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私の魔術は使いにくい  作者: ロミ


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とろっとさせてみた

本日2話目の投稿です

「エリナね・・・様。水をもらいに来ました」


 大きい水瓶を抱えてエリナ姉のところにやって来た。


 エリナ姉の魔術は水魔法。毎日水の補充をしてもらっている。

 他の水魔法使いもいるので、そちらで補充してもらえばいいのだが、子爵家族が、私を心配して、一日1回は顔を見せろと五月蠅いので、わざわざ来ている。


「キスグ聞いたわよ。あんまり、はしたない事してはダメよ」

 仕方ないわねって顔で、私を慈悲深く見つめている。

「?」私、何かしたっけ?

 後ろを振り向いて、姉役のマリー、護衛のヨハンを見たが、二人ともわからなって顔してる。


 心配性だ、私は特に悪さはしてないのに。



「エリナね・・・様。綺麗な花を見つけました」アイテムボックスから、大きな花びらの付いたオレンジ色の花束をエリナ姉に差し出した。

「まあ、綺麗ね、いい匂いどうしたの?」

「道で見つけて、綺麗だったからアイテムボックスに入れたら、クワワンソウ(安眠効果)と表示されました。どうやって安眠効果を得られるか、どれくらいの量で安眠効果を得られるかわかりませんが、こういう研究、好きだと思って摘んできました」

 連日の野外での生活。研究大好きインドア派のエリナ姉には、厳しいだろう。実際、目の下にかすかに隈ができている。クワワンソウは毒とは表示されてなかったし、使い方は丸投げだが、有効活用してくれると嬉しい。


「ありがとう。研究させてもらうわ」





 数日後

「キスグ様。エリナ様が呼んでます。今すぐ来てください」子爵家従者が、慌てて私のテントに走りこんできた。


 子爵家が使用しているテントに入ってみると、両親、両親付きの侍女、従者、エリナ姉付きのメイドが、眠っていた。


「何?どうしたの?」私がエリナ姉に尋ねると、


「ん-。私やっちゃったかも。この前キスグからもらった、クワワンソウを研究してね。水魔法で乾燥させて、自分で煎じて飲んでみたの、案外苦みもなくて、すんなり飲めてね。始めは少量からスタートしたんだけど、少しずつ量を多くしていったの。最近私よく眠れるようになって、家族に話したら、ぜひ飲みたいって、夕飯の後に出したんだけど、効きすぎちゃったみたい」

「エリナ姉も飲んだんでしょ、何でエリナ姉は起きてるの?」

「多分、私水魔法使いでしょ。体内で勝手に、水分調節して効果を適量にしてたみたい。でもみんなは、体内で水分調節できなくて、眠りが深いのよ」


「そこでキスグにお願いなの。キスグのアイテムボックスは生物入れられるでしょ、時間経過もないでしょ。寝ている誰かをアイテムボックスに入れて状態観察してくれない?」かわいい顔でお願いされた。


「いやいやいや、かわいい顔で言っても人間は入れないよ。時間経過は無いけど、アイテムボックスの中がどうなってるかわからないからね。しかも状態観察って、アイテムボックスの表示は詳しくは書かれないよ」


「そこを何とか、ね。このままみんなが眠り続けたら大変よ。クワワンソウを私に持ってきたキスグにも責任はあるんだし、ね」腹黒かわいい顔でお願いされた。


「ん”ん”ん”」クワワンソウを持ってきたのは私だけど・・・・。


 私は、眠ってる両親や、侍女、従者を見た。どうしよう。どうしよう。どうしよう。


 腕組みして、じっと悩んでる私を見かねて、姉が提案した。

「アイテムボックスに人間を入れるのが心配なら、入れる前の段階、人間に噛みついてみたらどう?食べるつもりも、吸い込むつもりもないなら、噛みついてるだけ、アイテムボックスに入れた時みたいに表示されるかもよ」


 確かに、アイテムボックスに表示機能が追加されて、検証してないな。


 表示されないかもだけど、確かに噛みつくだけならできるね。

「わかった。やってみる」


 誰に噛みつこう?両親は却下。何かあった時、子爵家が潰れる。

 従者も却下。気持ち的に男の人に噛みつきたくない。

 母付きの侍女、ベテランで、母みたいに鋭いところがあって、私はちょっと苦手だから却下。

 エリナ姉付きメイドは、やさしい苦労人。いつもエリナ姉の研究に付き合わされる被害者。今回もごめんなさい。知らないところで被害者になります。


 私は手を合わせて謝ってから、エリナ姉付きメイドの腕に噛みついた。


 ”キャサリン(爆睡モード)”と表示された。


「!。爆睡モードって表示されたよ」私は歓喜した顔で、エリナ姉に報告した。


「そう・・・・。ねえ、キスグ」真っ黒笑顔が私に向けられた。


 ぎく!何、何、何、嫌な予感しかしない・・・・。


「噛みついたまま、クワワンソウの成分だけ、アイテムボックスに入れれないかな?」

「え!無理!そんなことやった事ないよ。間違えてキャサリンさん吸い込んじゃうかもしれないよ」

「吸い込んじゃったら、すぐに出せばいいじゃない。おたまじゃくしの時も、魚の時もすんなり出せたんでしょ」

「でも、でも、もしもの時があるかも。怖いよ」私が不安顔で答えると、

「やってないことで、怖がってもしょうがない。世の中、やってみてないとわからない事の方が多いのよ。自分が思っているより案外うまくいくものよ。キスグは吐き出せなくなるのが怖いのよね。大丈夫、時間停止機能がついているんだから、死にはしないわ。吐き出せない時は、私が責任もっつてキャサリンが吐き出されるまで、一緒に考えてあげる。キスグ一人だけに責任を押し付けないわ」エリナ姉が、自信たっぷりの顔で、私に訴えた。


 エリナ姉は研究バカだし、実は腹黒だし、無茶ぶりされることも多いけど。言葉を違えた事はない。信頼できる人だ。

「うん。やってみる」


 私は、覚悟を決めて、安眠効果だけを吸い取るイメージで、キャサリンさんの腕に噛みついた。


 ”キャサリン(熟睡モード)”と表示され、アイテムボックスにクワワンソウ(安眠薬)が加わった。


「やった!クワワンソウの安眠薬だけ取り出せたみたい」私が大声で報告すると。


 エリナ姉が一瞬ニヤっとしたが、すぐ笑顔に変えて、「良かったわ。続けて」


 私は再度キャサリンさんに噛みつき、クワワンソウの効果が抜けるまで吸い続けた。







「よく寝れた。すっきりしたぞ」

「本当に、クワワンソウの効果はすごいわね」


 あれから、両親、母付きの侍女、従者を噛み続け、覚醒させた。

 事の発端を聞いた両親は、怒りもせず、私の噛み後だけしっかり腕に付けて、眠れた事に満足げだ。

 私だけ、クワワンソウの効果だけ吸い取る集中力と、怖さで逆にぐったりだ。


「もっとクワワンソウの適量と、効果時間研究して、安眠薬を世に送り出したいわね」エリナ姉は、かわいい顔で私にウインクした。


 びく!背中がぞくぞくする。嫌な予感しかしない。



 エリナ姉のメイド、キャサリンさんと一緒に震え上がる私でした。









個体名、効果はフィクションです。

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