カラクレナイ#93 血王状態
少し遅れた
さて、翌日気持ちよく起きたところいきなりナイトメアに首根っこを掴まれ有無を言わさず王様の玉座の間に放り込まれる。王座の間といっても昨日会議で使ってた部屋を形を変えて使っているだけなのだが…昨日と違って中央には円卓の代わりに部屋の名に恥じない赤くどデカい玉座が置かれていた。肝心の王様はその玉座に座って俺の7mほど上で俺を見下ろしていた。その周りにはヘルメースさんを始め見知った顔たちが…みんな怖い顔してるな。
そうして俺をこのかごの中にぶち込むとナイトメアだけそそくさと帰ってしまった。で…ナイトメアが帰ったのはいい、忘れちゃいけないのは一応今俺がいるのは魔界の王様の前ということ、ボサボサの髪を整えジャパニーズ正座で王様に向き直る。頭ってあげてていいんだっけ?下げとこ。……これじゃ土下座だが…まぁいい。
俺が土下座の姿勢をとると王様が何やら呆れたように話し始める。
「おいおい、庵くん?基本の礼儀も知らないのかい?その体制でやることと言ったら借金か罪の許しを乞うことだろう?……まぁナイトメアだししょうがない、か。頭あげていいよー」
「なんか言いました?」
「んー?いーや?頭あげていいよって言っただけだ。あと、普通王に謁見する時は土下座じゃなくひざまづくもんだよ?ちゃんと覚えといてね。」
そう…なのか?体勢は変えるけど、少しジャパニーズすぎたな。時代劇は大体あんなんだったから……あと王様小声でなんか言ってなかったか?結構な距離離れてるから聞こえねぇんだけど。
「さて、姿勢も正しくなったし本題に入ろうか?君の修行に関してだ。ナイトメアに託されたんだが…私に血術を習いたいと?」
「あぁ、そうだ。ナイトメアから基礎を固めてこいって言われて……」
「私のこと舐めてんの?そんな言い方して君に易々と教えるとでも?」
王様が俺の話を遮り苛立った口調で責め立ててくる。んぇ、なんか怒らせちゃったぞ?姿勢の次はどこがダメだったんだ?まだ俺3秒も話せてないんだが……
王様はすっかり縮こまった俺を見て、しようがない…と言った感じで続ける。
「はぁ…まずは間違いを正しておこう。君は先ほど血術を基礎の中に含めただろう?君にとっては基礎かもしれない。そりゃ否定はしないさ。だけどね、ここにいる吸血鬼は全員血術をこそ極めようとしているんだ。そんな軽はずみな言動は慎んでくれ。」
「は、はい…気をつけます……」
「あともう一つ、おそらくだがナイトメアが君にして欲しいことは基礎固めじゃない。その応用だ。」
「え?」
応用?それって…魔力操作やら肉体とかも?そんな基礎的なことの応用って何するんだ。どっちも応用できるほどの拡張性がないような気がするが……まぁ血術はまだなんかありそうだ。アイコスさんが使ってた結晶化する血槍とかは使ってて楽しそうだし。
「基礎っていうのはただ固めただけじゃそれほど強くなれない。それをどう活かし、どう発展させるかで強さってのは決まってくる。ナイトメアは君に強くなって欲しいんだろう?だったら私には基礎固めなんてちんけなこと頼まないで奥義やらなんやらを教えてくれ、と頼めばいい。ほら言ってみろ」
「えーっと…血術の奥義を教えてください!!」
「それはできなーい!!」
なんでだよ!!そこはめっちゃ教える流れだったろ!!散々応用するとかなんと言っといて教えないのか?だとすると俺は何を教わることになるんだか……
「奥義を軽々しく他のとこの生徒に教えるかってんだ。だが安心してくれ、君がこれから教わるのはそれに負けず劣らず強いものだ。」
「君も見たことはあるだろ?ほら、アイコスが使ってたあの……!」
「結晶化する血槍!?」
「あぁ、いや違う。そっちじゃない。あれは身内用に調整されたものだから君はどう足掻いても使えないよ。」
えぇ?アイコスさんが使ってた特殊な血術なんてそれ以外にあったか?結晶化…あとは跳ね返りまくる血槍……これぐらいしか目立ったものないように見えたんだけど……
「君に教えるのは…あの体が燃えるように赤くなって身体能力が向上するって技だ。」
「……そんな技あったか?燃えるほど赤くって、そんなの怒ってたアイコスさんみたいな……あ?」
「そう、それだよ。そういえばアイコスが怒っててわかりにくかったかい?技の名前は血王状態、どうだい?いい名前だろ?」
血王状態…アイコスが紛らわしいタイミングで発動させたせいでよくわからなかったが、あれそういう技だったのか。てっきり頭に血が登ったのかとばっかり……とはいえ見てた感じこの技ってただ身体能力を上げるだけだろ?そんな…言うほど強いか?
「ま、詳しいことはヘルメースに聞いてくれ。彼が君を指導するよ。」
「またお会いしましたね。私は…とても嬉しゅうございます、庵様。」
血王状態の女性バージョンは血姫状態でヴァルキリーモードです。特に効果は変わりません、性別が違うってだけ。




