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私の魔術は使いにくい  作者: ロミ


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不安しか勝たん

本日も2話投稿予定。

 




 どうしよう、この階層、永遠に終わらないかもしれない。





 元砂漠のダンジョン2階層。螺旋階段を下りているとき、階段がエスカレーターのように上にゆっくり動いている事に気付いていた私は、唖然としてしまった。


 これまで、かなりの距離を降りて来たけど、まだまだ先は暗いままだよ。

 薄暗くて音もなく、同じ景色を見ながら降り続けているから、何だか平衡感覚がおかしいし、足のふくろはぎがパンパン、体の疲労も溜まってきたよ。

 周りの攻略隊員達も、後ろを歩いているモハメド王子達も、イライラが加速しているし、何だか嫌な感じがする。


「おいキスグ、俺の水筒の水がなくなった、水の追加だ」

 攻略隊員が、私の方に来て、水を要求した。


 私は、あきれ顔で攻略隊員を見つめ、

「水には、限りがあるんだ。あなたはさっきも水を要求して追加したでしょ。他の隊員たちの水がなくなる。一人にそんなにあげれないよ」


 私に拒否された攻略隊員は、顔を真っ赤にして怒りの表情

「そんな事知ってる。俺はお前たちが飲む水の分を要求しているんだ。隊員達の水を要求してない。つべこべ言わず、早くよこせ」


 なんだそれ、私達の水を要求、私達には水がなくてもいいって事、ふざけるな。

「嫌だ。そんな理不尽な要求は聞けない」


「生意気言うな」

 私が頑なに要求を拒むと、攻略隊員は私に掴みかかって来た。


「・・・・。」

 私の隣にいたヨハンが、たやすく攻略隊員を取り押さえる。


「くそ、離せ」

 攻略隊員が、暴れるがヨハンの力で抑え込まれている。

 それを見ていた、他の攻略隊員がヨハンにファイヤーボールを放った。


 ヨハンにファイヤーボールが届く前に、ファイヤーボールは、なぜか消えてなくなった。


 それからは、攻略隊員達 対 ヨハン、スターク、ピーターの殴り合い。

 モハメド王子達お偉いさんは、争いを止めもせず、螺旋階段に座り高みの見物をしている。


 攻略隊員が勝つと思っていたんだろう、でも螺旋階段に倒れているのは攻略隊員達。

 ヨハン達は、余裕で立っている。


 倒れている攻略隊員達を見下ろし、モハメド王子は、眉間に皺をよせ

「今日はここで泊る。準備しろ」

 よほど悔しかったのか、私達を睨みつけながら指示を出した。





 今が何時かわからないけど、薄暗い螺旋階段の上で、座って寝ている隊員。細い螺旋階段に寝そべり寝ている隊員。だれも見張りをしていない。


 無防備すぎるだろ、ここダンジョン内だよ。野営の時は、最低でも2人は見張りをたて交代で眠る事。ジン兄に教えてもらったから私でも知ってるよ。

 攻略隊員達は、初ダンジョンなのかもしれない。野営はしたことあっても、従者任せだったのかもしれない。自分の事が自分でできないお坊ちゃま集団なのかな。それなら最悪だ。



 私達は、螺旋階段の攻略隊と少し離れた先頭で、3人で固まって座っている。

 ピーターは、調べたいからと螺旋階段を1人降りて行った。


「さっき、歩いているとき、動きを止めたのはなんだ」

 スタークがヨハンに小声で話しかけた。


 ヨハンは、壁を触り、スタークに目で触れと合図した。


 スタークは怪訝な表情で、壁に触ると、壁がゆっくり動いている。

「!!!」

 スタークは声にならない声をあげた。


「動いているのか、壁か、螺旋階段か」

 一瞬で冷静になったスタークは、小声で話す。


「たぶん、螺旋階段の方だと思う。いつから階段が動いているかわからないけど、ゆっくり昇てるんだよ。ほら見て、壁に等間隔にある松明の下にピーターさんが印をつけてたんだ。この松明の下の傷は10本だよ。

 松明の傷が10本だった時は、確か休憩で、水とおにぎりを配った時だよ。

 もともと階段が動く発想がないのか、この空間が思考を鈍らせているのか、螺旋階段が動いている事に誰も気づかないんだ。

 このままじゃ、一生3階層には辿り着けないよ」

 私は、ゆっくり動く松明を見つめながら、打開策を考えるがいい案は浮かばない。


 そこへ、ピーターが螺旋階段の先の検索を終えて戻って来た。


 壁を触りながら、思案顔の3人を見て、

「螺旋階段が昇っていることに気付いたんだな。階段を登ってくるときに、歩くスピードが速い事に気付いたんだ。これは厄介だぞ。どうする」


「情報が足りないな。キスグ、長いロープを持っているか、持っているならここから垂らして、下を見てくる」スタークが、固い顔で申しでた。


「いや、スタークさんより俺の方が身軽だし、俺よりスタークさんの方が強い。キスグに何かあった時、生存確率が高くなる。俺が行くよ」

 ピーターは、笑顔で申し出た。


「長いロープなら持ってるよ。バクシューレツ国のダンジョンの2階層に入った時、予備で作ったんだ、杭もあるよ」

 ニコニコしながら、私が後ろを向いて吐き出すと、笑顔のピーターさん。


「キスグ、バクシューレツ国のダンジョンであったことは言わない方がいい」

 ピーターさんの笑顔に、何故か圧を感じる。


 そうか、私とヨハンがバクシューレツ国のダンジョン2階層に行ったことも、女神の石臼で長いロープを作った事も秘密だった。

 ちょっとしゃべっちゃったけど大丈夫かな。


 ちらっと2人を見ると、スタークさんは追及せず。ピーターさんは笑顔だ。


 私は、吐き出した超長いロープと、杭をヨハンに渡した。

 ヨハンは、ロープの端を体に巻き付け、反対のロープを下に落とした。


「俺が降りている振動が、ロープから伝わるはずだ。任せたぞ」

 ピーターさんはそう言うと、さっそうとロープを伝って下へ降りて行った。



 少ししてロープの振動がなくなった、心配しているとピーターさんが、螺旋階段から登って来た。


「え?帰ってくるの早くない。もう下に着いたの」

 私達3人がびっくりしていると。


「ああ。50mほど降りたら床に着いた。3階層の扉もあったぞ」

 ピーターさんは、こともなげに話す。


「それじゃあ、少し下の壁に、この杭を打ってロープをつなげよう。杭を打つ音で攻略隊員は起きるはずだ。モハメド王子を誘導して、検索隊員にこのロープを使わせよう。この薄暗い空間も、イライラしている攻略隊員の世話も、もう十分だ」


 スタークさんは、ヨハンに杭を壁に打たせてから、音で起きたモハメド王子を誘導し、ロープを使わせ3階層の扉を発見させた。









攻略隊の人となり、キスグとの関係性を書きました。

次は、3階層。

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