ジン兄との野営(番外編)
検証回です。本日2話目の投稿です
時はさかのぼり、キスグがアイテムボックスの魔術を授かった頃
「キスグ、起きろ、魔の森に行くぞ」
おはようございます。
夜も明けない暗い時間から、私の部屋にノックもなく入ってきたのは、私の兄、ジン兄。子爵家次期当主なのに、デリカシーは無く、言葉遣いが乱暴だが面倒見の良い兄は、今日も私を振り回す。
私のアイテムボックスを使て、戦闘に使えるか検証したいらしい。
朝4時から、ジン兄のペースに巻き込むのは、かんべんして~。
ジン兄の魔術は狩人。私は、小さいころから専属メイドのマリーと一緒にジン兄につれられ魔の森に入っていた。魔の森に入り、弓での狩や、罠での魚捕まえ方、食べられる果実、食べられないキノコなどを教わったきた。
今回は、初めての一泊。マリーなし。自分の事は自分で行う、サバイバル方式らしい。
自分で、魔の森で1泊に必要と思う物資を選び、装備を整え向かう。アイテムボックスに入れれるのはバケツ1杯分だけ、後の物は手持ちだ。
もちろん、ジン兄は付いてきてくれる。アイテムボックスの戦闘検証だから、魔物と対峙するからね。
1人じゃ危ない。でもサバイバルの手伝いはしてくれない予定だ。
今回の狩場は、森の中、木々が生い茂り、湿った空気が重く、視界が悪い。
地面が湿っているため、テントは張れない。服が朝露に濡れて風邪をひいてしまう。
森での体調不良は命取りだ。
大きな木を見つけてので、木の上で体にロープをまいて今日は眠ろうと思う。
寝床を見つけたので、次は食料調達だ。水の調達必要ない。アイテムボックスに入れてきたのはバケツいっぱいの水なのだ。
湿った森の地面を掘れば、虫が出てくる。食料的にはそれでも良いが、戦闘検証だから魔物を探そう。
少ししたら、遠くの方に、大きな蛇の魔物を見つけた。大きさは私の大腿ぐらい、長さ約2m、緑色と黒の迷彩柄、ゆっくり木の間をねって進んでいる。
「ジン兄見つけた、迷彩柄の蛇どうやって検証するの?」
「噛まれろ」
「はい?」
「噛まれて来い」
「嫌ですが、死にますが」
「死なないだろ、指を咥えて噛まれればいい。アイテムボックス出し入れ中は攻撃効かないだろ」
「嫌、嫌、無理だよ。無理。普通に怖い。できれば近づきたくない。弓で落として、槍で仕留めるのが普通の狩だよ、私が噛まれて毒まみれになったらどうするのさ」
「心配するな、解毒薬は持ってる」ジン兄の厳しし眼差しが私に向けられる
「でも、でも、でも・・・・。わかったよ、行ってくるよ」私は、とぼとぼと蛇に近づいた。
蛇が私に気付き、攻撃を仕掛けてくる、私は指を咥えたまま動かず、蛇に噛まれた・・・。と思ったが、噛まれていなかった。びっくりしたのか蛇は何度も私に噛みつくが、噛みつけていない。
噛まれ続けて何だかイライラしだした私は、指を咥えたまま逆に蛇に噛みついた。
蛇は私の口の中に吸い込まれていった。
「ふ~ん。指を咥えたまま、吸い込むこともできるんだな。やっぱり無敵じゃん」
少し歩いていると、軽自動車並みの大きさのイノシシの魔物が横の草むらから突如出てきた。
私はとっさに、指を咥え、受け身の体制を取った。
イノシシはそのまま私にぶつかり、私は反対側の木に飛ばされた。
イノシシにぶつかられた痛みはないが、ぶつかった衝撃で指が口から離れ、木に飛ばされた衝撃をもろにくらった。
背中の痛みと、ぐわんぐわんする頭で、思考がまとまらない。
私を跳ね飛ばしたイノシシは、私に向かってきている。
ジン兄は、小刀を手に持ち、突進してくるイノシシの首の根本、左前足の筋を切り裂き、イノシシは前のめりで転ぶように止まった。
「損傷はないが、衝撃は受けるんだな」ジン兄はイノシシに止めを刺しながら、冷静に分析していた。
「お前、ずーと指咥えとけよ」
今日仕留めた、イノシシ魔物肉を入れた鍋をかき混ぜながら、ジン兄が言う。
「いやだよ。赤ちゃんじゃないんだから、しかも片手使えないって不便じゃん」
「じゃーよ、何かをずーと噛んでおけはよくね。例えば鉛筆とか、吸い込まずに噛みついたままにしておけば、アイテムボックスに入れてる途中になるだろ、無敵じゃね」
「んー。それもどうかな?考えてみるよ」
その夜私は、木の枝を噛みしめながら夜を明かした。
次の日、
「今日は、アイテムボックスを使っている時に攻撃ができるかの検証だ。枝を噛んだ状態で弓を弾け。魔物に矢は刺さるのか、はじき飛ばされるのか」
池の畔にいる、灰色のダチョウみたいな魔物を発見。枝を噛んだまま慎重に弓を弾き矢を放った。
「ギョエ」矢は魔物のお尻に刺さった。ダチョウはすごい形相で、勢いよくこちらに走ってくる。
次の矢が間に合わない、焦った私は、矢を落としてしまった。
ジン兄が、魚を捕まえる網を広げて投げ、ダチョウを網で包み、足をかけて転ばせた。
「アイテムボックス出し入れ中でも、武器は有効だな。弓の腕はいまいちだけどな。鳥は必ず首を狙え」ジン兄はダチョウを仕留めながら、私に指導した。
こうして私の、魔の森での野営は幕を閉じた。
あー疲れた、もうやりたくない。
この時、私はまだ知らない、これから何度も野営をすることになることを。
いよいよ次は、出立です。




