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第17話 新たな武器




「……よし!到着ーー!」


悠陽(はるひ)が元気よく声を上げた。

次の瞬間、王都の鍛冶屋の店内に、二人の姿が突然現れた。


「うおぉっ!?」


店主は驚きのあまり、手に持っていた道具を落としかけた。


「よ!おっちゃん!!」


「び、びっくりするじゃろうが!!」


「ごめんごめん!」


「……すみません。急にお邪魔して」


凪(なぎさ)が申し訳なさそうに頭を下げる。


「まったく……心臓に悪いわい……」


店主は胸を押さえながら、二人を見つめた。


「それで、どうしたんじゃ?何かあったのか?」


「鉱石、たくさん持ってきました!」


「……鉱石?」


店主は目を丸くした。


「持ってきたって……まさか、買ったのか!?」


「あ、いえ!ダンジョンで採ってきたんです」


「……おぉ!そうかそうか!」


店主は感心したように頷いた。


「それにしても、随分早かったのぉ!」


「へへへー!」


悠陽は嬉しそうに笑った。


「なぁなぁ!それよりさ!これ見てくれよ!」


悠陽は亜空間収納から、採掘した鉱石を取り出した。


「……おぉ!?」


店主は目を見開いた。


「こりゃ見事な鉱石じゃ!しかも、こんなにたくさん!」


店主は鉱石を一つずつ手に取り、じっくりと眺めた。


「……うむ。これなら、かなりいい武器が作れるぞ!」


「ほんと!?」


「あぁ!腕が鳴るわい!」


「やったーー!!」


悠陽は嬉しそうに笑った。


「あっ!それとさ!」


「ん?」


「装飾に、これも使ってくれよ!」


悠陽はダンジョンの五十一階層で手に入れた、美しい宝石を取り出した。


「……ん?」


店主は何気なく受け取って、宝石を光にかざした。


「……こ、こりゃあ!?」


「ん?」


「お、お前!!こんなもの、どこで手に入れたんじゃ!?」


「え?ダンジョンだけど?」


「……はぁ!?ま、まさか……盗んだんじゃなかろうな!?」


「盗んでねぇよ!!」


悠陽が慌てて否定した。


「あ、いえ!これはお礼としていただいたものなんです」


凪がすかさず説明する。


「なので、僕たちがこの宝石を持っていたことは、内密にお願いできますか?」


「……お礼?」


店主はしばらく宝石を眺めていたが、やがて小さく頷いた。


「……まぁ、事情はわからんが、黙っておくことは構わん」


「ありがとうございます」


「じゃが……本当にいいのか?」


店主は宝石を持ち上げた。


「こんなものを武器の装飾に使ってしまって。売れば相当な金になるぞ?」


「あぁ!いいんだ!」


悠陽は迷わず答えた。


「かっこいい武器にしてくれよ!」


「……はははっ!わかった!最高のものを作ってやる!」


「やったーー!!」


「……あっ!そうだ!」


悠陽は何かを思い出したように顔を上げた。


「もう一つお願いしてもいい?」


「なんじゃ?」


「この宝石とか真珠を使って、アクセサリーも作ってほしいんだ!」


悠陽は新たにいくつかの宝石と真珠を取り出した。


「二種類、一つずつ!」


「ほぅ。贈り物か?」


「うん!一つは世話になった妖精に!もう一つは、お世話になってる公爵家にあげるんだ!」


「……妖精?」


店主は一瞬首を傾げたが、すぐに笑った。


「まぁ、よい!任せておけ!」


「ありがとう!」


「完成したら連絡をよこすからの」


「はい!よろしくお願いします!」


凪が丁寧に頭を下げた。


二人は店主に手を振り、鍛冶屋を後にした。





「……さて、どうしよっか」


店を出ると、凪が悠陽へ尋ねた。


「んー……あっ!」


悠陽はぽんっと手を叩いた。


「ドワーフの街のおっちゃんのところも行くだろ?」


「……あっ!そうだね!」


「よーーし!じゃあ行こうぜ!」


「うん!」


悠陽は凪の手を取り、空間魔法を発動させた。


――ぽわんっ





――ドワーフの街


「おっちゃーーん!!」


「うおぉっ!?」


突然店内に現れた二人を見て、店主は思わず飛び上がった。


「……お、お前ら!!」


「よっ!」


「急に店の中へ飛んでくるのはやめてくれ!びっくりするじゃろ!」


「……ごめん」


悠陽はしゅんと肩を落とした。


「あはははっ!」


そんな悠陽を見て、凪が思わず笑った。


「まったく……」


店主は呆れたようにため息を吐いた。


「それで、どうしたんじゃ?剣ならすまんが、まだできておらんぞ」


「あ!そうそう!」


悠陽は顔を上げた。


「装飾って、まだ変更できる?」


「ん?あぁ。まだ大丈夫じゃが……」


「じゃあ!これ使って装飾してくれ!」


悠陽は亜空間収納から宝石を取り出した。


「……ん?」


店主は差し出された宝石を見つめた。


「…………」


「……おっちゃん?」


「……こ、こりゃあ!?」


店主は目を見開いた。


「お前!!こんなものどこで手に入れたんじゃ!?」


「ダンジョン!」


「……はぁ!?」


店主は宝石を何度も見返した。


「まさか……盗んだんじゃなかろうな!?」


「だから盗んでねぇって!!」


「……だから?」


凪が小さく吹き出した。


「……実は、さっきも同じことを聞かれまして」


「……そうなのか?」


「はい。これは正当にいただいたものなので、安心してください」


「……ふむ」


店主はしばらく考え込んだが、やがて頷いた。


「まぁ、お前らが嘘をついておるようには見えんしな」


「だろーー!」


「それで、この宝石を装飾に使えばよいんじゃな?」


「うん!」


「わかった。任せておけ!」


「あっ!それと!」


悠陽はさらに鉱石と宝石を取り出した。


「これで、公爵様に贈る剣も作ってほしいんだ!」


「……公爵様?」


「うん!ミスリルを使って、宝石もつけて!めっちゃ豪華なやつ!」


「ほぅ……!」


店主は鉱石を手に取り、興味深そうに眺めた。


「こりゃあ、作りがいがあるのぉ!」


「だろーー!」


「よし!引き受けた!」


「やったーー!」





「これで、公爵様へのプレゼントは用意できそうだね」


鍛冶屋を出た凪が、満足そうに笑った。


「うん!!」


「みんなは何をあげるんだろうね」


「さぁ?」


凪は少し考え込んだ。


「みんな各自で用意するって言ってたけど……僕たちはいいものが見つかってよかったね」


「あぁ!!」


悠陽は嬉しそうに頷いた。


「おばさんも喜んでくれるかな!」


「……夫人ね、おばさんは失礼だよ」


「えーー?」


「でも、あの方なら何をあげても喜んでくれると思うよ」


「……そっか!」


悠陽は満面の笑みを浮かべた。


「……あっ!!」


「……ん?」


「ガキんちょへのプレゼント忘れてた!!」


「……あっ!」


凪も思わず声を上げた。

二人は顔を見合わせる。


「……戻ろっか」


「……うん!」


こうして二人は再び鍛冶屋へ引き返し、公爵家の子供へ贈る短剣も注文することになった。

公爵に贈る剣と同じく、ミスリルと宝石を使った豪華な短剣。


二人は完成する日を楽しみにしながら、王都へと戻った。



しかし――


その贈り物を渡す予定の日を迎える前に、事件は起きる。


凪と美稀が、姿を消したのだ。





――数日後


悠陽達は、冒険者ギルドのギルドマスターから紹介された人物のもとを訪れていた。


その人物は、ギルドマスターの姉だった。


悠陽は魔法学校で魔法の扱いについて学び、優佑(ゆうすけ)と紫苑(しおん)は騎士学園へと通うことになった。

それぞれの学校で、泊まり込みの生活が始まる。


一方、凪(なぎさ)と美稀(みずき)は冒険者ギルドからの遠征依頼に参加していた。

複数のパーティーが合同で行う依頼で、二人は万が一の事態に備えた援護役として同行していた。


遠征へ出発してから、既に何日も経っていた。


悠陽達が学校で過ごし始めてから、一週間以上が経過していた。






「……ふぅーー!」


悠陽は大きく伸びをした。


「やっと帰れるーー!」


その日、悠陽は一度屋敷へ戻ってもよいと言われ、公爵家へ帰ることになった。




「ただいまーー!」


「あら、ハルヒくん!」


悠陽を出迎えてくれたのは、公爵夫人だった。


「おかえりなさい」


「ただいま!」


「ふふっ。学校はどうだった?」


「楽しかった!!」


「それはよかったわ」


夫人は嬉しそうに微笑んだ。


「あっ、そうそう。鍛冶屋さんからお手紙が届いているわよ」


「……えっ!?ほんと!?」


「えぇ。お預かりしているわ」


「やったーー!!」


悠陽は嬉しそうに声を上げた。


「ありがとう!!早速行ってくる!!」


「あらあら、ふふふっ」


夫人が微笑む中、悠陽は勢いよく屋敷を飛び出した。





――王都の鍛冶屋


「おっちゃーーん!!」


「おぉ!来たか!」


店主は悠陽の姿を見ると、嬉しそうに笑った。


「できておるぞ!」


「……ほんと!?」


「あぁ!杖が二本に弓、それから銃……だったかの?」


「うん!!」


「それと、頼まれておった髪飾りも完成しておるぞ」


「おぉーー!!」


店主は奥から、完成した武器を次々と運んできた。

美しく磨き上げられた弓。

宝石があしらわれた杖。

そして、細かな装飾が施された銃。


どれも豪華な仕上がりだった。


「……すっげぇぇーー!!」


悠陽は目を輝かせた。


「かっけぇ!!めっちゃかっけぇ!!」


「そうじゃろう!はははっ!」


店主は満足そうに笑った。


「いや、ガチですげぇ!!ありがとう!!」


「おぅ!気に入ってもらえて何よりじゃ!」


店主は嬉しそうに頷くと、何かを思い出したように店の奥へ向かった。


「……あぁ、そうじゃ!」


「ん?」


「お前さん、鉱石を大量に譲ってくれたじゃろ?」


「うん!」


「だから、ちょっとしたサービスじゃ」


「……えっ!?」


悠陽は身を乗り出した。


「なになに!?」


店主は大きな包みを取り出した。


「仲間は五人と言っておったな?」


「うん!」


「五人分のローブを作ってみたんじゃ」


「……ローブ!?」


「あぁ。耐久性に優れ、通気性もよい。普通なら致命傷になるような攻撃でも、かすり傷程度に抑えられるようにしてある」


「……えっ!?」


悠陽は驚いたようにローブを見つめた。


「……すっげぇ!カッケェ!!」


「それと、もう一つ」


店主は小さな箱を取り出した。

中には、宝石があしらわれた五つのネックレスが並んでいた。


「……おぉ!?」


「お前さんが前に話しておった、電話……だったかの?」


「……電話!?」


「そうじゃ。あれ、なかなか面白いと思っての」


店主は一つのネックレスを手に取った。


「宝石も余っておったし、試しに作ってみたんじゃ。これを使えば、離れた場所におっても会話ができる」


「……マジで!?」


「あぁ。ただし、あまり遠すぎると使えんじゃろうし、魔力の消費もかなり激しい」


「……へぇーー!」


「まぁ、あまり実用的ではないかもしれんが……よかったら持っていけ」


「……いいの!?」


悠陽は目を輝かせた。


「ほんとにいいの!?」


「もちろんじゃ!」


「やったーー!!ありがとう!!」


悠陽は嬉しそうにネックレスを眺めた。


「これ、凪達に見せたらびっくりするだろうなーー!」


「はははっ!そうじゃろうな!」


店主は豪快に笑った。


「……あっ、そうじゃ!」


「ん?」


「兄貴のところも、剣が完成したと言っておったぞ」


「……ほんと!?」


「あぁ。さっき連絡があっての」


「じゃあ!行ってくる!!」


「おぅ!気をつけてな!」


「ありがとう!おっちゃん!!」


悠陽は完成した武器や贈り物を亜空間収納へしまい、元気よく手を振った。





――ドワーフの街


「おっちゃーーん!!」


「おぉ!来たか!」


店主は悠陽の姿を見ると、笑顔で迎えた。


「剣できた!?」


「あぁ!できておるぞ!」


「やったーー!!」


店主は奥から、完成した武器を運んできた。


「護身用の短剣が五本、剣が二本。それから、別注文の公爵家へ贈る剣と短剣が一本ずつじゃな?」


「あぁ!!」


悠陽は並べられた武器を見て、目を輝かせた。


「……すっげぇ!!」


美しく磨き上げられた刀身には、繊細な装飾が施されている。

宝石が埋め込まれた柄や鞘は、芸術品のようだった。


「めっちゃかっけぇ!!」


「ははは!気に入ったか!」


「うん!!」


「それとじゃな……」


店主は少し得意げに笑った。


「鉱石を大量に譲ってくれたじゃろ?せっかくじゃから、試しに別の武器も作ってみたんじゃ」


「……えっ!?」


「前に話しておった、ゲーム……とやらに出てくる武器じゃ」


「……ゲーム!?」


悠陽は首を傾げた。


「……あっ!あれか!鎌みたいなやつ!?」


「多分、それじゃな」


店主は奥から一本の大きな鎌を取り出した。


「……おぉーー!!」


悠陽は思わず声を上げた。


「すっげぇ!!これ、めっちゃかっけぇじゃん!!」


「そうじゃろう!」


店主は満足そうに頷いた。


「それと、普通の剣より少し短めのものも作ってみた」


続いて取り出したのは、扱いやすそうな短めの剣だった。


「この二本は、お前さんにやろう」


「……えっ!?」


悠陽は驚いたように顔を上げた。


「いいの!?二本も!?」


「あぁ。鉱石代だと思ってくれ」


「……ほんと!?」


「もちろんじゃ。どれも、お前さんが持ってきた素材で作ったものじゃしな」


店主は楽しそうに笑った。


「こんなにいい素材で武器を作らせてもらえたんじゃ。むしろ、こっちが礼を言いたいくらいじゃよ」


「……おっちゃん!!」


悠陽は満面の笑みを浮かべた。


「ありがとう!!めっちゃ大事にする!!」


「おぅ!大切に使ってくれ!」


悠陽は完成した武器を亜空間収納へしまい、何度も礼を言って店を後にした。





――公爵家


「ただいまーー!!」


屋敷へ戻ると、見慣れた二人の姿があった。


「……あっ!」


悠陽は嬉しそうに駆け寄った。


「兄ちゃん!!紫苑兄(しおんにい)!!」


「悠陽(はる)!!」


優佑(ゆうすけ)が笑顔で振り返った。


「帰ってたのか!」


「うん!!」


「久しぶりだなーー!」


紫苑(しおん)も笑いながら手を振った。


「学校はどうだった?」


「楽しかった!」


悠陽は嬉しそうに笑った。


「あっ!そうだ!」


「ん?」


「剣、もらってきたよ!!」


「……おぉ!」


紫苑は目を輝かせた。


「完成したのか!」


「うん!!めっちゃかっこいいぞ!!」


「ははは!そりゃ楽しみだな!」


紫苑は嬉しそうに笑った。


「学校行ってたから、なんか早く感じるな」


「うん。そうだね」


優佑が頷いた。


「……あっ、そういえばさ」


悠陽は辺りを見回した。


「凪と美稀は?まだ帰ってないのか?」


「……あぁ」


優佑は少し困ったように笑った。


「そうなんだよ。少し遅いよね」


「……そっかぁ」


悠陽は首を傾げた。


「遠征って、そんなに時間かかるもんなのかな?」


「依頼にもよるだろうけどな。まぁ、何かあればギルドから連絡が来るだろ」


「……そうだな!」




――バタバタバタッ!


廊下の向こうから、慌ただしい足音が聞こえてきた。


「……ん?」


三人が振り返ると、一人の男が勢いよく姿を現した。


「おぉ!!お前たち、帰ったか!!」


「……あっ!」


優佑が笑顔を浮かべた。


「おー!ギルマス!いつ来られたんですか!?」


「さっき着いたところだ!」


「久しぶりだなーー!」


紫苑も嬉しそうに声をかけた。


「ギルマスだ!!」


悠陽も元気よく手を振った。


「おぉ!元気そうじゃな!」


ギルドマスターは三人の顔を見渡した。


しかし、その表情はどこか険しかった。


「……?」


悠陽が首を傾げた、その時。


「君たち!」


廊下の奥から、公爵様が姿を現した。


「……公爵様?」


優佑が振り返る。

公爵様は三人のもとへ歩み寄ると、真剣な表情で尋ねた。


「大変なことになった。すぐに出られるかい?」


「はーい!」


悠陽がすぐさま元気よく返事をした。


「大丈夫ですよ」


優佑も頷いた。


「ありがとう。急ぐよ」


公爵様はそう言うと、すぐに歩き出した。


「……あの、何かあったんですか?」


紫苑が尋ねる。

しかし、公爵様は足を止めなかった。


「……とにかく、急ごう」


「…………」


三人は顔を見合わせた。

先ほどまでの和やかな空気が、一瞬で消えた。




――冒険者ギルド


ギルドへ到着すると、そこには大勢の冒険者たちが集まっていた。

普段は賑やかなはずのギルド内に、重苦しい空気が漂っている。


誰もが険しい表情を浮かべ、何かを話し合っていた。


「……なんだ、これ……?」


悠陽は思わず足を止めた。



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