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プレショー

ニルスが保護された教団、アルバ教団は一つの大陸を丸々治めている王国、グランバニア王国の領土内に総本山があり、王国では国教として認められている。

だが最近教団の力は増すばかり、騎士団まで持ち、国の政治にも手を出してきたため、王国側も教団を警戒し始めている...

深夜。人々が営みを終わりにし、眠りについたころ。

アルバ教団の聖堂が白く冷たい月光に照らされる中、離れにある軍の演習場だけは、鉄と汗の匂いが立ち込めていた。

ニルスは一人、演習場で訓練用の的に向かって剣を振るっていた。


「……まだ、足りない。神の力があってもこれじゃ、あいつの喉元には届かない」


荒い息を吐きながら、ニルスが再び踏み込もうとした時。暗闇から、無造作に投げられた「何か」が視界を横切った。

ニルスは反射的に手を伸ばしつかみ取ろうとしたが、そのなにかは手から滑り落ちる。視線を下へ向けてみれば、そこにあったのはみずみずしい一個の赤林檎だった。


「誰...?」


暗闇から王国軍の総大将フォルティスが顔を出し、無愛想に鼻を鳴らした。

「夜中に死人のような顔をして剣を振るな。せっかくの林檎が腐る」


フォルティスは木の柵に腰を下ろすと、顎で「食え」と促した。ニルスは戸惑いながらも、その赤い実に齧り付く。甘酸っぱい果汁が、乾き切った喉に染み渡る。

林檎を食べ終わり一息ついた後、フォルティスは大きな手でニルスの背を叩きニルスへ笑いながら語りかけた。


「明日は、待ちに待った聖剣の儀だ。といってもお前は正真正銘の勇者、教団のやつらも言ってるが、その紋章が何よりの証拠だ、絶対に抜けるさ、あんま気張るなよ」

聖剣の儀、それは勇者の紋章を持つ者が先代の勇者が魔王を打ち滅ぼした剣を抜き、正式に勇者となる儀式。

伝説ではその剣は勇者の手によってでしか抜けないらしい。


「それと話は少し変わるんだが...」

ニルスは困惑しつつも聞く

「なんです?」


フォルティスはニルスへさっきとは打って変わって真剣な面持ちで語りだした。

「教団の連中は、お前を神の剣だと吹聴して回っている。だがな、ニルス。剣は折れれば替えが効くが、人間ではそうはいかん、だから...無茶だけはするな」


「でも自分は勇者ですし、神の剣として戦うのが仕事です」


フォルティスは少し呆れつつも

「お前意味わかってないだろ、まあつまり、無茶はしないでなにか困ったら俺を頼れってことだ、いいな?」


「はあ...」

夜風が吹き抜け、二人の影を揺らした


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