カラクレナイ#95 アドレナリンを制御せよ
津波大丈夫そ?
アドレナリン?えー?要するに火事場の馬鹿力みたいなものを意図的に出せるってことか?それはそれで何かデメリットがありそうだが…例えば…めっちゃ体が疲れるだとか、使うのに魔力をめっちゃ消費するとか。
あとアドレナリンでどうやって思考を加速するんだ?火事場の馬鹿力ってのはあくまで力だけだろうし。そりゃまぁ、色々と手段はありそうだが……と言うか血術ってそんなことまでできんのかよ。血どころか脳までいじってんじゃねぇか。本当に大丈夫か?その技…って忘れてた!今血腫に囲まれてんだった!クッソ、一旦こっちに集中しとかないと……!
「……お忙しい中申し訳ないのですがこのまま話を続けさせてもらいますね。そんな血王状態ですが…まぁ、おそらく気になるのはその使い方、習得方法でしょう。」
「おいおい、少し気を使ってくれよ!この血腫をぶっ飛ばしてからじゃダメなのか!?」
「申し訳ございません。先ほども申しましたが…この技は戦いの中でこそ磨かれる技です。ですから庵様には戦いの中に身を置いていただかねば。」
「まずなんでなんだよ!?別にアドレナリンっていうのを意図的に出す技なんだろ?だったら戦い以外でもいいじゃないか!」
「それは……」
チッ、しかもこの血腫ら無駄に強いな……!30%とかじゃ埒があかねぇ…100%だ!戦いの中で磨かれるだって?あぁもういいや。意味がわからないが、そういうことなら300体余りすぐに片付けてやるさ!
ただ…闇雲に戦ってるだけじゃダメだろうな。少なくとも何か血術を特殊な方法で使わないといけないだろう。えーと、さすがにそこらへんも説明してくれるよな?
「フッ、ようやく真剣に戦ってくれるようになりましたか。こちらも安心して教えることができますよ。まず、どう意図的にアドレナリンを放出させるのか?ですが、こちらは案外簡単です。血術で脳を騙せば良いのです。」
「脳を……っ?」
「えぇ。脳にアドレナリンを放出するような状況にあると錯覚させるのです。これには特に雑多な手順は必要ありません。血液に魔力を込めるのです。」
ん?それだけか?前置きの部分は理解できるんだが…魔力を込めて何になるんだ?ヘルメースさんの言い方的に体内を巡っている血に魔力を込めるんだよな?そんなので脳が錯覚するほどの危機的状況になるのかぁ?俺がやってた心臓に身体強化を集中させるっていう苦行の方が多分痛くて危険だぞ。
「魔力を込めるだけか?と、思ったでしょう?ですがこれが案外苦しいのですよ。生物は元来熱に弱い。普段使う血術の使い方である包むという動作だけならいざ知らず魔力を注ぎ込むとなると血は熱く、煮えるようになります。あなたがやっていた苦行よりも余程苦行ですよ。」
えぇ?にわかには信じ難いが…この技を使っていたアイコスさんの様子からするとヘルメースさんが言ってる比喩も案外間違ってはいなさそうなんだよなぁ……体から湯気が上がるほどだぜ?雪山でもないんだ。90度ぐらいにはなってるだろう。
確かに俺のやってた苦行とは一線を画す辛さだ。苦行なんてせいぜい42度くらい、インフルエンザ程度だろう。体温が90度になるって考えたら恐ろしいな。アドレナリンも出るわけだ。いや、そこまで行ったら脳が機能しなくなりそうだが……
「そんな高温、体は耐えられんのかよ?アドレナリン出す前に脳がぶっ壊れちまうんじゃねぇのか?」
「ええ、もちろん。吸血鬼は多少の熱に対する耐性を持ってはいますがそれも長くは耐えられません。しかもあなたは混血、まだまだ体に魔力が馴染んでいない。熱への耐性も低いでしょう。…いや、だがナイトメア様の眷属か…だとすると今の状態でもかなり……」
「んぁ?最後なんて言ったんだ?声が小さくてよく聞こえねえよ!こっちは周りに血腫がいるんだ!大声で話してくれ!」
吸血鬼は熱耐性があるっていうのはなんとなく知っている。最初の頃、いやというほど爆発に巻き込まれたからな。どちらかというとあの頃に爆炎を身に浴びまくったから耐性が身についた気がするが…最初の方は黒焦げになってたような気もするし。だとすると80度というのが存外大したものじゃないように思えてきた。炎は1000度はあるんだ、1/10以下の温度にそう怯えることもないか?
で?ヘルメースさんは何言ってたんだ?ナイトメアだけは聞き取れたが。
「ん?何事にも例外はあるということですよ。庵様はナイトメア様の眷属ですので本来なら低いはずの熱に対する耐性が高いという具合にね。ナイトメア様も血姫状態は使えますがあの方はあの程度の熱なら余裕のようだ。」
「ヴァルキリー?」
「名前が違うだけです。同じ技ですよ。さて…もう倒し切ってしまったのですか?300はいたはずですが……」
ここまでの話はざっと8分ってとこか?それで300余りを処理できたんだ。及第点ってとこだろ。まあ血腫は置いといて…なるほどここまでの話を聞く限りそこまで難しいってわけじゃないらしい。デメリットが大きいって話なんだろうが、それも俺ならおそらく平気だと…面白くなってきたなぁ……!ってそれでなんで戦った方が習得しやすいとか言ってたんだ?
「冗談じゃない。結局…なんで戦わないといけなかったんだ?」
「それは…色々と理由はありますが、戦ってた方が危機的状況っぽいじゃないですか!」
悪魔かよこの人
血液に魔力を込めると熱くなるのは抵抗があるからですね。電熱線みたいなもんです。




