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私の魔術は使いにくい  作者: ロミ


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3/7

試行錯誤(兄視点)

3話目の投稿です。

 マジうける。我が妹ながら、あの顔はない。

 それに椅子が口から出入りするインパクト。

 妹のキスグは父親に似た黒目、黒髪ストレート。母親から奥二重と色白を引き継いで、小柄で小動物のような見た目。一般的には、まあまあかわいい部類に入るだろう。

 だがアイテムボックスを使った時の顔はヤバい。まるでワニ。ふりふりのドレスを着たワニ。そのギャップがうける。

 やさしい、やさしい兄が、しっかり導いてやらねばならないよな。


「おーい。キスグ、庭師の倉庫裏で何してんだ」


「げ!ジン兄。今からアイテムボックスの検証。どれだけ大きいものが入るのか、確かめようとしてるんだよ」


「ふーん。何入れるんだ」


「椅子より大きいものだよ。まずは、テーブル」


 テーブルに噛みつき吸い込んだ。


「次は、荷台」


 荷台も噛みつき吸い込んだ。


「なー。口汚くならねえの?食べ物食べるとき噛むだろ、どうしてるんだ?」


「アイテムボックスに入れようって思って噛めば、口にはつかないよ。昨日、自室でインクを染み込ませたぬいぐるみを噛んでみたんだけど、唇も、歯も、舌もインクは付かなかった。出す時も同じ。朝食は、アイテムボックスに入れようって思わなかったら、普通に食べれたよ」


「ふーん。そうなんだ。意外と便利だな。

 じゃー今度は、庭師の倉庫噛んでみてよ、中身が入ってる物もそのまま吸い込めるか検証しようぜ?」


 妹は倉庫に近づき、嚙みついた。倉庫の中にあった物品も一緒に吸い込んだ。


「すげー。どれだけ入るんだ。苦しくないか?」


「苦しくないよ。容量は今ちょうど半分ぐらい使ったかな。でも、アイテムボックスの中に何が入ってるか覚えておかないと、取り出せなくなりそう。今度は取り出してみようかな」


 妹はテーブル、荷台、倉庫を吐き出した。


「倉庫の場所ズレてね。元の位置には戻せないのかよ」


「ん-難しいよ。口の中で倉庫を掴んで引きずり出す時、ゆっくり取り出したら、戻す位置を調節できそうかな」


 妹は、何度か倉庫の出し入れを繰り返し、元の位置に戻すよう調節していた。

 根が真面目なんだよな。努力もするし、弱音は吐くが諦めないし。やさしいし。大きくになって、悪い大人に騙されないか兄ちゃん心配だよ。




 ひとしきり、倉庫裏でアイテムボックスの検証をやって、今度は子爵家の厨房に移動した。

 ここでは、生きている物は入れられるのかを検証する。

 倉庫の裏では、落ちている枝はもちろん、生えてる草、育ってる木も根っこから吸い込めた。


 厨房には料理人達が居たが、次期当主権限で退室してもらった。

 アイテムボックスの事は秘密にしたいし、妹も、ふりふりドレスのワニ姿は見られたくないだろう。

 厨房で生簀から、生きている手のひらサイズの魚を網で掬い、妹の前に置いてやった。


「やっぱりやらなくちゃダメ?今後、生き物入れないよ。動くし、怖いし、臭いし、生きてる魚に噛みつきたくないよ」


「寝言は、寝てから言え。これは、生き物が入れられるかだけじゃなく、マジックバックに時間停止機能がついてるかの検証でもあるんだ。魚が生きて出てきたら、時間が止まってた証拠になるだろ」


「えー。ヤダ。あーやだ、どこ持つの、つるつるぬめぬめしてる。目が合った。目が合ったよ。こっち見てる。怖い、怖い。睨んでるよ。顔近づけたくない。臭い、魚臭いよ。あーあー」


 がぶり!


「・・・。吸い込んだ」


 妹は、涙目になりながら、手と口を水で洗い流している。


 明日は、吸い込んだ魚が生きているかどうかの確認だ。







ジン兄との検証まだまだ続きます。

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