砂漠地帯から湿地帯へ
短いですが、本日も2話投稿予定です
「もうすぐ、砂漠地帯を抜ける。湿地帯に入る前に一旦休憩だ」ストーム副騎士団長が声をかけた。
異変種のスライム襲撃後、7日歩き続けた。やっと砂漠地帯ハメネイ国の国境沿いを離れ、湿地帯へ突入する。これから湿地帯を1か月ほど歩き続ける予定だ。
この湿地帯で一番厄介なのが、魅惑の花。昼夜旅人を惑わし、方向を見失わせるらしい。湿地帯の植物は迷った旅人を栄養に成長するそうだ。
魅惑の花は、本体が見せる幻影なので毎回違う花が咲く。
本体を壊せば幻影は消えるが、本体を見つけることは難しい。本体を討伐する唯一の方法は、風魔法ですべての花びらを散らす事。花びらが最後まで散らなかった花が本体だそうだ。
湿地帯では夜間移動になる。魅惑の花の場所でなくても、その周辺は影響されるので、ほとんどの魔物は日中行動しない。魅惑の花が萎んで影響が少なくなっている夜間に行動するそうだ。
湿地帯の手前、頭上には、カンカンと照り付ける太陽。足元には地面にはいつくばって広がっている雑草。後ろを振り向けば、水平線まで見渡せる砂漠が広がっている。一方、前を見ると、空まで生い茂るかのような木々、太陽の光がほとんど入らないため薄暗く、魔の森が不気味に誘う。
ストーム副騎士団長、紅団リーダーのジャン、エリナ姉、バレンシア侯爵令嬢が、湿地帯での移動方法を再確認するために集まった。
紅団リーダーのジャンが話しだした
「これから湿地帯に入るが、基本夜の移動になるだろう。一般的な魔獣は日中に活動しているが、湿地帯の魔獣は夜に活動してる方が多いんだ。魅惑の花の影響の少ない夜間。しかも魔獣が活動している時間帯に起きていた方が危険を回避できる確率が上がるんでな。だが、夜間は暗く視野が確保できない。しかも盛り上がった木の根や、沼地が多く足を取られやすいんだ。
こんな状況で、魔獣の脅威にさらされながら、薄暗い中1か月も歩くとなると、体力も気力も削られるだろ。1か月歩くルートは、魅惑の花を回避して移動する迂回ルートだ。
だが、もう一つルートがあるんだ。うまくいけば10日ほどで湿地帯を出られる。
その道は、魅惑の花の中を横断するルートだ」
「だが、魅惑の花は人を惑わす。方向感覚を狂わせ、人間を弱らせ栄養にすると聞いた。そんな道通れるのか?」ストーム副騎士団長が訪ねた。
「ああ。普通は通れない。だが、この旅団には、ストーム副騎士団長がいる。コダラン国1位の風魔法使いがな。魅惑の花は、風魔法ですべての花を散らせば、本体を討伐できる。試してみる価値はあると思わないか」紅団リーダーのジャンが挑発的にストーム副騎士団長に尋ねた。
「うむ。しかし、魅惑の花を討伐できる保証はない。今までの計画通り、夜間に移動しながら湿地帯を抜けた方が安全ではないか」
「さっきも言ったが、夜間の移動は足場が悪い、魔獣が襲ってくる。魅惑の花に惑わされないだけで、安全とは言いずらいんだ。魅惑の花の場所は、魔獣も惑わされ方向感覚を失うから基本昼も夜も魔獣は入ってこない。いてもスライムや、虫の魔獣で害はほとんどないやつだ。夜間でも魅惑の花の場所は幻影の影響があるからな。
どうだ、やってみないか。今決めなくても、魅惑の花の近くまで行って判断してもいい」
「うむ。そうだな。風魔法を試してみるのも悪くない。幻影の花を吹き飛ばせないなら、迂回ルートを選ぶ選択もできる。バレンシア様、エリナ様よろしいですか」
バレンシア侯爵令嬢が答えた
「わいは、ええぞ。面白そうじゃな。火魔法で幻影を焼き払うのはダメなのか?」
「風魔法以外は、幻影を打破でいないんだ。風で揺れる、花びらが舞い散る姿は、花として一般的だからこそ、風は幻影の設定に組み込まれている。それ以外は設定外なので効果がないと噂されているんだ。」
紅団リーダーのジャンは答えた。
「私も賛成です。1か月も厳しい道を行くより。魅惑の花さえ討伐できれば、安全にしかも10日ほどで通過できるのは魅力的です」
エリナ姉も賛成した。
「では、今日はここでキャンプとする。明日朝早くから、湿地帯に入り真っ直ぐ進み、魅惑の花を目指す事とする」ストーム副騎士団長が宣言した。
「へ~。そうなんだ」エリナ姉から、話し合いの結果を聞いた私は、ある事を考えていた。
次は、魅惑の花に足を踏み入れます




