マーギン商会との出会い
説明回です。本日2話目の投稿です。
ぱっか、ぱっか、ぱっか
「・・・・平和だね」
ゾルトラーク子爵から、魔の森の向こう側にあるバクシューレツ国への旅が始まって10日。
私は今、護衛のヨハンと一緒に、馬に乗っている。
旅が始まって2日目で子爵家領内を抜け、3日目に魔の森へ入った。
魔の森は、道もなく、生い茂る草をかき分けながら進むんだとばかり思っていた。
整備されてないが、道幅2mぐらいの林道が続いている。馬車は通れないが馬では移動できる道。すれ違う旅人も多い。広いスペースがある場所では、物売りや、馬の貸出し小屋がある。今乗っている馬も借りたものだ。
「なんだか拍子抜けだな、もっと気力も体力も削られる旅になると思っていたのにな。野宿はするけど、移動は馬だし、退屈だよね」
「・・・・。」
「ヨハンて無口だよね」
無言のまま馬に揺られ、数刻。今日のキャンプ場に到着した。
早速、今日の夕飯づくり、私はしないよ。
水と、すでに出来上がった料理の入っている大鍋とパンをアイテムボックスから出すだけ、おのおのが持っている水筒や食器に料理をよそって食べている。
出立前に子爵家料理人達が何日もかけて14名3か月分の食事を作ってくれた。
私のアイテムボックスに大量に入っている。
朝と、昼は、おにぎりやサンドイッチなど、簡単に食べれるものだが、夕食はしっかりした食事を摂取するようにしている。
食事は、精神と身体の基本だからね。この10日で使用し終わった空の鍋や、空の水瓶がアイテムボックスに保管されている。
今日の夕飯は、子爵家料理人作トマト煮込みハンバーグ。
表面はこんがり、ジューシーに焼きあがったハンバーグに、トマトの酸味と甘みを最大限にいかしたトロっとした餡が、ハンバーグの中に染み込んでる。噛んだ瞬間、肉じゅわじゅわと、あふれ出す最高の逸品だ。
アツアツ出来立てのバンパーグをはふはふしながら食べていると、ストーム副騎士団長が商人らしき旅人に話しかけられていた。
「失礼します。私はバクシューレツ国のマーギン商会、他国部門担当のパトリオットと言います。大変言いにくいのですが、そちらのトマト煮込みハンバーグを我が商会の者達にも分けていただけないでしょうか?お代は、相場の2倍、いや3倍払います」
トマト煮込みハンバーグの鍋をちらりら見ながら、身長が低い、髪に白髪の混じったおじさんが、必死の形相で、ストーム副騎士団長へ訴えている。
何でも、トマト煮込みハンバーグが食べたいらしい。
この商人旅団は、バクシューレツ国出身でマーギン商会。バクシューレツ国の特産品をコダラン国に輸送し、コダラン国と隣のハメネイ国の商品を輸入するために旅をしているらしい。
ハメネイ国で買い付けは終わったので、今はコダラン国に向かう途中だそうだ。
マーギン商会にアイテムボックス持ちがいるが、時間停止機能はないため、新鮮な食べ物は入っていない。
干し肉と、硬いパンで数日過ごし、あたたかい食べ物に飢えていた時、トマト煮込みハンバーグは誘惑的だよね。
なんと、侯爵家からもらったガトーショコラの原料カカオもマーギン商会が運んできてくれたものらしい。
チョコレート!甘味の王様チョコレート!この旅団が運んでくれていたなんて!
お礼をせねば、そしてできれば、バクシューレツ国に着いたら、お店で買い物させて欲しい。
ストーム副騎士団長はしぶっていたが、相場の3倍の代金と、旅の経路情報、バクシューレツ国の情報を教えてもらうことで、商談成立した。
マーギン商会の話によると、これから行くハメネイ国側の国境沿いの道は、砂漠地帯が多い。馬も使えるが、ラクダの方が効率がいい。ハメネイ国側は、治安が悪いので、盗賊や人攫いに注意する事。
砂漠地帯を10日ほど行くと、国境沿いを離れ、湿地帯に突入する。この季節、湿地帯には魅惑の花が咲くそうで、旅人を惑わし、方向を見失わせるらしい。湿地帯の植物は迷った旅人を栄養にし成長するそうだ。
魅惑の花は、本体が見せる幻なので毎回違う花が咲く。本体を壊せば幻は消えるが、本体を見つけることは難しい。本体を倒す唯一の方法は、風魔法ですべての花びらを散らす事。花びらが最後まで散らなかった花が本体だそうだ。
1か月ほど湿地帯を歩き、大きな崖につく、崖にそって作られた道を登れば、バクシューレツ国側の魔の森に入る。マーギン商会が通った時は大丈夫だったが、先の長雨で崖が崩れているかもしれない。もし、通れなかった場合、崖を避けて、魔の森の中腹まで入り坂を登る事になる。中腹の魔物は弱いが、集団で襲ってきたり、人を惑わすすべを持ち狡猾だ。旅の日程が10日ほど伸びることになるだろう。
ここからが、旅の本番ということだね。気合を入れよう。
説明回多いな。次はトラブルの予感




