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私の魔術は使いにくい  作者: ロミ


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魅惑の花

本日2話目の投稿です



「すごい。綺麗~」誰もが、目の前の光景に、ただただ見入った。





一夜明け、早朝から我が旅団は、魔の森の湿地帯へ足を踏み入れた。


生い茂る木々で日の光が遮られ、朝なのに日が入らず薄暗い。

ぬかるんだ地面には、コケの生えた大きな根が行く手を遮る。

じめっとした空気が、蒸し暑く体力を削っていく。まっすぐ進んでるはずなのに、不安になる感覚。


「ヨハン、真っ直ぐ進んでるよね」


「・・・・。おそらく」


まだ魅惑の花の場所に到着してないに、不安に駆られるのは、魅惑の花の影響があるのだろうか。

考えてもしかたない、前の人に付いて行くしかないね。




朝から歩き始めて、半日。

突如、森が開けた。


魅惑の花は毎回違う花が咲くが、季節の花が咲くことが多い。今は6月。


そこには、見渡す限り、あじさいの花。水色、赤紫、紫、ピンク色、色とりどりのあじさいが、小雨に濡れて、花びら一枚一枚が光沢を放っている。

高さ約1mのあじさいは、水平線の向こう側まで広がっている。

辺り全体に、雨の湿った土の匂い、ごく淡い青っぽい甘さを含んだ空気が漂っていた。



「すごい。綺麗~。」私はその場から動けす、口を半開きにしたまま、あじさいに見入っていた。


初めに動いたのは、護衛のヨハンだった。

「ドーン!」

ヨハンは、愛用のハンマーを力いっぱい地面にたたきつけた。


我に返った面々が、動き出す。


「魅惑の花の場所に着いた。少し進んで、風魔法を使う。みんな列を乱さないように、はぐれるな」

ストーム副騎士団長を先頭に、あじさいの花の中へ、歩みを進めた。



「・・・・。掴まれ」ヨハンが私を肩車してくれた。


私は、11歳の女の子にしては小さく、120cmしかない。1mほどのあじさいは私を埋もれさせた。

いいんだ。いいんだ。チビでも。しっかり食べて、これから大きくなるんだから。


ヨハンの肩車から見るあじさいは圧巻だった。どこまでも、どこまでも続いていた。



少し歩いて、後ろに森が見える、周りはすべてあじさいに囲まれた場所まで来た。ストーム副騎士団長が

「ここで、広範囲に風魔法を使う。あじさいの花びらが散った後、花びらが綺麗に残ってるあじさいが本体だ。皆、見落とすな、見つけたら触らず、すぐに知らせろ。いくぞ!」


「ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・

ストーム副騎士団長を中心にして、広範囲風魔法が炸裂。大きな竜巻のようになった風魔法は、周りのあじさいをなぎ倒し、花びらを散らして、空へ消えていった。


竜巻の後の、見渡す限りのあじさいの残骸の中、咲き続けているあじさいをひたすら探す。

「広範囲過ぎて探しきれないよ」

しかも、目を凝らして遠くを見たら

「あれ?あっち奥の方、あじさいいっぱい咲いてるよね。あじさいを全て殲滅できてないじゃん」


ストーム副騎士団長の広範囲の風魔法より、あじさいの群生地の方が広かったのだ。




「どうしますか。このまま広範囲の風魔法を使用しながら前に進みんだ方がいいかしら。それとも引き返して迂回路を進む?。私はこれだけ広範囲の風魔法なら、魅惑の花の影響も少ないと思うの、魅惑の花が咲く場所には魔物は入ってこないって言うし、それなら昼間に移動できるわ」エリナ姉が提案すると。


「今は、広範囲の風魔法で、あじさいはなぎ倒されているが、一晩すると、幻影は元にもどる。殲滅した場所も復活する。森の見えない奥まで行って、あじさいに囲まれたら方向がわからなくなるぞ」紅団リーダーのジャンが訴えた。


ストーム副騎士団長が

「広範囲の風魔法は、あじさいをなぎ倒し進むことはできるが、魔力的に1日2回が限界だ。魅惑の花は、おそらく方向を狂わす魔術も使っている。迷わない保証はない。魅惑の花の本体に近づけさせないように、近づくと強く魔術を使用するはずだ」


「実を言うと、わしはまだ大丈夫じゃが、これまでの長距離の歩行、エリナの足は限界じゃ。そこへ、これから1か月もの間、夜間に足場の悪い森の中を歩くのは、ちと難しいとは思うんじゃ」

「もう、言わないで、足でまといになりたくないのに」バレンシア侯爵令嬢に、足の状態をばらされたエリナ姉はご立腹だ。



「あのー。1つ提案があります」

ヨハンに肩車された状態の私が言うと、皆の視線が集中した。


「何キスグ。いい案でもあるの?」エリナ姉が聞いてきた。


「できるかどうかわからないけど、魅惑の花は風魔法しか効果がない設定でしょ。幻影は出す花の特性に忠実だと思うんだよね。今も小雨が降ってる演出してるし。

そこで、あじさいって土壌が酸性の時、花は青や紫色に、土壌がアルカリ性の時、花は赤くなる。

その特性を利用して、花の色の道を作ればいいと思うんだよ」


「どういう事じゃ」


「ストーム副騎士団長が広範囲の風魔法をした後、今みたいにあじさいは倒れてるでしょ。この倒れてむき出しになっている土壌に、森から直線を描くように、卵の殻をまいて、土壌を酸性にしてしまうんだ。

そしたら、直線的に赤いあじさいが咲いている場所が、今まで通って来た道ってことになる。

次に広範囲の風魔法を使う方向は、直線的に赤いあじさいが咲いていない方向に向けて繰り出せば、迷わず進めるはずだよ」


「キスグいい考えね。やってみましょう。でも卵の殻、そんなにあるの?足りないんじゃない」


「卵割らなきゃいけないけど、いっぱいあるよ。卵の殻を砕いて酢に浸して50倍に水で薄めれば、足りると思う」


「どうです、ストーム副騎士団長。やってみる価値はありそうじゃないですか?」エリナ姉の問いに、


「うーむ。そうですね。キスグ、今から、卵の殻を量産できるかい?量産できたら、見えているあの森から、ここまでを直線的に殻を蒔いて酸性の土壌にしてもらいたい。今晩はここでキャンプして、明日の朝復活したあじさいの幻影がどうなってるかで判断しよう」




私とヨハン、騎士団員、紅団員も一緒に、アイテムボックスの中にあった大量の卵を割り、卵の殻を酢につける作業が始まった。


酢につけた卵の殻は薄めて、森と今晩のキャンプ場を繋ぐように、直線的に蒔いてもらった。

さて、さて、明日はどうなっているのだろう。

本当は、私の足も限界だから、魔の森の湿地帯を1か月歩くのは勘弁してほしいんだよね。






翌朝


「すごい。一直線だね」


森からキャンプ場まで、赤いあじさいの道ができている。


成功したことで、今後の方針が決まった、このまま、魅惑のあじさいの中を歩いていく。

もちろん、1日2回、ストーム副騎士団長に広範囲の風魔法を繰り出してもらい。道を確保しつつ進む予定だ。




まだ魅惑の花、続きます。個体名、特性はフィクションです。

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