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第37話 眠れぬ夜は、あなたとともに!?

 食事を終えたあたしたちは、このまま学園に泊まることになった。

 具体的な奪還作戦は明日から。それまでにそれぞれ英気を養う、つまり、寝ろってことになったけど。

 ……眠れない。

 殿下がご用意くださった個室、広すぎる寝台の上で、何度も寝がえりを打つ。

 あたしに、出来るんだろうか。

 お嬢さまの身代わりなんてレベルじゃない。人の生命がかかっているんだ。

 時が来れば封印が解けて、本来の力を使えるようになるって、聖獣さまはおっしゃったけど。

 大丈夫なんだろうか。

 もし失敗したら、「ゴメンナサイ」では済まない。

 ……………………。

 …………。

 ……。

 ダメだ。眠れない。

 今日一日、いっぱいありすぎて疲れてるはずなのに、全然眠れそうにない。

 こういう時は、一度ちゃんと起きて気分を変えてこよう。

 軽く身だしなみを整え直して、扉に手をかける。

 この部屋の先は、殿下のお部屋だ。そこで眠っていらっしゃる方もみえるから、静かに、そぉっと……。

 「どこへ行く」

 「ぴゃっ……!」

 思わず、飛び上がる。というか、飛び上がった。

 「あ、アウリウスさま……」

 あー、驚いた。扉のすぐそば、剣を抱えたまま座りこんでるんだもん。

 「用足しか?」

 んなっ!

 「ちっ、違いますっ! ちょっと散歩してこようって!」

 「大声で騒ぐな。皆が起きるだろうが」

 「すっ、スミマセンッ」

 そうだ。皆さまもお疲れなんだから、起こしちゃいけない。あわてて口をふさぐ。

 「散歩ならつき合う。どこに何が潜んでいるかわからないからな」

 ゆっくりとアウリウスさまが立ち上がる。剣を佩きなおし、軽く首を回した。

 「行くぞ」

 短い言葉とともに、手を引っ張られる。

 

 「うわあ。やっぱり夜の学園って雰囲気違いますねえ」

 部屋から中庭に出て、ようやく普通の声で話せるようになった。

 月明りの下で見る中庭の風景は、日中眺めているものと同じはずなのに、何か違う世界に来たような感覚がある。

 中央の噴水が止まっているから? 月明りという、蒼と紺の世界に染まっているから?

 知ってるはずなのに、知らない世界。

 ちょっとドキドキする。

 「リュリ」

 噴水へと走り出したあたしに、アウリウスさまが呼びかける。

 「今日は、すまなかった」

 へっ? いきなり、なんですか?

 「お前に、あんなことをしてしまった」

 直立のまま、最敬礼っ!

 「いや、そんなっ、アウリウスさまも操られてたんだしっ!」

 顔、上げてくださいっ!

 「悪しき者に操られるなど。それに、オレはお前にケガを負わせてしまった」

 ケガ?

 どこにと思ったあたしの首に、アウリウスさまの手が伸びる。

 「…………いっ!」

 少し触れられると痛い。

 あの、ネックレスの鎖を切られたときに傷ついたんだろう。

 「守ると言っておきながら、傷つけるとは。騎士、失格だ」

 「そんなことないですっ! アウリウスさまは立派な騎士ですっ! こんな傷、大したことないですからっ!」

 だから、そんな自虐的な笑みを浮かべないでっ!

 「……リュリ、お前は本当に優しい娘だな」

 アウリウスさまの目が柔らかく笑う。

 「泣き虫なくせに、一生懸命で、他人を思いやる優しさを持つ」

 それ、褒めすぎです。

 戸惑うあたしに、アウリウスさまの顔が近づく。

 へっ? えっ?

 あまりの近さに思わず目をギュッと閉じる。

 

 チュッ……。


 ケガした首筋に、何か温かいもの……って。え? え? ええっ?

 「この傷にかけて、明日は、必ずお前を護る」

 驚き目を開けたあたしの前に、アウリウスさまの真剣なお顔。

 「た、頼りに、して……いま、す」

 ねえ、さっきのって? チュッて音がしたけど、あれって……。

 首筋を押さえて、アウリウスさまを見上げる。

 わあああ。最高にいい笑顔してる。すごく珍しいっ! お嬢さまの言う「激レア」ってやつだ、きっと。

 「踊るぞ。眠れないなら、身体を動かすのが一番だ」

 言うなり、あたしをふり回すように踊りだす。

 音楽もない、聞こえるのは虫の音だけ。

 華やかなシャンデリアもない。あるのは月明りだけ。

 そんな中庭で、アウリウスさまがあたしを抱き寄せて、クルクルと踊る。

 それはワルツより軽やかで、ステップなんて気にしてられないぐらい勢いがあるダンスだった。

 「うわわわわわっ!」

 「ははっ、相変わらずの、メチャクチャなステップだな」

 勢いにまかせて一回転した人に言われたくないっ!

 踊るというより、ふり回される、吹っ飛ばされそうな状況。

 でも。

 (アウリウスさま、笑ってる……)

 滅多に笑わない人が笑ってる。

 あたしに対する罪悪感、消えたのかな。そうだったらいいんだけど。

 グルングルンと勢いよく回るダンス。

 その激しさに驚き、ほどよく疲れたあたしは、その後ぐっすり眠ることが出来た。


 *      *     *     *


 「抜け駆けとは、やるね、アウリウス」

 「……起きていらっしゃったのですか」

 「リュリの悲鳴じみた歓声が聞こえてたからね」

 こちらをふり向くことなく、窓の外を眺めながら告げられる。差しこむ月光のせいで、白金の髪が、青色に縁取られていた。

 「明日は、頼んだよ」

 「はっ」

 その言葉に身を引き締める。身命をかけて、彼女と主を守る覚悟を決める。

 「ああ、それと。次は僕が彼女を誘うからね。文句は言わせないよ」

 第三十七話です。

 夜の学園、あなたと二人、ら~らら~♪

 ……スンマセン。疲れてます。そして浮かれてます。

 ダンナの単身赴任に合わせての準備と、母子だけのこっちでの生活。

 ハッキリ言って天国っ!! 自由、サイコーッ!! 

 今まで、どっかの大衆食堂のオバちゃんみたいなかんじでゴハンをモリモリ作っていたのが、ちょっとの量ですむようになったんですよ。(ダンナは大食い) 炊くご飯の量が半分にっ!! おかずの手間も半分にっ!!

 スゲー。一人減っただけで、エンゲル係数激下がり。

 ついでに、ダンナの赴任先へ行く途中見かけた場所のせいで、歴女の自分はワクワクなのじゃ。。織田信長さんに関係ある場所なのじゃ。(マイナーだけど) ちょっと切ないのじゃ。というか、今、住んでるところも信長さんに関係ある場所がチラホラあるのじゃ。でも、信長さんは好きでもなんでもないのじゃ。むしろ、あの時代を引っ掻き回してくれた、問題児的認識なのじゃ。三英傑は地元(!?)の英雄だけど、どれも好きじゃないのじゃ。どっちかというと、古墳時代辺りのが好物なのじゃ。って、ナニこの「じゃ」だらけの文章は。たわけ。

 これからもよろしくお願いします。

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