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私の魔術は使いにくい  作者: ロミ


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バクシューレツ国への経路検討

説明回です。本日2話目の投稿です

 

 キスグが橋の修復をお手伝いをしている時。


 ゾルトラーク子爵家ではユーべ大陸の地図をテーブルに広げ、子爵家当主、ジン兄、エリナ姉、バレンシア侯爵令嬢、隊を率いる侯爵家ストーム副騎士団長、今回の道案内役、冒険者紅団リーダーのジャンがバクシューレツ国へ行く経路を検討していた。


 バクシューレツ国へ行くルートは2つある。


 1つ目の道は、ゾルトラーク子爵領から魔の森に入る。草原地帯の魔の森と砂漠地帯のハメネイ国の国境沿いを行くルート。

 このルートは、高低差は少ないが、国境の砂漠地帯が終わると湿地帯が広がる。比較的弱い魔物が多く出現する。盗賊や人攫いなど犯罪が多い地域。生存率は高くなるが3か月以上かかる大回りの道。


 2つ目の道は、辺境伯領から魔の森に入る。海沿いを行くルート。

 このルートは、途中から断崖絶壁になるため、沢から山に入り、最後には山越えになる。高低差、寒暖差が激しいく、魔物も強い。生存率は低くなるが1か月弱で行くことができる最短距離の道。


「どちらのルートがベストか検討したい。まず、冒険者紅団リーダーのジャン。お前は、どちらのルートも渡った事があるらしいな、意見を聞きたい」子爵家当主が話をきり出した。


 紅団リーダーのジャンは軽い調子で

「初めに俺は平民だ、お貴族様の言葉使いはできねー。腹の探り合いも苦手だ。失礼な発言があるかもしれねーが了承してくれ。

 んで、今回は大所帯だ。女、子供も含まれると聞いた、俺が勧めるのは1つ目の道、国境沿いのルートだ」


「だが、3か月以上かかるぞ。女、子供には3か月以上の長旅はきつい。現にキスグは2週間の馬車旅で体調を崩した。女、子供だが、自分の身は自分で守れる魔術がある。精鋭の騎士団もいる。最短ルートで行く方がいいのではないか」子爵家当主が問う


「エリナ様とバレンシア様が行くのはわかる、バクシューレツ国へ行く目的だからな。だが子供、キスグって言ったか、何でそいつを連れてく?」


「キスグは2階建て庭師の倉庫×2倍入る大容量のアイテムボックス持ちだ。しかも時間経過なし、食料、物資に余裕ができる」


「へ~、アイテムボックス持ち。そりゃ良い。食料、物資に余流があるなら、2つ目の道、海沿い山越えルートでも行けるぜ、子供は足でまといだが、一人なら何とかなるだろう」


 そこでエリナ姉が意見した

「女は、私とバレンシアだけではなく、メイドのキャサリンとマリーも一緒に行く予定です。危険にさらしたくありません。1つ目の国境沿いの道ではダメですか」


 紅団リーダーのジャンが、あきれた顔で

「は~。待ってくれ、遠足じゃないんだぞ。比較的歩きやすくても、魔物が弱くても魔の森だ。何があるかわからない、命がけで渡るんだぞ。1つ目の道でも、2つ目の道でも、戦力外はエレナ様とバレンシア様、キスグだけだ。他を連れていくなら守れないぞ」


 バレンシア侯爵令嬢が勢いよく話に入ってきた

「わいは戦える。この国で3番目の実力を持つ火魔法使いじゃ。エレナも魔力の多い水魔法使い、攻撃魔法もできる。メイドを守ることができるはずじゃ」


 紅団リーダーのジャンが、渋い顔で

「人間との戦闘では実力があるだろうよ。だがな、魔物との戦いは人間とは違うんだ。戦う場所もさまざまだし、魔物の特徴、弱点がわかるか?火魔法をぶつけてレベルアップする魔物もいる。

 バレンシア様がメイドを守れない時、騎士団の精鋭が何人か守りに取られる。そうすると攻撃の戦力が落ちる。戦力が落ちると、怪我、命を落とすリスクが増えるんだぜ。それでもいいのかよ」


「「な・・・・。」」エリナ姉、バレンシア侯爵令嬢は、なにか言葉を発しかけるが、次の言葉が出ず黙り込んだ。


 話を聞いていたジン兄が

「まーな、メイドを連れて行くのは無しだ。エリナとバレンシア様は、バクシューレツ国に出立つまで、自分の事は自分でできるように訓練するんだな。あー。キスグは大丈夫だ、自分の事は自分でできる。アイテムボックスの魔術の検証の為に、俺と一緒に魔の森で野宿してたからな、キスグは浅い魔の森なら一人でも暮らせるぞ」


「私から意見してもよろしいでしょうか」ストーム副騎士団長が手を挙げて話し出した

「私は1つ目の国境沿いの道を行くべきだと主張します。バレンシア侯爵令嬢を安全にバクシューレツ国に送る事が我々の任務だからです。我が騎士団は精鋭を揃えています、強い魔物に対して対応できるでしょう。ですが無駄に大切な部下を危険にさらしたくはありません。急ぐ旅ではありませんし、物資にも余裕があります。体調に気を付けながら進んで、確実に到着できる方を選びましょう」


 ずっと話を聞いていた子爵家当主が

「意見は出たようだな、一つ目の国境沿いの道とする。エリナとバレンシア様は、紅団の女性冒険者から急いで野外での生活様式を学ぶこと。ジャン頼んだぞ」


「「・・・はい」」エレナ姉、バレンシア侯爵令嬢、紅団リーダーのジャンは、いやいやながら返事をかえした。


「ストーム副騎士団長とジンは、旅団の再編成を行なえ、それとジン、魔の森に入り、魔の森の状態と隣国ハメネイ国の情勢を探れ、盗賊や人攫いは事前にできるだけ排除しろ。精鋭部隊を貸してくれますかストーム殿」


「「心得ました」」ストーム副騎士団長とジン兄が握手をかわした。




 ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-


「お腹減った~。今日の夕ご飯んは何かな~」


 私は、現在、橋の修理を手伝うため、専属メイドのマリーと、護衛のヨハンと一緒にホルムズ川の近くの土木関係者の宿舎に泊まっている。

 始めは、我が子爵家とホルムズ川を往復していたが、移動に時間がかかり効率が悪いのだ。


 マリーは宿舎の清掃や洗濯、食事を手伝い。ヨハンは私と一緒に土木関係者のごとく働いている。


 一日の仕事が終わり、宿舎に帰ってきたら、ジン兄が夕ご飯を食べていた。


「よ!元気か、真っ黒に焼けたな。キスグ、見た目もう令嬢じゃないぞ」

 私の頭を、ぐしゃぐしゃとなでながらジン兄は、面白がっている顔だ。


「やめて、やめてよ。髪が乱れる。もー何しに来たんだよ!」




「まー、座れ。バクシューレツ国へ出発日が決まったぞ。橋の修理が2週間ぐらいで終わるだろ、その後だ。こっちで、旅に必要な物資は揃えておくからな。それと、マリーは一緒に行けなくなった。危険な魔の森に足手まといは少ない方がいい」


「待って下さい。私は俊足の魔術を持っています。自分で自分は守れます。足手まといにはなりません。私もキスグお嬢様と一緒に連れてってください」

 マリーが必死にお願いしているが、


「すまない、会議で決まったことだ。マリーは連れていけない」兄は真剣な顔で、マリーに告げた。


 マリーは、肩を落とし、心配そうな、今にも泣きそうな顔で、私を見つめた。


 いつも一緒にいてくれたマリー。母のように、姉のように、時には友達のように接してくれた、私の一番の理解者だ。マリーと一緒に旅できないことは、正直心細い。


「マリー。私は大丈夫。お土産いっぱい買ってくるからね。ヨハンがいるし、何とかなるよ」


「キスグお嬢様~」マリーは泣き崩れてしまった。




 それから、マリーの心配性は加速し、バクシューレツ国に出立の日まで、小言を言われ続けたのはご愛敬だ。








次は、マリーとヨハンの会話です。

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