3/21
第三話「古竜、茶を所望する」
エルフは目を見開いた。
「こ、この香り……!」
「ん? そんなにいい匂いか?」
「違います……!」
エルフは突然、俺の手からカップを奪い取った。
そして、残ったお茶を一気に飲み干した。
「おい! 熱いぞ!」
「茶神様!!」
彼女は俺の肩をつかんだ。
「大変です!!」
「何が!?」
「私、今……!」
彼女の顔が真っ青になった。
「……お腹が空きました」
「さっき干し肉食ってただろ!!」
その瞬間。
草原の向こうから、巨大な影が飛んできた。
地面に激突し、土煙が舞い上がる。
現れたのは、全長十メートルはあろうかという巨大なドラゴンだった。
エルフが剣を抜く。
「なぜこんな場所に古竜が……!」
ドラゴンは俺たちを見下ろした。
そして、大きく口を開いた。
「……茶を」
「え?」
「茶をくれ」
沈黙。
俺は手元の急須を見た。
まだ、二杯分くらい残っている。
「……飲む?」
ドラゴンは静かに頭を下げた。
「頼む」




