怒っていては踊れない
「はっはぁ!随分と速く動けるじゃねえか!今までとは大違いだ!」
「身軽になったものでね、お陰で火力は減ったけど……関係ねえ、手数で捲ってやるさ…!」
右頬への蹴り、その反動で回転し左のバックブロー、耳を掴んで下方向に引きつつ顔に膝、そして投げ!!
光り輝くグラさんボディ、やっぱり『更に先へ』状態のグラさんは誰にも止められないね!
てかやっぱ人間体型同士のが喧嘩しやすいね!あの姿はデッカイ奴か大人数相手にする時に使おう。
『むう…まだ道半ばなのだ…』
発展途上だもんね、もっとデカくなったら純粋に誰にも止められない暴力になれるさ。
「…立てよ、どうせ大して効いちゃいないんだろう?」
「馬鹿言え、微塵も効いちゃいねえよ…!」
握り固めた拳の一撃……ステップ、回避は考えずに…踊りさえ崩さなければ勝手に向こうから逸れていく。
ステップ、ステップ、側転に投石!
……呑気に構えさせるかよ。
さっきの三ツ目レーザーもやべえけど弓も打撃も全部即死しかねない威力出せる相手だ、汚いとか言ってらんないよね。
「『無双腕・百LV.10』!」
スピードに物を言わせたラッシュ、豆鉄砲みたいなもんだろうけど…時間さえ稼げればいい!
「……おい、真面目にやれ」
うお…!ずっこけ……っ!?
「っ!?あっずぁぁぁ…!?」
うおわぁ両脚もげとる!?
「……てめえ倒しに来てねえよなぁ?そんな殺意もこもっちゃ居ねえ攻撃で、俺様が止まるかよ…!」
三ツ目……!やっべぇ!
「ハリガネさん、脚が無いからと言って踊るのをやめていいわけでは無いのです…よ?」
激戦繰り広げる私たちの横を逆立ちのままひょこひょこと踊るナタラジャさん……自由だね。
「よっほっ……難しいなおい、でも……よいっしょー!!」
両手で地面を掴み、そのまま1歩ごとに身体が黄金色の輝きを放つ、そして頭突き!
「ごっは!?」
よっしゃビーム逸れた!!どっかで別の惑星とかがとんでもないダメージ負ってたりしないか不安だけど、余裕で宇宙まで届くだろあれ。
「……てめぇ、効きやしねえが…ちょっとだけびっくりしたぞ今の」
「私もだよ、これ手で歩いても『更に先へ』の効果あるんだね」
『あの巨大な姿のどこからどこまでを手と足で分けていると思っていたのだ汝……』
言ってよ……てか上の方に人間の上半身着いてたら誤認もするさ。
「お、脚生えた……やっぱ手じゃ踊りにくいからね、脚は何本あっても良い、グラさんの美脚なら尚更だ」
「はっ、脚もがれて惚気やがる…」
「まあいいじゃないか、君は良い人居ないの?」
「……いねえな、そもそも存在も曖昧で…破壊神と同一視されるような神だ、下手に女作ったら彼奴の嫁さんに申し訳ねえよ」
嫌だこの破壊神……律儀
「ドゥルガーとか嫉妬で殺しにかかってきそうですもん…ね?」
「お前は…こんな良い友達に…!」
「おや…?なにゆえ私を責める流れ…に?」
「とは言え私の友達を傷つけたお前は許さんけどね『魔王の吐瀉LV.10』」
「っと……それはくらいたかねえな…服が無くなっちまう…おら…よっとぉ!!」
突風で酸が帰ってきやがる……まずいそっちは皆が!
「けむりん!盾!」
「うふふ……勿論でございますわ、旦那様」
言う前に展開されてたけむりんの防壁により一切の酸は弾かれ……飲んだ?
「……や、やや刺激がつ、つ、強いですわわわわ…」
メイド姿が黒い霧がわななくように形を保ててない……やっぱりグラさんの酸はやばいか?
「……失礼いたしました、問題ありませんわ」
「お、おう……いや君がいいならいいけど…」
「むしろ奥様の分泌物…であれば私!パワーアッ」
「はいはい、今は真面目な場面です故…」
後方でふざけてたメイドがうちの娘に日本刀で刺された気がしたけどまあ気にしないでおこう、ハリガネさんに悲鳴は届いてない。
「……お前女の趣味悪くねえか?」
「……あれメイドだから、セーフ」
「て言うかそれ……どこに持ってたの?」
グラさんの渾身の消化液を弾き返した暴風を纏う……なんだっけあれ、戟?いや三叉矛ってやつかな?
「今出します…か……トリシューラ」
「あれ何……見るからにヤバそうだけど」
「ええ、私が元々使っていましたが…破壊神の権能に寄せられてあんな所に、浮気者…め」
「おら、余所見してると死ぬぞ?」
早っ
「なぐらば!?」
ギリッギリ……腰掠ったか?いや掠ってたら下半身ちぎれ飛んでるねこれは。
「おいルドラ!!そんな危ないもん急に出しちゃ駄目でしょ!!正々堂々拳で勝負しろ私と!!それか私にそれを使わせろ!!その上で一切の責任を問うな!!」
「……本気で言ってんのか?」
「君があんまりにも律儀な男だから言うだけタダかなって…」
あ、駄目そう、みるみる青筋が……うわぁ三ツ目も出た!?
「……『枯死たる破壊』!」
「うぉぉお!?っらあ!」
顎下勝ちあげサマーソルト!!ごめん宇宙の誰かしら!
「いいです…よ、ハリガネさん」
「今のはとっても踊りでし…た、その調子…です」
「お褒めに預かり光栄です黙ってろ!」
危なかった!超危なかった今!!
「お前の今の言い分……そこのバカ野郎に何度も何度も言われたぜぇ!!ああぁぁぁ!!腹が立つ…いつもいつもてめぇはぁぁ!!!」
っ!怒りですんごい速さでリソースが集まっていやがる…!
「れ、連射!?」
「ま、『調和を尊ぶ物語』!!」
〔『不動なる維持の礎』!!〕
視界に割り込まれる青い髪と小さな亀、避けられそうにもない破壊の権能を……防いだ?
「……うぐ……いったぁぁ…」
〔さっすがにしんどいぞ…〕
「クリシュナさん!亀やん!何してんの!?」
〔若者が頑張ってんのに……見てるだけで助けてもらおうなんて思えるほど……腐っちゃいねいえんだぞ〕
「……戦いじゃ役に立てないっすけど…これくらいは…!」
「おいおい維持に調和……無茶すんなよ一撃でボロボロじゃねえか…破壊神の力だせ?治るような物でもねえ……本気でこんな世界のために死ぬ気かよ」
「世界が無けりゃ……調和もなにもないっすから」
〔維持すんだぞ…こんな世界でも……僕はそのために生まれたんだぞ…!〕
「……そうかよ、じゃあな」
2人を屠ろうとする三又の……背後にペストマスクが居る。
「隙だらけです……起きろ『大混夜叉』……『八方睨み』!」
「ぐおぁ!?いってえなあ!!…あ?斬れてねえ……妙な技使いやがるなてめえ」
「お褒めに預かり……ですが失礼いたします」
「おぉ…?何だこいつら…?」
カラスの群れの目眩し…お嬢ちゃんか、そしてその間にブレ子は離脱と……じゃねえよ。
「隠れてろお前ら!!死ぬよ!!?」
「……ハリガネさんが負けても死ぬ……!」
「ならば、儂等も微力ながら…!けむりん殿!お願いいたします!」
「ええお嬢様……頃合いでございます」
「……『貌無者』」
メイドの姿が染み出した黒い霧の中に沈み、ありとあらゆる生き物のパーツがツギハギに絡まったような異形が出てくる、ゴア表現に注意入れないとまずい絵面だ。
あれは……前に見たけむりんの最終形態…?てかすんごいリソース…本当にグラさんの酸飲んだ?
『それだけではなかろう……周囲の無尽蔵のリソースまで取り込んでおる』
「な、何だあれ!? 化け物!?」
「う、うわぁぁぁ!?」
「誰か助けてぇ!?」
……民草が逃げ惑ってる…味方だよそいつ、まあ見た目が敵すぎるけど今は。
そしてその畏怖でどんどん強化されてるなあいつ。
『くかか…味方にいるとこうまで……』
「……すげえなそれ、お前ぇは……何だ?」
「貌無くとも、名はあります……旦那様から頂いた、けむりんの名が」
「我が主、我が王のためならば…従者として、神にすら背いて致します」
「随分な覚悟と忠義だ……でも改名を申し出ていいと思うぞ?」
「まさか、気に入っておりますので………わたくしの神々との戦いで掴んだ新境地…全姿形容……『集積姿貌遊戯』」
火、水、冷気、振動?毒、風……と言うか何が何だかわからないが、色んな生き物の能力を一緒くた混ぜたリソースの巨大な弾か…ってあれグラさんとかレプンカムイも混ざってんな。
……味方で良かった。
「すげぇ……が、そんなとろくせえ技馬鹿正直に受けるかっ……」
「……『絶対空間停止Lv1』……私の可愛いメイドの必殺技だ、受け止めてあげてよ」
悪いね、こと足止めと嫌がらせに関しては私はプロさ。
「…最高でございますわ旦那様…!」
「旦那様にも奥様にも愛が溢れて止まりません……私、今初めて…なりたいものになれております…!!」
うぉぉ……あれか、グラさんの配下へのバフも乗ってんのかこれ…!ロマン砲運用できるね、万能ユニット過ぎる。
…それよかまともに動けない連中を捕まえて離脱すんべ…!
「舞神!民草守るの手伝って!踊ってないで!!暇でしょ!?」
「失礼…な」
「『ヨガ・テラピー』」
「とっくに手伝っております…よ?」
光の膜のようなシールド……いや盾というよりかは悪いものを立ち寄らせない神域的な?物理ガードって感じの見た目ではないね。
さっき三ツ目のレーザーを防いだ時に余波で吹き飛ばなかったのはこれのおかげか……ヨガって凄い、火吹いたりテレポートもするもんな。
「いっけぇぇぇ!!けむりん!!」
直撃、爆発……すっげえ衝撃波、舞神の技が無けりゃ私達諸共だったなこれ。
実質特異点含む無数の生き物の一斉攻撃…グラさんでもまともに受けたらヤバいね。
『当たれば…な』
土煙がはれた先にはグズグズになった地面に沈むルドラが居た。
「……ナイスけむりん、終わったら……褒めたげる」
「流石に……今のは効いたわ…タイマンだとは思っちゃ居ねえが……ここまでしっかり協力されるとなぁ……」
「っ……平然と立ち上がりやがるね君は」
「馬鹿言え、かなり痛かった……誇れ、破壊神にここまでの傷を負わせたのはしばらくぶりだ」
「そいつぁ結構……マジで倒れてて欲しかったなぁ…!」
深手とは言え立ててんじゃねえか……!
全員もう1回同じことできるような体力ねえよ…!
「もう……そろそろ終いだ、気は済んだかよナタラジャ……」
傷は浅くはないが、まだ余裕を感じさせる動きで立ち上がる……なんともまあ頑丈だなぁ神様。
「……良い余興だった…在り来りだが、伝説になるぜこの戦いは……俺様が次の世界でも語り継いでやるさ…………お前ら人数減ってね?」
「んえ……いや、全員いるよ?」
後方を振り返るが、さっき見た時と変わりは……おん?
ハヌさんの体を治していたはずのけむりんとかが攻撃に参加してたとなると…ハヌさんはどこに行ったのだ?
「……『降魔舞踏LV.10』」
お久しぶり!家の事で色々あった肩パッドだよ!まあ人生山あり谷ありだわな!
Q.ゴキも前にしか進めないらしいけどヒロイン案あった?
A.敵に居た。
Q.グラさんってもう神格と戦えるレベルなんだ
A.相手が遊び一切無しで殺す気で来たら秒殺されるけど、戦いが長引けば長引くほど強くなるのがグラさんだから何とかなってる。




