのだんな。崖が崩れてるから、崖登りはできねー。迂回路はあのざまだ。
足場が悪く歩きにくい。視野が狭くなるから魔物の襲来を感知しにくい。魔物との戦闘になった場合、離散しやすい。悪条件そろい過ぎてる」
紅団リーダーのジャンが、ストーム副騎士団長の横に立ち、迂回路を見つめながら話し出した。
「ジャンは迂回路を通ったことは無いのか?」
「ねえな。普通、崖の道があるのに、わざわざ遠回りしないだろ。
砂漠地帯で出会ったマーギン商会の話では、出現する魔物は一匹一匹は弱いが、狡猾で集団で襲うって話してたな。マーギン商会も魔物の詳細は知らなかったが」
「どう考えても人間に不利な地形だ。集団で移動したいが無理だろう。必ず離散する。
離散して、襲われたら弱い個体でも苦戦するだろう。
始めから、3、4人の集団で移動。集団の中に一人必ず、飛び魔法を使える者を置く。火魔法なら空に火を放てば居場所がわかる。水魔法も同じ。襲撃された場合は駆けつける事ができる。だが、安全じゃないがな、その方法しかないように思う」
ストーム副騎士団長と、紅団リーダーのジャンが話し合っている近くでは、
「ねえヨハン。この石さ、邪魔だね。持ってるハンマーで砕いてよ。私はアイテムボックスに岩を入れて、邪魔じゃないところに吐き出すからさ」
「・・・・。」
ヨハンはハンマーと岩を交互に見て、2mの岩の前に歩みよった。
ヨハンはハンマーを大きく振りかぶり、岩をぶっ叩いた。「バン!ばらばらばら・・・」岩は見事に砕け散った。
「やった!これ行けるんじゃない」私も負けじと、アイテムボックスに岩を収納、違う場所に吐き出した。
それを見ていた、ストーム副騎士団長と紅団リーダーのジャンが、近づいてきて、
「何やってんだお前ら、岩、砕いてどうするんだ」
「道がないなら、作ればいいんだよ」私は満面の笑みで答えた。
呆気にとられていた二人だが、騎士団員の土魔法使いを呼んできて、岩が砕けないか試したところ、ばらばらに岩が崩れた。
2人は顔を見合わせ、うなずき合った。
ヨハンと、土魔法騎士団員、私とで岩の除去、道づくりが始まった。
道づくりは、夕方まで続き、だいたい5キロほど進むことができた。
今日は、岩を除去して作った広場でキャンプする予定だ。
道がないなら、つくればいい。誰が言った言葉だけ?
私の座右の銘は、働かざる者食うべからずです。
次は、トラブルの予感。




